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第15話 緩急

学校対抗球技大会 芽吹小学校選抜予選 4年生VS6年生 

波溜の能力が海に防がれるなか、

司の作戦によって、3対3の同点に追いついた。


   4年生    VS    6年生

峰石涼太  松平駿   阪下景文  赤城洸  

片桐朱里  沖和司   須藤海   原田有

指旗和華  湯滝波溜  木本慎悟  江崎杏


「おい!お前ら!」

(こう)(うみ)たちに声を掛ける。

「なによ、いきなり」

「次、駿(しゅん)は思いっきり打ってくるから気ぃ付けろよ」

「別にいつも気を付けてるけどなー」

景文(たかふみ)がブロックの動作をしながら言う。

「特に気を付けろってことだよ!

あと、海は迷わず能力使え。コート外に飛んで行ったら俺が拾う。

後衛の二人は俺に道作るために少し前に出てくれ」

「あんた、簡単に言うけど能力使いすぎたら---」

「後衛が前に出た分、ネット際に落とされても大丈夫だろ」

「で、お前は走り回るってわけか?目立ちたがり屋が」

慎悟(しんご)が腕を組みながら言う。

「そっ!目立つだろ~?」

「結局そこかよ」

「まぁ、洸だし仕方ないよね」

「珍しくまともな案ではあるな」

「な?やってみる価値あるだろ?」

「わかったわよ、」

後衛にいる(あん)(ゆう)は二歩前に出て、洸は一歩下がった。

そして、朱里(あかり)がサーブを放つ。

()を描いて落ちるボールは洸の腕から海へと跳ね上がった。

景文は海が上げたボールを打ちこむが、司の指にあたりコート中央へ、

それを朱里が涼太(りょうた)に上げ、続いて駿が強打で叩き込もうとする。


(たしかに、、コート外にボールが跳んでも洸なら余裕でとれるよね)

海の両手から放たれた水によって、ボールは体育館2階の高さまで跳ね上げられる。


(ちっ、ちゃんと上がったら俺のかっこいいところなしじゃんかよ)

洸は目立てないことを残念に思いながらもボールを海へ託す。

そして、ボールは慎悟に繋がれる。

慎悟は波溜(はる)のブロックを避けるようにコートの内側にボールを打ち込んだ。

(うーっし、これは決まったろ!)


しかし、少し遅れて跳んだ(つかさ)の手に当たってボールは勢いを落とした。

「なっ!?わざとか!?」

「たまたまです」

司が触れたボールを涼太が駿に渡す。

「おい!司!もう1回跳べ!」

駿がトスを上げ、司が助走に入る。

ジャンプ直前、深く沈み込む司の前に水の壁が構築されようとする。

「どうだ!ブロック3枚に加え海の能力だ。

転入生くんも越えられないだろ!」

慎悟は司を()()()()ながら得意げに言った。


(ちょっと待て、何でこいつはまだ跳んでないんだ?)

ブロッカー3人を見上げて司は言う

「普段通りなら難しいですね」


ブロッカーが落ち始めるタイミング

そして、海の能力が切れた時

司は落下を始めているボールに飛びついて相手コートに落とした。


―ピッ 4年生 4-3 6年生―


「あいつ、やるなぁ」

(ゆう)も感心している。

「うちのクラスの智将ですからね」


「くっそっ、やられたぜ」

悔しさと笑みを浮かべながら慎悟が言う。

「あんなやり方あんの?駿くんの「跳べ!」に釣られたわ」

「なんだよあれ、おれもやりてぇ!!」

「洸くんは後衛なんだから無理なんじゃない?」

「なんだよ、そんなことねぇだろ」

「はいはい、ボール来るから構えて」


朱里が打ったボールはネットの白帯に当たり勢いを失いながらもネットを越えた。

(嫌なところ)

景文から海へとボールが繋がれ、

「慎悟!」

「おうよ!まかせろ!」

すると慎悟はいつもよりジャンプを()める。

「ちょっ、あんた何やってんの」

慎悟が跳ぼうとするときにはボールはすでに慎悟の頭上を通過していた。

「やべ、やっちまった」


「杏、有!さがれ!」

洸がコートを両断するように駆け抜ける。

「お前なぁ、俺がやりたい事やってミスるなよ」

「さーせん」

洸はすれ違いざまに慎悟に文句を言った。

能力による足の速さを活かし、ボールを4年生コートに返した。

洸の返球は司から和華に、そして波溜へと繋がれるが、

慎悟のブロックが4年生の得点を阻んだ


―ピッ 4年生 4-4 6年生―

「洸!これでちゃらな」

「そういうことにしといてやるよ」


「司、ちょっと。やってみたいことがあるんだけど」

波溜が司に耳打ちをする。

「へぇ、面白そう」

司がニヤリと笑う。

「おい!なんだお前らだけ」

「駿には関係ない!」

「あるだろ!俺にもおし―――」

―パンッ―


杏が4年生コートにサーブを放った。

(まだこっちの話が終わってねぇのに)

放たれたボールは涼太から、司へ渡った。

「2人とも、波溜ちゃんにブロック付くよ」

「これで駿だったら責任とれよ」

司はブロックお構いなし、波溜へトスを上げる。

「ほーら、波溜ちゃんに上がった」

海はまたしても水の壁を構築する。

「今回はそっち側にボール()()ますよ」

そう言うと、波溜はボールを自分の右側に打ち飛ばした。

「波溜ちゃん、まさか!?」

「そのまさかです」

波溜の打ったボールはサイドラインを割ると、

ポールでUターンする様に軌道を変え、6年生コートに落ちた。


―ピッ 4年生 5-4 6年生―


「ふぅ、、」

波溜は安堵と疲れで一息つく。

「やるな!波溜!!」

「そりゃあ、あんたより、はね」

「波溜ちゃん大丈夫?」

和華(わか)が心配そうに駆け寄ってきた。

「いや、ムリ。ひかりー、交代」

「はいはーい」

4年生チームにメンバー交代が行われた。


    4年生    VS    6年生

峰石涼太  松平駿   阪下景文  赤城洸  

片桐朱里  沖和司   須藤海   原田有

指旗和華  田所光   木本慎悟  江崎杏


「へい!涼太ー、ジャンプサーブ入れたれよ!」

「無理だよ、1回もやったことないんだから」

そう言うと、涼太も皆と同じようにボールを6年生コートに入れる。

「なんだよ!へなちょこサーブかよ」

バレーなのを良い事に駿は言いたい放題だ。

「駿!ブロックに集中しなさいよ!!

あと、あんたはレシーブ下手なんだから涼太より下よ!」

波溜がベンチから叫んでいる。

(波溜ちゃん、そこまで言わなくても…)

「あ゛?んなことねぇだろ!俺だっ―――」

「駿!ブロック跳べ!」

波溜と駿が言い争っているうちに、慎悟のアタックが決まった。


―ピッ 4年生 5-5 6年生―


「駿!試合に集中しなさいよ」

「まぁまぁ、波溜ちゃんが駿くんが突っかかるようなこと言うからだよぉ」

「そうだぞ!奈穂(なほ)ももっと言ってやれ!」

「もー言うことないかなぁー」


サーブは6年生 慎悟の番になった。

(ボールに触れれるのはいいけど、

打った後すぐに前衛まで戻るのは面倒だよなぁ)


慎悟はエンドラインから離れ、ボールを髙くかつ前へ投げる。

「お!慎悟さん、ジャンプサーブか、かっけぇ!」


―パスッ―

(あー、うまく当たんねぇか)

慎悟の勢いはボールにうまく伝わらず、緩いボールが朱里の頭上に来る。

「司くん、いくよ!」

朱里は両手をオーバーの姿勢で構える。

(マジかよ、でも今はチャンスか)

朱里がボールに触れるか触れないか

そんなタイミングで司は跳んだ。

(そんな攻撃もありかよ...)

司が腕を振り下ろす位置にボールが来る

(完璧です)

その速さにブロッカーも反応できずにいた。


―ピッ 4年生 6-5 6年生―



「朱里、ナイストス」

(あそこまで完璧なトスが来るとは思ってなかった)

「司くんもよかったよ」

(なんとか、合わせれた)

「何だよ、お前らすげぇな!俺もできるか?」

「打つ方ならできるんじゃないか?

まぁ、この試合ではやらねぇけど」

「上げる方もやりてぇよ」

「それは駿には無理だな、繊細すぎる」

「なんだとー」


「2人ともそこまで」

「ちぇ、俺もさっきのやりたかったなー。

お?待てよ、なぁ次俺のサーブか?」

「はい、駿くんボール。ジャンプサーブね」

涼太が駿に微笑みかける。

「おうよ!任せとけ」

駿は笑顔でボールを受け取った。




特殊能力のある世界 第15話 ご覧いただきありがとうございます。


今日はですね、ある方の誕生日なんです。

そう、僕に「小説を書け」と言った女の子の誕生日なんですよ。

誕生日おめでとう!!


この一言がなかったら書いてませんからね、感謝です。


さて、4年生対6年生は次回完結します。

その次は決勝戦書いて、社会科見学編かなぁ?

って思ってます。

割と展開ゆっくりかもしれませんが、お付き合いください。

コメント、メッセージ大募集中です(そんなに来てないんですよw)


次回 第16話は7/15に投稿予定です。

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