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匣ノ中ノ獸  作者: yura.
匣ノ中ノ獸
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[wait for Orion]

「そんなに心配なら……行っても構わないよ」

『……創造主マスター

「僕の目的を告げたければそれも良し。まあ、それはしないか。余計苦しめる事になるだけだろうしね」

深淵を見つめ、男は静かにむ。

その男の傍に浮かぶ箱は、項垂れるかのように光を薄めた。

『……創造主マスターはそれで良いのですか?』

「意味が……分からないな」

このやり取りも、これが初めてではない。

何度となく問い、同じ答えを聞いていた。

それでも尋ねたくなるのは、一握の希望に縋りたくなるからか。

漆黒の箱は壊れたオルゴールのように、自らを創りあげた相手に問いかける。


これで良いのか――と。


無論、答えは変わらない。

意味が分からないとうそぶきながら、男の心はとうの前に決まっていた。

「……全ては思い描いた通り。いや――予定外の事の方が多かったけど、この計画はじきに完成する。そのためにも必要な犠牲だ。必要な……ね」

もう選択は(くつがえ)らない。

奈落の口を見つめたまま、男は溢す。

「どのみち……止まらないよ。もうはこは開いてしまったんだ」

それは災禍(さいか)の箱と同じく。

ひとたび開いてしまえば、閉ざしたところで意味がない。

狡猾(こうかつ)に人々を騙し、疫病の如く蔓延(まんえん)し、生ける者を堕落させるに留まらず、いつまでもいつまでも禍根(かこん)を残し続けるのだ。


その匣をぎょすための――匣。


その完成を前に男は笑みを消す。

「良い結果を待つとしよう」

『…………』

漆黒の鳥は答えなかったが、答えなど求めてはいない。

男はただ深淵を見下ろし、昏い底に見つめ返されるのだった。





Please Talk me Back Should you Morphed.........

――夜明けを待つ

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