表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/119

社交界デビュー5

「ホスタ様は、お母様の婿であるお父様の愛人とその娘をわたくしが家族だと認めるべきとおっしゃるのですか?」

「ああ。お爺様だって父上だって妃を何人も持っている。ブルーローズ嬢の母君は王族なのに伴侶を一人しか持たなかったようだが、尊き血を守るためにも伴侶は多い方がいいはずだ」


 おかしいですわね。わたくし、今言いましたわよね?

 遺伝子上の父親はお母様の婿だと。

 そう思ってお爺様や伯父様、クロトン様を見ましたが呆れたような目をホスタ様に向けていらっしゃいます。


「そちらの平民は元娼婦で、彼女の娘もお父様の娘かどうかもわかりませんのに?」

「スノーフレークは間違いなく私の娘だ!」

「確かに、金の髪に緑の瞳、持って生まれた色は同じですわね。それで、それが何か?」

「私の娘である証拠には十分だ」

「そちらの女性がお相手なさった中に、金髪で緑の瞳を持った方が他にいらっしゃらないとでも? もしそう言われたとして、信じられると? 顔立ちはお美しいと言われるそちらの平民に似ているそうですが、他に実の娘だと確信を持てるものがございまして?」

「父親に向かってなんて言う無礼な口をきくんだ!」


 図星を突かれると逆上する場合もあると言いますが、この状況がそうなのでしょうか?


「エッシャル大公代理の言う通りだ。君は子供なのだから父親に対して逆らうような発言をすべきではない」


 またもや状況をわかっていないホスタ様の発言にお爺様達もさらに呆れた視線を向けていらっしゃいます。


「ホスタ、エッシャル大公代理は現時点で大公家の人間ではあるが婿でしかなく、王族ではない」

「それはわかっています」


 見かねた伯父様の言葉にホスタ様が当たり前だと言うように頷かれました。

 わかった上での先ほどの発言というわけですのね。


「ホスタ様、確かに王族であるわたくし達は万が一に備え多くの子を成すことも重要な役目でございます。けれどもそれは王族だからであることはご存じですわよね?」

「君はわたしを馬鹿にしているのか?」

「では、何ゆえにわたくしにそこに居る平民とその娘を家族として受け入れろとおっしゃるのでしょうか?」

「だから、君の父親の愛する人なら受け入れるべきだろう。それが上に立つ者の余裕という物だ」


 流石、乙女ゲームの攻略対象キャラですわね。随分と懐の広いお言葉ですわ。


「なるほど、ホスタ様が広いお心を持っていらっしゃるのはよくわかりましたわ」

「そうか」

「けれど、それを他人に押し付けるのは傲慢であるとご理解いただきたいものですわね」

「なんだと?」

「わたくし自身それなりに自分勝手だとは自認しておりますが、ホスタ様は現実を見ずに上辺の綺麗な部分だけを見てそれこそが正しいと信じ、わたくしに押し付けようとしております。非常に不愉快ですわ」

「君には人を思いやるという感情が無いのかっ」

「こちらの方々へ何かを思いやるつもりはございませんが、わたくしなりに気遣いはしているつもりでしてよ」

「だったら父親の愛する者を受け入れるべきだ!」

「困りましたわね。ホスタ様には言葉が通じないのでしょうか? わたくしは気遣いをしているからこそ、彼らの事を思って親子三人で仲良く暮らせるようエッシャル大公家と縁を切り、手切れ金を用意すると言いましたのよ」

「実の父親を捨てるというのか!」

「先にわたくしを、というかわたくしとお母様を捨てたのはあちらなのですけれど?」

「君とはとことん話が合わないらしい」


 それはわたくしが申しあげたいですわね。


「とにかく、実の父親が金銭で困窮しているのなら多少の工面をすべきだろう」

「本当に困窮しているのでしたら、身の丈に合った生活をすべきだとわたくしが言った言葉は聞いていらっしゃいませんでしたの?」

「エッシャル大公家の者なのだからそれ相応の格好をして何かおかしなところがあるのか?」

「そちらの平民はお父様の愛人であってエッシャル大公家の者ではございませんわ」


 わたくしの言葉にホスタ様が首を傾げます。

 おかしいですわね、『花と星の乙女』ではホスタ様は几帳面な所はありつつも、兄であるクロトン様へのコンプレックスを抱え、クロトン様とは違って平民の目線に立って物事を考える王子様、というコンセプトだったはずでございます。

 こんな言葉が通じない思考能力に欠ける人物ではないと思うのですが、まだ幼いので多くの事を考えることが出来ないのでしょうか?


「ただの平民が、あのような高価な宝石を身につけているのに、自分達は金銭面で困窮しているから援助して欲しいと言われ、快く了承する者がいると思っていらっしゃいますの?」

「宝石の一つや二つで大げさだな」


 ホスタ様が呆れたようにわたくしを見て横に首を振った後にわざとらしくため息を吐きました。

 三歳から始まる王族教育には物の価値観も含まれているはずなのですが、あの宝石の価値を理解した上でおっしゃっているのでしょうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ