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婚約いたしましょう2

「それで、フリティラリアウーゾアステリ=キャルイス=ティリアン様のお返事は如何でしょうか?」

「フルネームで呼ぶな」


 唸るような低い声で言われてしまいました。

 無理にご招待したことを根に持たれてしまったのでしょうか?

 今後婚約者として友好的な関係を築いていきたいのですが、初手で問題が発生というのも困ってしまいますわね。


「けれど、魔人は力こそすべて。上位の者には絶対服従。わたくし、正直なところフリティラリア様より確実に強いですわよ?」

「そうだろうな。何の準備も無しにいきなり我をこんな場所に召喚したぐらいだからな」


 この世界の本来のステータス上限は人族ではA、亜人や魔人でもSが限界値です。

 しかしながら、わたくしのステータスは数々の高難易度イベント上位ランカー特典としてステータスの限界突破をしておりますし、レベルに関しては公式カンスト数値である500を突破して計測不能となっております。

 これに関しては、公式から上限解放をしてもその場でカンストする極一部のユーザー認定されていることからもわかっていただけるかと思います。

 ちなみに、1000レベルを上限にしても即時カンストするのだそうです。

 これはお問い合わせで確認しましたので確実な情報でしてよ。

 ステータスは適正値以外は訓練により上限はございますが上げることが出来ます。

 ただし、適正値ばかりはわたくしのように運営から頂いた特典で上げない限り変動はございません。

 まあ、言ってしまえばこの適正値のランクに関してのみは『花と星の乙女』のリセマラ要素とも言えたかもしれません。

 初期に入力する誕生日と血液型、そしてヒロインの『フルネーム』によって初期ステータスや適性ランクが決まるのです。

 デフォルト名でも、入力する誕生日と血液型次第で高ランクの適正になることもありますので、これに関しては数多の方がリセマラを繰り返して検証なさいましたね。

 結局基準が判明することはわたくしが記憶している限りはありませんでしたけれども。

 一般的に、ステータスのランクは人族であればA~Hが適応されます。

 ふふ、ステータスだけ見たらわたくしってば人外もいいところですわね。こんなにいたいけな七歳児ですのに。

 人族の上位種族である魔人を『正式名称』だけで呼び出すなんて力業を行使したのは、もちろん力を見せつけつつ、快くわたくしのプロポーズを受けていただくためです。


「逆にお訊きしますけれど、わたくし以上にフリティラリア様に相応しい女性は居ないと思いますのよ」

「自意識過剰じゃないか?」

「わたくしのフルステータスを見てみますか?」

「やめろ、番でもないのにそんなものを見せるな」


 あ、基本的にステータスのフルオープンは番になった者同士で行うというのが常識でございます。

 人族も亜人も魔人も生涯たった一人の番を見つけるという事は珍しいので、見せるという事は滅多にありません。

 伴侶が必ずしも人生にたった一人だけの番とは限らないというのが世知辛いですが、そんな事を言ってしまったら乙女ゲームが成り立ちませんものね。

 とはいえ、わたくしの神眼で相手のフルステータスを見ることが出来ますけれど、今は関係はありませんわね。


「残念ですわ。見ていただいたら既成事実という事で婚約を飛ばして遠慮なく娶っていただこうと思いましたのに」

「ろくなことを考えないな」

「わたくしの何がいけないのでしょうか?」

「常識的に、七歳の幼女を娶ろうと考えるわけがないだろう」

「七歳なので少女と訂正していただくことを希望いたしますわ」

「どちらにせよ、範囲外だ」

「……前世では三歳で嫁いだ女性がいるという記録もあるのですが」

「それは流石に嘘だろう」

「いえ、史実ですわね」

「幼女に対して嗜虐趣味でもある世界だったのか?」

「いえ。ただ寿命の関係上初潮を迎えれば一人前の女性扱いだったようですわ」

「……だったよう、ということは。君の常識では違うという事だな?」

「まあ、結婚が認められるのは十六歳でしたわね。一応」

「この国は」

「ファンタリア王国ですわ」

「あー、ファンタリア王国の成人は十六歳だろう」

「そうですわね」

「それで、君の年は?」

「もうお忘れですの? 七歳ですわ」


 わたくしの言葉にフリティラリア様が再びわたくしの瞳を覗き込んできます。

 流石は運営が絶対に攻略できない美形キャラとして作っただけあって、人外じみた美しさですわね。魔人ですけれども。


「我に、幼女趣味は、ない」

「そんな趣味があったらいくら美形でもドン引きですわ」

「君……」

「でも、将来のわたくしは自分で言うのもなんですけれども美少女ですわよ? スタイルもいいですし」

「本当に自分で言うのもなんだな」

「ちょっと胸がそこまで大きいとは言えませんが、むしろ手の中に納まるジャストフィットサイズかと」

「いや、そう言う問題じゃないだろう」

「けれども、ウエストは補正の必要が無いほどに細いですし。あ、でもあまり細いと色々大変でしょうか?」

「……一応聞くが、色々ってなんだ」

「妊娠とかその前段階のセッ――」

「わかった、言わなくていい」


 手を前に出されて言葉を止められてしまいました。

 照れ屋さんなのでしょうか?

 婚約をして円満な夫婦生活を営んでいく上で重要な事だと思うのですけれど。

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