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これもまたお約束13

「あらまあ、ホスタ様ってば困ったお方でございますわね。王族でございますのにそんな簡単な罠に引っかかってしまうなんて、まったくもって嘆かわしいことでございますわ」

「平民が伴侶や妃になった前例がないわけではないけれど、あくまでも優秀である者を取り込むための特例だったからね。今回の事を理由にエウヘニア嬢が伴侶になると名乗り出られると少し困るな」

「そもそも、バーベナ卿に不敬罪で訴えられている平民が王族の伴侶になれるはずがありませんよ。それに、そのフィリアス卿も共犯者となれば恐喝罪、不敬罪、詐欺罪などになるのではありませんか? 二人纏めて捕らえてしまった方がいいのではないでしょうか?」


 プルメリア様の言葉に、クロトン様が苦笑なさいました。

 至急内密での話があるという事でクロトン様にご招待を受けまして参加いたしましたお茶会にはプルメリア様もいらっしゃいまして、和やかに始まったお茶会のついでの話のように言われたホスタ様に仕掛けられた罠に呆れてしまいました。


「ホスタ様はご自身の影をお持ちではありませんの? 主の危機に対処出来ない影など意味はありませんけれども」

「父上から貰ってないんじゃないかな。私やプルメリアは成人のお祝いに強請ってもらったけれど」


 王族としての行動とはいったい何なのか考えたくなってしまいそうになりますけれども、クロトン様とプルメリア様が同じ行動をなさっているので、この場合変わっているのはホスタ様でございますわよね。

 わたくしの場合は影など必要ございませんし、必要なら宝石精霊の誰かが動けばいいだけでございますもの。


「ホスタ兄様はご病気という事で早めに大公になっていただき離宮で静養に専念していただくのはどうでしょう、クロトンお兄様」

「それをホスタの婚約者候補が了承すればね」


 つまり、離宮に監禁して種馬として働かせるという事でございますわね。

 それもまた一つの手段でございますけれども、王家の色を持った子供が生まれてしまった場合はクロトン様の御子とするか、『守護』の資格者の子供として養子に出すかになるのでしょうか。

 それにしても、プルメリア様の態度は相変わらずでございますわね。

 聞くところによると、既にクロトン様の伴侶の方々に圧をかけていらっしゃるとも聞きますし、クロトン様以外に伴侶を持つとしても、まずはクロトン様との間にお子様を作ってからになるかもしれませんわね。

 流石クロトン様の好感度を上げる際に出てくるライバルキャラですわ、気合の入れ方が違いますわね。


「プルメリアは?」

「なんですか?」

「ホスタを伴侶にするつもりはあるのかい?」

「クロトンお兄様。いくらクロトンお兄様でも許容出来ない冗談がありますよ。どうして私がホスタ兄様の伴侶になんてならないといけないんですか」

「やっぱりそうだよね」


 クロトン様は知っていたというようにクスクス笑って紅茶を一口飲みました。

 それにしても、本当に想像していない状態になりましたわね。

 こんな形でホスタ様がスノーフレークさんに『攻略』されるとは思いませんでしたわ。

 『花と星の乙女』はキスまでの健全なゲームでございましたのに。

 それで言うのでしたら、わたくしはどうなのかとも思いますけれども、正式な婚約者でございますし番でございますもの。

 そもそも、番だと正確に自覚するまでにもしっかりと教え込まれておりましたので既に逸脱しておりますわよね。


「でも、ホスタ兄様がブルーローズ様を自分の婚約者と思い込むなんて、お父様も予想外でしょうね。まったく、仮定の婚約者候補がいつ婚約者になったのか、分かりたくもありません」

「ホスタは相変わらず不器用だよね」

「不器用ですめばいいですね。本人は王族云々と言っているのにあれでは、とんだお笑いものです」

「プルメリア、お口が悪いよ」

「はーい」


 どちらにせよ、ダチュラ様が何を企んでいるかは分かりませんけれども、ホスタ様がわたくしの周囲をうろつかないというのであればわたくしにとっては嬉しい事でございますわ。

 面倒事の元凶のスノーフレークさんを引き受けてくださるんですもの。

 わたくしが見ている限り、スノーフレークさんはホスタ様、バーベナ様、カクタス様を中心に狙っていらっしゃるようですし、他のクラスに在籍していたり教職員にいる攻略対象者は存じませんけれども、どちらにせよホスタ様がわたくしに関わってこないのであればスノーフレークさんのうるささとも離れる事が出来ますわ。


「そういえばブルーローズ様」

「なんでして?」

「フリティラリア様とのご婚約発表はいつなさるんですか?」

「さあ? 伯父様方次第ですわね」


 微笑んでそう言うと、なぜかプルメリア様が頬をほんのりと赤く染めてしまいました。


「ブルーローズ嬢、私の妹すら落とすつもりかな?」

「何の事でして? 人聞きの悪い事をおっしゃらないでいただきたいものですわね」

「私はもう慣れているしいちいち何とも思わないけど、プルメリアは耐性がまだ薄いんだよ」


 本当に何の事でございましょう?


「ブルーローズ様の微笑み、プライスレスです」


 プルメリア様、そんな俗っぽい言葉をどこで覚えましたの?

青薔薇の蕾編はこれにて完結となります。

ムーンライトにて続編の青薔薇の大輪編を掲載いたしますのでよろしければご覧いただければ幸いです。

ムーンライトにて「茄子@物書きメイド」もしくはタイトルの「絶対攻略不可の人気No1キャラはチート悪役令嬢のお手付きですわ」で検索していただければと思います。

2022/05/30から連載開始!(こちらも完結まで予約投稿済みです)

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