異母妹は存在しません2
とりあえずパーティー中止のお手紙を書き終えてジェイドに配送を依頼してから、お風呂を頂くことにしたのですが、ここぞとばかりにフィラ様も入っていらっしゃいます。
婚約当初からほぼ毎回の事でございますので別に構いませんし、わたくしに恥ずべきところなど何一つございませんので逃げも隠れも致しませんけれども、この行動に番だと判明するまで本気で幼女趣味を疑いましたのよね。
ご本人は婚約者としての親睦を深める云々と言っておりましたが、誰がどう見ても言い訳にしか聞こえませんでしたもの。
親睦を深めるにしても、わたくしの髪を洗ったり体を洗ったりとかいがいしく世話を焼く姿はもうそう言う趣味の方だとしか言いようがございませんでしたわ。
今となっては番だとわかっていたからだと理解も致しますけれどもね。
それにしても、フィラ様がわたくしの髪や体を洗うのはいいのに、わたくしがフィラ様の髪や体を洗うのは拒否なさるとか、納得がいきませんのよね。
一度魔法で動きを止めて強制的に洗って差し上げましたら、拘束を解いた後に土下座でもうしないでほしいと懇願されてしまいましたのであれ以降しておりませんが、やはり納得がいきませんわ。
わたくしはお世話されることはもちろん大好きでございますが、たまにはお世話をする側にもなってみたいと思う事もございますのに。
このわたくしがお世話をして差し上げるなんて泣いて喜びこそすれ、土下座してやめてほしいなんて言われるなんて、傷つきますわ。
それにしても、毛穴……。
「ロジー、まじまじと我の裸体を見られると照れるのだが」
「いえ、その陶磁器のような肌のどこに毛穴があるのかと純粋に不思議に思いましたのよ。胸毛どころか脇毛も陰毛もございませんし、ひげも生えませんわよね。それなのに毛穴?」
「髪の毛と眉毛は生えているだろう。それに、我にだって毛穴ぐらいある」
「それが信じることが出来ないから言っておりますの」
いえ、本当に肌に触っても滑らかでスベスベですわよね。
かといって体がたるんでいるわけではございませんので、しっかりとした体つきには安定感がございまして、抱きかかえられた時などは安心感を覚えるのですが、それとこれとは話が別で、毛穴……。
「それを言うのならロジーだってムダ毛が一切ないし、毛穴など全くないように見える陶磁器のような絹肌だろう」
「このわたくしにムダ毛などという物は存在しませんし、不要な毛がないのですからそれに伴い毛穴が消滅しているのは当たり前ですわね」
「そうか、当たり前か」
あら、フィラ様ってばなにを諦めたような遠い目をなさっているのでしょうか?
ともかく、フィラ様に体と髪を洗っていただき先に浴槽に入りましてご自分の髪と体を洗うフィラ様をじっと観察いたしますが、何度見てもアレですわ。
ゲームのキャラが動いているのってすごいですわよね。
これだけでもこの世界に転生してよかったと思いますわ。
転生したと思い出してから今日まで、なんだかあっという間だったようにも感じますけれども、婚約者も作りましたし、しかも番ですので絶対にヒロインに靡きませんし、番の婚約者がおりますのでヒロインに嫉妬して云々などという意味不明なことを言われることもありませんわね。
ヒロインに優しくないという点では責められるかもしれませんが、少ない社交でしっかりとヒロインがお父様の愛人の元娼婦の娘で、エッシャル大公家に居候して図々しくお金を食いつぶしていると噂を撒いておきましたので、そこまでひどいことにはならないと思いますわ。
わたくしの名前で慈善事業や公共事業も行っておりますし、今の所は国民からのわたくしへの感情も悪くはないでしょう。
しかし、遺伝子上の父親が亡くなった以上、愛人の娘であるヒロインは別邸から出て行っていただかなくてはいけませんわね。
適当な家を平民街に購入して、いえ、『花と星の乙女』では拠点は王都内とはなっておりましたが具体的には何処にあるかは明記されてはいませんでしたわね。
まあいいでしょう、そもそも平民なのですし平民街で過ごすことが普通ですわよね。
後からグダグダ言われるのも面倒ですし、何の面識もございませんが一応お見舞金としてまとまったお金を渡しておきましょう。
ええ、エッシャル大公家と今後一切関りを持たないようにとの手切れ金だと思えば安いものでございますわ。
学園に入学して、少なくともゲーム期間中は衣食に困らない遺産だと明言しておりましたので、そのぐらいのお見舞金をお渡しすればよろしいですわね。
はあ、流石に疎遠にしているとはいえ実の父親の葬儀を行わないわけにもいきませんし、そちらの手配も大公家として侮られないものにしなければいけませんので面倒ですわね。
余り貧相なものにすれば、いくら社交界でも我が家の親子の中が冷え切ったものだと有名であってもどこで足を引っ張られるかわかったものじゃありませんわ。
引っ張られた程度でわたくしが気にするかどうかはまた別ですけれどもね。




