表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/102

第101話 真昼の肝試し


夏休みも中盤(ちゅうばん)()()かる8月上旬(じょうじゅん)の日曜日

能力者犯罪捜査機関による入山禁止が解除された五養山(ごようさん)の西南の山道入口に4人の子どもたちの姿があった。


「ってことで、ここで肝試(きもだめ)しをする!」

堂々と宣言した芽吹(めぶき)小学校の4年生、松平(まつだいら)駿(しゅん)の頭上には、()(とお)るような青空が広がり、太陽が(かがや)いている。

「、、、何でお昼からなの?」

指旗(さしはた)和華(わか)が当然の疑問(ぎもん)を投げかけた。

「そんなの決まってんだろ。子どもだけで夜に出歩くのは危ないからだ!隣町だしな」

「てっきり夕方からだと思ってたよ」

本庄(ほんじょう)拓也(たくや)はポテチを頬張(ほおば)っている。

「学校なら夜でも許可出たんじゃないかな?ほら、5年生たちは学校で肝試ししてたし」

「あれって保護者会のイベントでしょ?このバカはそんなこと思いつかないって」

湯滝(ゆだき)波溜(はる)は相変わらず駿への当たりが強い。

「誰のことだバカって!」

「あんた以外に誰がいんのよ!」

「拓也だって俺とそんなに変わんないだろ!」

「お昼から肝試しするって言ってるあんたをバカって言ってんの!勉強の話なんかしてない!」

「ま、まぁ、2人とも落ち着いて」

「お前ら腹減(はらへ)ってんのか?」

拓也が2人の間にポテチの(ふくろ)を差し出すと、2人は1枚ずつ食べた。

「はぁ、ほんっと、、、」

「何だっていいんだよ!さっさと行くぞ!晩飯(ばんめし)までには帰らないとなんだから」

駿に続いて3人も五養山に入って行った。


その様子を家から見ていた女性が1人、

(え!今のって子ども?危ないことがあったばかりなのに)

不安に思った女性は4人を追いかけることを決め、身支度(みじたく)を整え始めた。


五養山は葉泉(ようせん)市でも屈指(くっし)心霊(しんれい)スポットだが、太陽輝く真夏日にそんな雰囲気(ふんいき)微塵(みじん)もない。

「なぁ駿、何にもねぇぞ」

「昼間だしなぁ、雰囲気もねぇなぁ。あちぃなぁ」

「何であんたまでダルそうなのよ!あんたがやるって言ったんでしょ!」

「なんかもっとこう、暗い雰囲気とかあるかと思ったんだよ。これじゃハイキングじゃねぇか!」

「拓也くんがお菓子食べてるし、余計にそんな感じがするね」

「拓也!お菓子禁止!」

「なんでだよ!あ、お前も食べるか?」

拓也はチョコチップクッキーを駿の目の前に差し出した。

「、、、、あーもう!もらうよ!」

「だいたいよぉ、ここに幽霊(ゆうれい)なんていんのか?」

「別にいるなんて言ってねぇだろ。このクッキー美味いな、もう一枚くれ」

「ほいよ」

「昔たくさんの人が死んだのって、このルートの近くじゃないし、かなり上の方なんだけど。あんたちゃんと調べたの?」

「調べてねえ。心霊スポットってことと廃墟(はいきょ)があるってことだけで選んだ」

「はぁ、これだから勢い任せは」

「でも、今日のこと絵日記に書けるからいいんじゃない?ほら、毎週1つ()くことになってたし」

「そんな宿題あったか?」

「あったよ。俺はバイキングに行ったこと描いた」

「宿題のことをすぐに忘れるあんたの方が怖いわよ。()()かれてるんじゃない?」

「たしかに」

「言えてるな」

「んだよ3人ともよぉ」

「絵日記に描くのはいいけど、誰か写真()れる?」

「うちはスマホ持ってきたよ」

「俺も!」

「じゃあ、写真撮りながら登ろ?花もたくさん()いてるし」

「「賛成(さんせい)!」」

「肝試しだって―――」

「それはあんたの計画ミス。せいぜい心霊写真が撮れることでも願ってなさい」

「あれって合成だろ?」

「駿くん、それを言ったら心霊スポットだって、、、」

「和華、いいのよこいつは」

「おい駿見ろよ、あひる〜」

拓也は2枚のポテチを(くわ)えてアヒル口を作っている。

「お!面白いじゃん!写真撮るからこっち向け」

駿は笑いながらいろんな角度で拓也の写真を撮り始めた。

(あんたが1番楽しんでんじゃん)


一通り撮り終えると駿は写真を見返し始めた。

「それ、そんなに面白い?」

「面白いだろ!今から(つかさ)に送り付けてやるんだよ。なあ、どれがいいと思う?」

「何で司くん?涼太(りょうた)くんとかの方が面白がってくれそうだけど」

「あいつは今日の(さそ)いを断ったからな。写真見て(くや)しがればいいんだよ」

「ふーん、で終わりそう」

「ね、興味なさそうよね」

「じゃあ、そんな司でも笑いそうなの選んでくれよ。拓也、いいのあったか?」

「どれも面白ぇよ」

「はぁ、貸しなさい」

波溜はスマホを取ると和華と写真を見始めた。

「どれもくだらないわね」

「2人とも動いてるからブレてる。どれを送っても無視されそう」

「ほんとにね。司も不憫(ふびん)だわ」

「なんかいいのあったか?」

「どれも素晴(すばら)らしいですー」

波溜は心にもないことを言った。

「ねぇ、波溜ちゃん。途中から写ってるこれなに?」

「ん?どれよ」

「10枚目あたりから左下に赤いのが写ってて」

「ほんとだ。花じゃないの?」

「でも、私たち動いてないよ?」

2人が振り返ると、確かに山道の(はじ)に赤い何かがある。

「あれ、かな?」

「だと思うよ。ねぇあんたたち、あの赤いの何?なんか落とした?」

「知らねぇ。何も落としてねえよ」

「お菓子のゴミ落としたかな?」

拓也が近づこうとすると、赤い何かがガサゴソと動き始めた。

「「「「!!」」」」

「動いた?」

「か、風だろ?」

「風なんか吹いてないわよ」


すると、その赤い何かはひょこっと起き上がった。

「動いたね」

「うん、動いた」

「こっち歩いてくんだけど」

「子ども?」

「ばか、人形よ」


4人は顔を見合わせ、一目散(いちもくさん)に走り始めた。

「やっぱ居んじゃんか」

「何であんたが一番に逃げんのよ、どうにかしなさいよ」

「俺のお菓子(ねら)われてる?」

「んなわけないでしょ、さっさと走りなさい」

「急に動いておなかが、、、」

「拓也くん、食べすぎるからぁ」

拓也が息を切らしながら振り返ると十数メートル後ろを人形がテトテトと走ってきている。

「うわぁぁ、きたぁぁ!」

拓也は一気に3人の前に出た。



(え!やっぱり子どもだ、この山は危ないことがあったの知ってるのかな?早く止めに行かなきゃ)


特殊能力のある世界 第101話ご覧いただきありがとうございます。


8ヶ月ぶりの小学生回。もう少しほのぼの感を出したいなと思いながらも、

状況とか、感情面とかの表現に悩んでたら、投稿日になってしまいました。

(まぁ、いつも予告より遅く投稿してますけど、、、)

人形のサイズ感だけでも伝われば幸いです。


次回の投稿は、3/14(土)です。


執筆用のXを開設しました。よかったらフォローしてください。

ID:yuuha_10632

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ