表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/119

学園生活8(スノーフレーク)

 救護室から出ていったカクタスが扉を閉めた瞬間、私は座っていたベッドの枕をつかんで力いっぱいカーテンに投げつけた。

 少し厚めのカーテンが揺れて枕が床に落ちる。


「なんなのよ」


 好感度を上げるために積極的に話しかけてあげているし、一緒の時間を作ろうと誘っても悉く断ってくるとか、意味わかんない。

 話していけば好感度が上がっていくヌルゲーのくせに、手間取らせるんじゃないわよ。

 確かに、話しかけるには行動ポイントが必要だったけど、別になりふり構わず話しかけてるわけじゃないんだし、あれって毎日回復してるやつだから足りないってはずはないわよね。

 やっぱり能力値とかレベル上げしないとダメ系?

 あいつら初期実装キャラだからって生意気なんじゃないの?

 ヒロインである私が攻略してやろうって言うんだから大人しく攻略されればいいのに。

 とはいっても、ホスタとその周辺以外のキャラって興味ないって言うか、ホスタついでに攻略した感じだから覚えてないのよね。

 だって、関係性のあるキャラでデッキを組むと連携技が発動したりするんだもん、そっちの方が楽だし。

 しかし、ホスタ、バーベナ、カクタス以外ってサルビアとカミーリャぐらいしか攻略してないのよね。

 どっちも平民の冒険者だから雇わないと最初は接点ないし、雇うにはお金がかかるからあんまり選びたくないな。

 そりゃあ、別に生活に困ってるわけじゃないけど、攻略対象如きにヒロインである私がお金を使うとか、普通逆だし。

 課金する人ってお布施とかいって自己正当化してるけど、ああなったらお終いよね。

 私みたいにムダ金使わずに賢く遊ぶのが一番だっての。

 イライラしながらベッドから立ち上がって乱暴にカーテンを開けて救護室を出ていく。

 クラスに戻って鞄をつかんで帰ろうとしたところで後ろから声をかけられた。

 振り返ると、数人のクラスメイトがもの言いたげに睨んできている。


「な、なんですか?」


 私の邪魔をしてくるとか絶対に近い未来に退学にさせてやると内心思いながらも、表面上は怖がっている演技をしておかないとね。


「貴女、今日もお昼休みにホスタ殿下たちにちょっかいかけてたわよね」

「そんな言い方しないでください。私はただ仲良くなりたいって思ってるだけです」

「放課後だって、何の用事もないのにふらふらと男漁りに構内をうろついてるそうじゃない」

「そっそんな事ありません! まだ慣れていないから慣れようと思って歩いているだけです!」

「あっそ。でも、迷惑だからやめてくれる?」

「迷惑なんて、誰がそんな事を言ったんですか」

「俺達が迷惑してんだよ!」


 はあ? 何言ってんのこいつら。


「平民の黒制服は常識が無いとか、身の程知らずってお前のせいで言われるんだよ」

「な、なんで」

「なんでとか言わないとわからないの? お貴族様に平民が許しもなく声をかけるとか非常識にもほどがあるわよ。子供ならいざ知らず、私達は成人しているのよ」

「で、でも……、怒られた事なんてないですよ」

「平民だからって怒鳴り散らしたらそのお貴族様の印象が悪くなるから見逃してもらえてるんだよ! そのぐらい考えなくてもわかれよ!」

「や、優しくしてくれますし」

「だから、私達みたいな平民なんてその気になったらすぐに処分出来るけど、やらないでいてくれるんじゃない」

「折角生活が楽になったのに、あんたのせいでお貴族様からの平民への印象が悪くなったらどうしてくれるの? あんたが責任とれるの?」

「なんでそんな事言うんですか! 同じ学園の生徒なんだから仲良くして何がいけないんですか!」

「同じ学園の生徒でも弁えろっていってんだよ!」


 ガンっと男子の一人が近くにあった椅子を蹴った。


「他の平民クラスのやつらまで俺ら黒制服を差別し始めてんだぞ」

「そんなの、私は関係ないじゃないですか」

「貴女のせいよ!」

「どうしてですか?」

「だから! お前が身の程知らずな事をしてるせいだって言ってんだろう!」

「せめてBクラスならここまで言われなかったかもしれないけど、私達はHクラスなの。この学園の最底辺なの。貴女が勝手に破滅するのは自由だけど、私達まで巻き込まないで」


 なんで私がこんな風に責められなくちゃいけないわけ?

 こいつら、いっつも私の事を睨んできてたし、ブルーローズをやたら褒めてたし……。


「わかりました」

「わかったんだったら今後は――」

「皆さん、お姉様に何か言われたんですね」

「はあ?」

「酷いです。権力を利用して平民を脅すなんて」

「ちょっと、あの子ついに頭がおかしくなったんじゃない?」

「私、お姉様にこんな事止めるようにお願いします! もう大丈夫です! 私に任せてください!」

「やめてよ! エッシャル女大公様に余計な事しないでよ!」


 慌てたようにクラスに居たやつらが騒いだけど、鞄を持ってクラスを出て乗合馬車の方に早歩きで進んでいく。

 なるほどね、あいつが手を回してるから攻略がうまくいってないのかも。

 考えればホスタ達ってブルーローズと関係があるのよね。

 あいつはそもそもちゃんとゲーム通りの動きをしないし、絶対何かしてるんだわ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ