流星群イベント3
ゴッ、という風音と共に眼前の魔物が消し飛んだのを確認して扇子を持った手を下ろして現在の順位を確認いたしますと、残念なことにわたくしは四位に甘んじているようでございます。
「ブルーローズさん、初日の順位発表よろっ」
「十位、マリーゴールドさん三千二百三十九万二千三体。
九位、ジャスミンさん三千二百四十一万五千二十一体。
八位、アマリリスさん三千二百四十二万五体。
七位、ローレルさん三千二百四十二万八千二百六十九体。
六位、ウィローさん三千二百四十三万四体。
五位、ペチュニアさん三千二百四十三万九千四十一体。
四位、ブルーローズ三千二百四十四万九千二百七十四体。
三位、ラベンダーさん三千二百四十五万二百四体。
二位、マグノリアさん三千二百四十五万四千十八体。
一位、カシアさん三千二百四十六万十九体」
「うっそん! 思ったより差が出てる」
「むー、ジャスミンちゃん九位とか信じられない!」
「ちょっと男子~、もっと魔物湧かせなさいよ~」
「ほれ男子、呼ばれとるで」
「アタシはオトメよ!」
「ふっ、この勝負貰いましたね」
「数万ぐらいの差で油断しないでほしいんだけど」
確かに、このぐらいの差でしたら十分に逆転は可能でございますわね。
そもそも、『まだ』二十四時間しか経っておりませんもの。
「ブルーローズさんは人族だからそろそろ疲れとかやばいんじゃない?」
「ご安心くださいませ。この日の為に回復系の霊薬を山のように準備しておきましたわ」
「ひゃっふー、さっすが不眠乙女様」
「んでも、その扇子の打撃力やっば」
「ブルーローズさんって運営に武器系は要求しなかったよね?」
「うんうん。神武器じゃないのに一撃で数千体ぶっ飛ばすとかこわ」
「錬金術で作れる打撃武器として極めていますね」
あら? 何か勘違いされているようでございますわね。
わたくし、この扇子が打撃武器だなんて一言も言っておりませんのに。
確かに転生してからこの扇子での攻撃は打撃以外に使ってはおりませんけれども、思い込みをすると痛い目に遭いますのに困ったものですわね。
「この扇子、打撃系武器ではございませんわ」
『お?』
「斬撃系武器でございますの」
わたくしはそう言って扇子を開きまして、顔の前に持ってきますと「解放」と呟きました。
「わぁお。一気に大きさ四倍になったよ」
「それって作るのが面倒くさすぎて誰もが失敗か挫折したって言う噂のアレ?」
「さっすがウィスタリアさん改めブルーローズさん。おれたちにできない事を平然とやってのけるッそこにシビれる! あこがれるゥ!」
巨大化した扇子を手にしてわたくしは飛び上がると魔物の群れに向かって速度を保ったまま落下していき、くるりと一回転横に一線扇子を振るいました。
「死兆星・花扇、ここに整いましてございますわ」
周囲一帯から魔物が消し飛んだのを確認してその中心に背筋を伸ばして立ちます。
「これは、確かに油断出来ませんね」
「そんなLR武器見ちゃったら、ジャスミンちゃんも奥の手を出しちゃうよ」
そう言ったジャスミンさんの周囲に無数の蝶が現れて周囲に飛んで散っていきます。
「ちょっ。ばっ」
その瞬間ジャスミンさんの周囲から全員の姿が消え、直後に閃光が一面を照らし出した後、その場だけ世界から切り離されたような静寂が訪れてしまいます。
「閃光蝶とか、アタシの目と耳がやられるわ~」
「やだやだ、これだから加減を知らないってたちが悪いんだから」
「自重しないとねー」
本当に、少しはわたくし達が稼ぐ分も残しておいてくださいませんと、暇になってしまいますので加減していただきたいですわ。
「あかん、この辺の魔物全部消し飛んでもうた」
「湧き速度三十倍でも溜まるまでしばらくかかるわよー」
「少ない数を奪い合うのは効率が悪いよね」
「しかたがありませんわね。休憩を兼ねて他の場所を回るというのは如何でして?」
「一般人が邪魔くない?」
「それな」
そう言われてしまいますと否定出来ませんわね。
「こんな時は、恋バナよ~」
『なんで?』
「ブルーローズさんだってランイベの生放送でコメント読み上げしていたじゃないの~。似たようなものよ~」
「それなら歌枠希望したい」
「雑談っ」
「ASMRじゃないの? ブルーローズさんの百合お姉様ボイス聞きたい」
「でも、ティリちんとの恋バナは確かに捨てがたいよ」
「わたくしの恋バナでございますか。そうは申しましても、わたくしがフィラ様を正式に番と認識致しましたのは初潮を迎えてからでございますし、疑似行為はともかく、ちゃんとした関係になったのは成人してからでございますのでそこまで話す事はございませんわよ」
「疑似行為とか、それだけで賢者にはきつい言葉なんですよね」
「魔法使いじゃないの?」
「賢者の方がかっこいいじゃないですか」
「妖精っていう説もあるわよね」
「仙人説を推したい」
「アレって、つっこまれる側でつっこむ側じゃなかったらいいのかしら~?」
「いや、ダメっしょ」
「それなら、自家発電もアウトじゃないのん?」
「ん~どうなんだろう。有識者いる~?」
「いてたまるかいな」
そんな雑談をしながら休憩をしていると、はるか上空にフィラ様が作り出した記録用の魔法が見えましたので手を振っておきましたわ。
フィラ様もここにいらっしゃいましたらレベルも上がったと思いますのに残念でございますわね。




