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学園生活16

「ブルーローズ嬢、よければ一緒にテスト勉強をしないか?」


 クラスでベロニカ様とお話をしていると何気なくかけられた声に振り向けば、そこにはネリネ様がいらっしゃって内心で相変わらず暇人はこれだから扱いが面倒だと困ってしまいますわ。


「ありがたいお言葉ですがご遠慮申し上げますわ。わたくしは改めて勉強しなければ成績を落とすほど無能ではございませんもの。ネリネ様と時間を過ごすぐらいなら友人とお茶をしていた方が余程有意義でしてよ」


 わたくしの言葉にネリネ様は「やっぱりか」と肩を竦めつつもクラスの中に入っていらっしゃって、わたくしとベロニカ様の話の輪に加わろうとなさってきます。


「なんの話をしてたの?」

「昨今の学園の生徒の皆様の能力の低さに嘆いておりましたの」

「そりゃ、学園きっての才女であるブルーローズ嬢からしたらそこら辺の生徒なんて蟻同然だろうね」

「ブルーローズ嬢、君は王族の一人としてもっと周囲を気遣う発言をすべきだ」

「あら、盗み聞きとは感心しませんわねホスタ様」


 はあ、面倒な人たちに絡まれてしまっていますわね。

 わたくしの事など放置して青春を楽しめばよろしいのに、何が楽しくてわたくしに構ってくるのでしょう?

 正直言って、この方々と関わるとわたくしがこの世界で最も関わりたくない人物に高確率で関わる羽目になるので止めていただきたいのですけれど、言ったところで意味はないのでしょうね。


「お話の途中申し訳ありません。エッシャル女大公様、よろしいでしょうか?」

「パキラ様、どうかなさいまして?」


 国内有数の大手商会会頭のお孫さんであるパキラ様が考えの読めない笑顔を浮かべて近づいていらっしゃいまして、わたくしの前に一輪の青薔薇を差し出していらっしゃいました。


「如何でしょう」


 わたくしはそれをチラリと見て「駄目ですわね」とすげなく返します。

 その途端青薔薇はホロホロと崩れて跡形も無くなってしまいましたが、パキラ様は「次はもっとよい物を作りましょう」と言ってあきらめる様子がありません。

 はあ、本当にわたくしの事は放っておいて欲しいものですわ。

 先日世界樹システムに接続して確認した好感度も、やはり一部の方は上がっておりましたし厄介ですわよね。

 それなのに、ヒロインであるスノーフレークさんへの攻略対象からの好感度はほとんど横ばい状態でございました。

 積極的に話しかけているように見えているホスタ様、カクタス様、バーベナ様に関してはスノーフレークさんへの好感度は全く上がっておりませんでしたわね。


「おはようございます。お邪魔しますね」


 聞こえてきた甘ったるい声と口調に、内心盛大にため息を吐き出しました。


「バーベナ様、最近はお昼もおしゃべりしてくれないし、放課後も図書館で待ってるのに来てくれないし、私寂しかったんですよ? だから来ちゃいました。ホスタ様もカクタス様も、なんだか最近私に冷たい感じがするし、どうしちゃったんですか?」


 スノーフレークさんがそう言いながらこちらに来ましたが、さっとわたくしを隠すようにホスタ様たちが立ち位置を変えたようです。


「Hクラスの君がまさかSクラスに来るなんて思わなかった」

「何言ってるんですかホスタ様。私達同じ学園の生徒じゃないですか。他のクラスに行っちゃいけないなんて決まりはありませんよ」

「常識的な判断能力を持って居れば、Hクラスの者がSクラスに来ようとは思わないだろうね」

「そうなんですか? でも、私達の仲じゃないですか」

「君とは顔見知りなだけだと思うけど?」

「一緒にお昼も食べてるし、バーベナ様なんて二人っきりで過ごす仲なんですよ。ね、バーベナ様」


 そう言ってスノーフレークさんが勝ち誇った笑みをバーベナ様に向けましたが、バーベナ様は冷たい声を発しました。


「申し訳ないけど、今後君に付き合うつもりはないよ」

「は?」

「話しかけられるのも迷惑だから」

「な、何言ってるんですか? 私が居なかったらバーベナ様は意味が無いんですよ? それに、私とバーベナ様が特別に親しいって皆知っていますから」

「それに関してだけど、これ以上その妄言を言いふらすのなら名誉棄損で訴えるから」

「なんでそんな事を……。き、貴族だからって偉そうにして脅す気ですか? 皆に言いますよ!」

「能力の低い平民の分際で、貴族に無礼な物言いをする時点で不敬罪で処罰されてもおかしくないんだけど」

「カクタス様まで! 身分差別なんて最低です!」

「君の行動のせいでどれだけの平民が迷惑しているのか知らないの?」

「何の事ですか?」

「君のせいで、黒制服の平民は随分肩身の狭い思いをしているって話だよ」

「それ、私のせいじゃないです。私は虐められていますから」


 きっぱりと言ったスノーフレークさんに、クラスに居る方々が呆れたような視線を向けました。


「お姉様がクラスの人に命令して、私を虐めてくるんです。私の事が気に入らないから、憎いからって、皆を巻きこむなんてあんまりです」

「根拠は?」


 静かな教室に、ネリネ様の声が響きました。

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