乙女ゲームスタート8
どうしてでしょう。以前確認した時よりも一部の攻略対象キャラの好感度が上がっておりますわ。
勝手に好感度を上げてくるなど、迷惑千万でございますのにどうすればよいのでしょう。
先ほど好感度リセット方法を色々試しましたが出来ませんでしたし、わたくしに対する記憶のデリートまで試したのですがエラーが出てしまいましたのよね。
世界樹システム、やっぱり死にシステムですわね。肝心なところで役に立ちませんわ。
「ロジー、難しい顔をしてどうした?」
「おかえりなさいませ、フィラ様。世界樹システムの無能さに呆れ果てている所でございますわ」
「いや、世界樹が無能というのはないだろう」
「人の心ひとつ操れず、何が世界樹システムでして? 本当に役に立ちませんわね」
「その世界樹に、先日焦土と化したダンジョンを修復させたのではなかったか?」
「Aクラス程度のダンジョンはやはり手ごたえがございませんでしたわね。次は時限の暗黒星に参りませんか?」
「Sクラスダンジョンの中でも最高難易度だぞ!? 攻略したものなどいないのだぞ!?」
「しましたわよ? 確かに時間制限がございますので少々急がなくてはいけませんけれども、要するに現れる魔物を片っ端から倒して最深部のコアを破壊してしまえばいいのですし、他のダンジョンと基本は変わりませんわ」
「……………………そうか。あそこに出現する魔物は全てSクラスの中でもトップレベルの危険指定が入っていたものだと記憶していたのだが」
「そんなものどうとでもなりますわよ」
「そうか……。とりあえず、ロジーとダンジョンにデートに行くと命の危険を感じるのだが」
「光と火と風魔法にはまだ伸びしろがありますわ。剣の熟練度もまだいけますし、レベル上限にも達していないのですからまだ成長可能なのですもの、わたくしの番たるものSクラスダンジョンの単独制覇ぐらい準備運動程度にこなしていただきたいですわ」
わたくしの言葉にフィラ様の顔が青褪めましたけれども、魔王陛下になるのですしそのぐらいは出来るようになっていただかないと何かがあった時に大変ですわ。
流星群イベントがいつ起きるかわかりませんし、総合ノルマがどれほどに設定されているのかがわからない以上、ランカーがわたくし以外いない状況ではフィラ様にも頑張っていただく必要がございますわ。
厄介なペナルティが発動したら困ってしまいますもの。
世界樹システムで過去の流星群の発生時期や総合ノルマの達成具合を確認いたしましたら、時期は本当にランダムで、数十年発生しない時もあれば、翌年にまた発生したりした時もあったようですの。
しかも、今まで発生した流星群の七割近くが総合ノルマ未達成で終了したようでございます。
もし『花と星の乙女』でのイベントでしたら運営陣に抗議が入って総合ノルマ設定に関してテコ入れが入りますわね。
とりあえず、魔物を大量消滅させる用の超範囲攻撃魔道具はいくつか作っておりますけれども、あの魔道具を使うとクレーターが出来てしまい景観が損なわれてしまいますのであまり使いたくないのですよね。
ダンジョンでしたら世界樹システムで修復可能なのですけれども、地上エリアもそうだとは限りませんものね。
ちょっと実験にそこら辺の適当な荒野で使用したいと申しましたら、フィラ様に止められてしまいましたし、どういたしましょう。
「あ」
「どうした?」
「十日後なのですが、フィラ様はお休みは取れまして?」
「取れるとは思うが、ダンジョンか?」
「それでもよろしいのですけれども、たまには趣向を変えて別な所に行って見ようと思いますの」
「ほう、そうか!」
「けれども、魔人であるフィラ様が人族や亜人の国を簡単に出歩くことも難しいですわよね。その見た目ですもの」
角、一時的に折るとか出来ますかしら? 角が無ければちょっと耳が尖った人外の美しさを持った男性ですわよね。
「……じっと見ているが、この角は当たり前だが収納は出来ないからな」
「ええ、ちょっと折れないかと思っているだけでしてよ」
「そんな爪を切るような軽い感じで言っていいものではない」
「世界樹システムを使って再生すればいいのではないでしょうか? 新品になりますわよ?」
「そのちょっと再生させればいいという感覚で、我が何度被害に遭ったのかわかっているのか?」
「回数をお教えいたしましょうか?」
「我が悪かった、やめてくれ」
即座に謝罪なさったフィラ様に「そうですの」と返してからフィラ様と出かけるにふさわしい場所を考えていきますけれども、『花と星の乙女』の恋愛系や好感度イベントに出てくるような場所はもれなく人族や亜人の国でございますので、フィラ様と行くにはやはり向きませんわよね。




