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流星群イベント5(スノーフレーク)

「離して! ここから出して!」

「うるさいぞ! 不敬罪の上に虚偽告訴罪も足してやろうか? 自称聖女様よぉ」

「ったく、小隊長に確認して正解だったぜ。あの悪名高いエッシャル女大公様の自称異母妹とか――」

「そうよ! お姉様は悪役令嬢なの! 皆騙されてるの! 私が助けてあげるんだからここから出して!」

「はあ? 悪名高いってのはお前だよ、お前」

「なっ」

「あのエッシャル女大公様に家も金も用意してもらったってのに、ひどいだとか悪口言いまくって、挙句の果てに娼婦の子供で誰の子供なのか分かんねーくせにずっと異母妹だって触れ回って、自分はエッシャル女大公様と違って愛されてたから憎まれてるとか意味分かんねー妄言吐きまくってんじゃねーか」

「私がお姉様の異母妹なのは事実だし、憎まれているのも事実よ! 家だって追い出されたんだからお姉様が新しい家を用意するのは当たり前でしょうっ」


 何言ってんのこいつら。

 こいつらにまでお姉様の手が回ってるって言うの?

 なんだってのよ。悪役令嬢だからって私の邪魔をしすぎなのよ。

 手と足を拘束された状態で檻みたいなのに入れられて男達を睨んでいると、テントの外がざわついた。

 誰かがテントの中に入って来て近づいてくる。


「ふーん。コレがあの自称異母妹ね」


 じろじろと観察されるように見られて思わず眉間にしわが寄る。


「ああ、皆は楽にしていいよ。私はこの平民の娘を見に来ただけだから」


 何こいつ、えらっそうに。

 って、この髪の色、ホスタと同じ? ってことは王族?

 じゃあ私は攻略してないけど攻略対象の第一王子?

 なんだ、私ってやっぱりヒロインなんじゃない。こうして王子様が助けに来てくれたのね。


「助けてください、私この人たちにつかまっているんです! 私は何もしていないのに。信じてください!」

「ふっ、なるほど。噂にたがわぬ…………愚者だね」

「え?」

「平民の小娘が、この状況で王族である私に身勝手に口を利くなんて許されるとでも思っているのかな?」

「わ、私はホスタ様と特別に親しくて」

「そうなんだ。でも、それは私には何の関係もないね」

「でもっ、私は絶対にお役に立ちますし」

「何の?」

「えっと、この流星群を乗り切る戦力として――」

「レベル1の分際で?」


 私の言葉を遮るように発せられた言葉に改めて第一王子を見ると、笑っているように見えた顔がまったく笑っていないっていう事に気が付いた。

 なに、怖い……。


「正直ね、ブルーローズ嬢が放置している以上、私が君を裁くのも筋違いかって放置していたんだよ。だって、あくまでも当事者はブルーローズ嬢であって私ではないからね」

「裁くって、どういう意味ですか」

「ホスタも何のために学園に通っているんだか。君のような身の程知らずの平民なんて不敬罪で早々に処分してしまえばいいのに馬鹿で中途半端な親切心なんて持つから付け上がらせるっていうのに。本当に、最初が肝心っていう言葉が理解出来ないなんて、弟ながら情けないよ」

「あ……、もしかして兄弟仲が悪いんですか? だからそんな事を言うんですよね。私に任せてくれたら兄弟の仲を取り持てます!」

「別に、良くも悪くもないけど? そもそも、なんで君にそんなことをしてもらわないといけないのかな。平民なんだから身の程をわきまえるべきだね」

「お、王族がそんな風に身分差別をするんですか?」

「当たり前だよ。だって、私は王族だからね。王族と平民を同列に見るなんてありえないよ。でも、間違ってほしくないんだけど差別じゃないよ、区別しているんだよ。でも、君の事はぜひとも差別したいと思っているよ」

「なに、それ……」


 向けられる冷たい視線に檻の中で私の安全が守られているのに震えが止まらない。


「王族であるブルーローズ嬢に対する散々な不敬行為は、差別するのに十分だよね。そもそも、ここに君みたいな何の役にも立たない人族が居る時点で、邪魔でしかないんだよね。妨害罪でこのまま魔物の餌にしてもいいんだ、君程度の存在がいなくなったところで、誰も困らない」

「い、いやっ」

「いや? じゃあ、何しにここに居るの? 戦えもしないくせに、邪魔しに来たんだよね? だったら大人しく魔物の餌になるしかないじゃないか。私は何か間違っているかな?」

「私はヒロインなのっ、聖女になるべき存在なのっ。死ぬとか、ありえないし」

「聖女って、それはまた想像力がたくましいものだね。君、一騎当千とか、千人隊長って言葉は知っているかな? そんな学はないかな?」

「い、一騎当千ぐらい知ってます!」

「聖女とかになれるのは、最低でもそのレベルだよ。レベル1でしかない君じゃお話にもならない」


 な、なによそれ。


「わ、私には才能があるんです!」

「才能ね。小隊長が確認したステータスでよくもまあ、才能とか言えたものだ」


 馬鹿にしたような声に頭に血が上ったけど、向けられた笑ってるのに笑ってない顔に体が震える。


「ああ、そんなに怯えないでほしいな。安心していいよ? 参加レベルに達していればここは比較的安全な戦場だから。でも、そうじゃないんだったら……どうなんだろうね」

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