表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
115/119

これもまたお約束9(クロトン)

「うわぁ、すごいな」

「あれは完全に見せつけに来ているなぁ」


 ホスタの婚約者候補を絞り込む夜会に念のため参加している私とネリネ殿は、特別ゲストとして参加することになったブルーローズ嬢とフリティラリア様の姿に思わず「可哀想に」と夜会に参加している子息の何人かに同情をしてしまった。

 以前フリティラリア様がブルーローズ嬢をエスコートした時に着用したドレスも大分扇情的だったけど、今回のドレスもまたなんというか……。


「いやでも目が行くな、あれは」

「そうだね。うん、流石ブルーローズ嬢の見せ方をよくわかっていらっしゃるよ」

「無駄な装飾を使わない分引き立つなぁ。その分スカート部分にはこだわっているけど」

「どちらにせよ、今回『も』離れないんだろうな」


 ネリネ殿の言葉に思わず苦笑してしまう。

 今日の私とネリネ殿の夜会への参加理由は簡単だ。

 間引き。

 他の男に目を向ける令嬢が伴侶になってしまえば、誰の子種を受け入れるかわかったものではないから、ホスタだけをちゃんと見る令嬢を絞り込むための引き立て役。

 駆り出されたほかの子息もそうだ。

 もっとも、中にはあわよくば自分の婚約者を見つけようとしている者もいるかもしれないけど、とりあえずの名目はそんなものだ。

 それにしても、今夜の夜会にブルーローズ嬢が参加したことには正直驚いている。

 僕の時は参加拒否をしていたから、今回もてっきり来ないと思っていたのだけれど、どういう風の吹き回しかな、と思ったんだよね。

 まあ、わかったけど。


「ブルーローズ嬢、今夜は参加してくれて嬉しいよ。やはり君がいないと意味がない」


 ブルーローズ嬢を観察していたら群がる令嬢を置いてホスタがブルーローズ嬢にアタックしに行ったよ。


「勇気あるなぁ」

「弟にこう言うのもなんだけど、馬鹿なのかな?」


 隣に居るフリティラリア様が見えていないのかな?

 あーほら、ブルーローズ嬢が馬鹿にしたようにホスタを見ているし、フリティラリア様なんて虫けらを見るような目で見ているよ。


「本日はホスタ様によき婚約者候補が見つかると良いですわね。わたくしはフィラ様と好きに過ごさせていただきますのでお気になさらず、ホスタ様はご自分のお仕事をちゃんと全うなさったら如何でしょうか」

「え? あ、ああ。複数の伴侶を持たないといけないというのは面倒だな。まあ、うまくやってくれると信じているさ。ちゃんとわたしが君のすばらしさを伝えておくよ」

「なぜそこでわたくしが出てくるのでしょうか? そもそも、わたくしの事についてホスタ様に何かしていただく義理など一つもございませんわ。勝手に思いあがらないでいただけますか? わたくしは先ほど申し上げましたわよね。フィラ様と好きに過ごさせていただくと。この言葉の意味をご理解いただけないのでしょうか? それで王族としてこれまで本当に生きていらっしゃいましたの? 民の為にホスタ様なりに努力なさっているようですけれども、肝心の王族としての振舞いや教養が足りないのではございません? それとも足りないのは状況把握能力でしょうか? 伯父様から聞いておりますけれども、クロトン様とネリネ様、他数名の方は自力で気が付いていらっしゃいますのよ?」

「気付いたって、それはこの国の為に無用な争いを産まないよう君の婚約者候補争いから降りた――」

「そうですわよ。無駄な努力をしている暇があるのなら少しでも有益な努力をすべきですわ。王族とは無駄な努力が許される立場ではございませんの。確かに王族は国民からの税金だけで生活しているわけではございませんが、それでもこの国を運営していくうえで国民の血税を使用しているのです。無駄な努力をするという事は、その血税を無駄にするという事も同じでございますのよ。長い目で見て効果があると分かる事ならばよろしいでしょう。けれども、誰がどう見ても結果が分かっている無駄な努力に時間と労力とお金をかけるなど、王族として許される行いではございません」

「無駄な努力、だなんてっわたしは――」

「ああ、別に街に行って民の暮らしを良くしようと努力なさっている事を否定しているわけではございませんのよ。ホスタ様の行いの結果よくなった部分がある事も確かでございますもの。けれどホスタ様は他の王族の方々がなさっている事をご存じでして? クロトン様がなさっている事は? プルメリア様がなさっている事は? わたくしが行っている事は? その過程と結果は? 子供の頃よりホスタ様は理想を追いかけていらっしゃいますわよね。ええ、いいのではございませんか? 結果が伴えばですけれども。お分かりいただけますわよね、結果の伴わない理想を追いかけて足元も後ろも確認しないなど、王族として如何なものでございましょう」


 あー、うん。そこなんだよね。

 ホスタに功績が無いってわけじゃないんだけど、フォローに動く方も大変なんだよね。

 プルメリアなんて、どうして自分がホスタの尻拭いをってイラつきながら政務をこなしているし。

 そういえば任せておいたホスタが摘発した孤児院やら奴隷市場の後処理がどうなったか確認しておかないと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ