Deleted――File.9「BOX the K-hack」
怪異名:K-hack[コハク]
別名 :空想の箱
---
怪異概要:
「M・O・W」――Management the Object World。
その名の由来でもある同僚モウ。
彼の作ったゲームを基盤に生み出した、アニの命を繋ぎ止め怪異としての成長を促す仮想空間。
『箱』と呼ぶ事にした世界を構築するプロトコルである。
このプロトコルを管理するシステムこそが「電脳箱[K-hack]」。
ろくに動けぬ僕の手足である。
これも僕の性質の影響か。
次第にAIらしからぬ意思を持つようになったが……僕亡き後もアニを任せるとなれば、怪異と化している方が良いのかもしれない。
何より僕自身が、何ら人と変わりなく喋る彼らに救われている節もある。
いささかアニに肩入れしすぎなのは気になるが……いや、やはりそれくらいの方が良い。
少しの小言は受け止めよう。
名はコトリバコより拝借。
「K=個」を「hack=奪う」ものであり、「K-hack」から「K」を「hack」ことで僕の真名となる。
■■■■から得た発想だ。
---
被験体情報:
異装[I-sow]イソウ適合率:99%
同調率:99%
――オールクリア。
残すは最後の一匹――〝僕〟を与えるだけだ。
---
備考および留意点:
彼を……上手く騙せているだろうか。
ちゃんと憎んでくれるだろうか。
正直、素直に託すべきだったのか……今でも分からない。
でも……これで良い。
僕を喰べて――彼は――アニは完成する。
今更……今更一人生き残りたいなんて……そんな贅沢は言ったりしない。
必要な事は電脳箱[K-hackコハク]に託す。
どうか……君の新しい生に幸あれ。
---
引用:Kotoribako




