流星群イベント11
歩いて移動するのも面倒でございましたので、世界樹システムを使用してフィラ様のもとに転移いたします。
「フィラ様、ご無事でして?」
「ああ。ロジーも無事なようで何よりだが、ソレは?」
わたくしの背後でシーツにくるまれて丁度ジェイドに放り投げられたものを見てフィラ様が首を傾げました。
「スノーフレークさんでございますわ」
「……生きていたか」
「すごいですわよね。レベル1でございますのによく生き延びていらっしゃると思いますわ。きっと運がよろしいのですわね」
「そ、そうだな」
レベルが上がってはいないようでございますので、戦闘なさったという事はないと思いますから、逃げ切ったという事でございますわよね。
わたくし共が大量に消し飛ばすとはいえ、あの魔物の大軍から逃げのびるなんてスノーフレークさんはきっと神眼では見る事が出来ないステータスの運という項目があったら高いのかもしれませんわ。
ちょっと裸でしたり、血だまりの中にいらっしゃいましたけれども、あれだけ魔物が居たのですもの、レベル1のスノーフレークさんに傷が無いだけすごいですわよね。
「しかしロジー」
「なんでしょう?」
「着替えなかったのか」
「いけませんでしたか? わたくし、フィラ様が心配で急いできましたのにそのように言われてしまいますと悲しくなってしまいますわ」
「そうか、心配してくれるのは嬉しい。嬉しいのだがな」
「何でございますの?」
「周囲の視線を気にしてくれ」
そう言われて周囲に視線を向けた瞬間、スッと顔を背けられてしまいました。
なるほど。
「何の問題もございませんわね」
「どうしてそう結論付けた!?」
「わたくしとフィラ様がお話ししているのを邪魔しないようにそっと視線をそらしてくださいましたので」
「いや、それは……違うと思う」
「そうですの? まあ、どちらでもよろしいですわ。フィラ様はこれから各配置場所への確認作業を行いますのよね? わたくしもお供いたしますわ」
「その格好で!?」
「ええ、この格好で。戦場で通常のドレス姿はおかしいと思いますもの。わたくしだって時と場合を考えましてよ」
「そこに自分の見た目も加算してくれ」
「…………つまり、フィラ様はわたくしのこの格好が気に入らないという事でございますの?」
「は?」
「こちらの戦闘服、稚拙ながらもわたくし自身でデザイン作成を行い運営に提出して形にした物でございますのよ? 機能性を重視しつつデフォルトにしても可愛らしさとセクシーさをなくさないように気を付けましたの」
「露出が多すぎる」
「こういうチラ見せ系のデザイン、フィラ様はお好きですわよね?」
「ぐっ……」
「わたくしに贈ってくださるドレスのデザインもそうですけれどもしtもごっ」
フィラ様がわたくしの口を押えましたので続きを口にすることが出来なくなってしまいました。
慌てていらっしゃいますけれどもどうなさったのでしょう?
「ロジー、君のその他人を気にしないおおらかな性格はとても素晴らしいと思うが、凡人には中々ついていけないところがある。出来る事ならそれを考慮してくれ」
「……フィラ様」
「分かってくれるな?」
「なぜ、わたくしがそのような気遣いをしなければいけないのでございましょう? そもそも、こういった物は個性でございますので恥ずかしいと思う事の方が間違っているのではございませんか? 犯罪というわけでもございませんし、気にしすぎるのも良くないと思いますのよ。大体、フィラ様がどのような意匠の物をわたくしに着せたがっているかなど、ここにいらっしゃる方々は既にご存じだと思いますわ。言ってしまえば、手遅れでございますわ」
わたくしの言葉にフィラ様が周囲を見て絶望したような顔をなさった後、わたくしの肩に両手を置いてうなだれてしまいました。
「ちなみに一つ確認したいのだが、ロジーに羞恥心はあるのだよな?」
「当たり前でございますわね。フィラ様はわたくしをなんだと思っていらっしゃいますの?」
「ちなみに、どんな」
「まあ! このような公衆の面前で淑女であるわたくしにそのような事を言わせるだなんて、フィラ様は紳士としての配慮が足りないのではございませんの? 少なくとも、愛する婚約者の恥ずべき部分を暴露させようなんてありえませんわ」
「我の事はサラッと暴露したのでは!?」
「ですから、先ほどの事は恥ずべき事ではございませんわ。むしろ、そのように思うのでございましたら常日頃から行動を改めた方がよろしいのではないでしょうか」
「で、では、我にだけこっそり教えてくれ」
「今ですの?」
「ああ」
真剣に見つめられてしまい、わたくしは仕方がないとため息を吐き出しましてフィラ様の耳元に口を近づけます。
「~~~~~~でございますわ」
「ソッそれは、そうだな」
「内緒ですわよ」
「当たり前だ!」
顔を赤くなさったフィラ様にわたくしはにっこりと微笑みまして、そろそろいいかと近づいていらっしゃったフィラ様の筆頭秘書官の方を振り返りました。




