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93 作戦

――ボガァァン!


激しい爆音と煙。

ぶつかった何かの衝撃で、ポセイドンの周りには煙が立ち込め、辺りは火薬の匂いが漂っていた。


何かが飛んできた方向を見るレイとランベル。ポセイドンに攻撃を仕掛けたのはローラだった。


「私もレイ一人置いて行くのは納得いかないわ! 逃げるなら全員で逃げましょう!」


「ローラ……」


そう言ったローラは召喚魔法でイノシ―とタヌキチを召喚した。


「久しぶりだねローラ」


「もっと出せよオイラを! 暇だろうが!」


出てきた早々相変わらずのイノシーとタヌキチ。すると次の瞬間。魔力感知が得意なタヌキチがポセイドンに気が付いた。


その強い魔力に「無理だ」と悟ったタヌキチは、ローラに帰してくれと志願したが、見事に却下されてしまったのである。


それとは反対に、良くも悪くも楽観的なイノシーは良い意味でやる気満々。

イノシーのそんな姿を見てさらに憂鬱になるタヌキチだった。


ローラの攻撃で周りが煙に覆われていたポセイドンであったが、その煙も徐々に晴れていく。


レイの攻撃もローラの攻撃もまるでダメージを負っていないポセイドン。


「小賢しい……。これでは何人いようと結果は変わらん。私と対等に戦うならばそんな下級モンスターではなくドラゴンでも召喚してみせよ。ウィッチの小娘よ。それに、何やらこの場から退こうとしている様だが、その程度の力ではそれすらも出来ぬぞ」


「下級モンスターとは何だコラ! オイラと勝負しようじゃないか!」


ランクとしては本当に下級なので何も擁護出来ずにいたローラ達であった。


それはさておき、ポセイドンの言う事は確かに事実。今の実力では奴の足元にも及ばないと、レイ達は十分に理解している。


「そんなのやってみないと分からないでしょ。確かにアンタに勝つのは難しくても、何とか逃げ切ることぐらい私達なら出来るわ」


「よく言ったローラ。こんなの威張って言う事じゃないが、幾らお前が強くても逃げ切ってやるよ! 自分でそんなハードル上げてると後悔するぜ。王家の実力者がガキに逃げられたとなればとんだ笑い話だろ」


ローラとランベルは力強くそう言い放った。


「……やってみろ」


「「――⁉」」


体格に似合わず動きが速いポセイドン。初動が全く見えず、気が付くと目の前まで迫っている。


ローラとランベルは若干反応が遅れてしまった。だが、攻撃が繰り出されるその刹那、ポセイドンが突如何かの光に包まれた。


「――“エタンドル”!」


「……!」


その淡く光るものの正体はリエンナの結界。瞬時に現れた結界は檻の様にポセイドンを囲って動きを封じていた。


「今のうちに皆で離れましょう!」


「おー! 助かったぜリエンナ」


「いいから早く行くわよ! ……レイッ!」


ローラはランベルを引っ張りながらレイにアイコンタクトを送った。“ドーランの攻撃で大きく開いた穴”から逃げようと、顔をクイっと動かせて合図する。


それに反応したレイもリエンナも、直ぐに入り口の扉があったその穴へと向かって走り出した。


しかし、そう簡単にはいかない。


――バリィンッ……!

ポセイドンを封じ込めたていたリエンナの結界が破壊された。


「結界魔法とはまた珍しい……だが如何せん、あまりにお粗末。能力の持ち腐れだな」


そう言いながら、結界を破ったポセイドンは入り口の穴へ向かうレイ達を追う。


「――やべぇ、来るぞ!」


レイがそう声を発したとほぼ同時、一番前を走っていた筈のローラの前にポセイドンが現れ、レイ達の行く手を阻んだ。


「なッ……⁉」


「遅い。遅すぎる」


入り口の前に仁王立ちするポセイドン。

レイ達が驚き、動きが止まってしまったところへポセイドンは間髪入れずに魔法攻撃を放った。


「グッ……!」


「わッ⁉」


「キャッ……!」


「……ッ⁉」


強力な魔力から生み出されたポセイドンの衝撃波により、レイ達は全員入り口とは正反対に吹っ飛ばされた。


「何回ぶっ飛ばせば気が済むんだあのデカブツは……!」


ゆっくりとダメージを確かめる様に立ち上がるランベル。レイ、ローラ、リエンナも続いて立ち上がった。


「皆大丈夫か?」


「平気よ」


「私もです」


「どうにかして隙を作るしかねぇな」


「ええ。ここさえ出られれば飛んで逃げ切れる筈。レイも直ぐに飛べる準備しておいてね」


「分かってる」


「でもどうする? その肝心の隙が作れないぜ。そもそも何とか王団って何だよ。アイツ強すぎるぞ」


「護衛王団は最高位王家を守る奴らだ。アイツ入れて確か全部で十三人いる」


「十三人って……マジか」


「――ごちゃごちゃと作戦会議は終わったのか?」


ポセイドンがそう口を開くと、レイ達も反射的に身構えた。


「どの道大して選択肢がねぇ、俺がまた全力の攻撃を叩き込む。そうしたらまたリエンナは奴を結界に閉じ込めてくれ! ランベルとリエンナは俺が攻撃できる様に援護頼む! それが上手くいけば逃げる隙は十分できる筈だ。一気にケリ着けよう」


一か八か、レイ達の最後の攻撃。ランベル、ローラ、リエンナもこの作戦に力強く頷いた。



「――行くぞ」

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