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06 撃たれたレイ

「フッーハッハッハッハッハッ!!……ドーランだって?まさかお前の名前じゃないだろうね黒龍よ!」


イヴにとっては余程ツボだったのか腹を抱えて笑っている。

不意に呼ばれた黒龍はイブが笑えば笑う程恥ずかしくなってきた。


<バ、バカ者ッ……!その名前で呼ぶんじゃない……!!>


「何言ってんだよ今更。もう散々ドーランって呼んでるぞ。お前だってまんざらでもなさそうじゃん!」


「ハァーーーハッハッハッハッハッ!!」


<そッ、そんな事はないッ!イヴ……!貴様も笑い過ぎだ! いい加減にしないか!!>


表情は伺えないが、きっとここにドーランがいたら黒龍にも関わらずその顔は赤面であろう。

そう思ってしまうぐらいドーランは取り乱していた。恥ずかしさから口調も乱暴だ。


そんな平和な時間が流れたのも束の間、無線で集まってきた警備員達がイブの檻とその前にいたレイ達を取り囲んだ。


きた警備員達は皆銃を構えている。上のフロアからも何十人もの警備員達が銃でレイ達を狙っていた。


全包囲されたレイは「ヤバいヤバい!」と慌てふためいているがイブはまだ笑っており、ドーランはそれを必死で止めようとしている。


取り囲んだ多くの警備員達の奥から、拡声器を持ちスーツを着た男が少し前に出て来た。


「――私はこのアルカトラズの最高責任者、マリシャス!君は完全に包囲された!何の目的でこのアルカトラズを攻撃してきたんだ!他の仲間は何処にいる!!」


現れたのはマリシャスというアルカトラズの最高責任者。


当然レイの中にドラゴンが棲みついているとは思ってもみないマリシャス始め警備員達は皆、少年の単独犯…ではなく、裏で誰かに操られているか共犯者がいると思っている。


確かに共犯ではあるが事態が事態なだけにややこし過ぎた。


「君が今いるのは最も危険なフロア「10」!大人しくこちらに来なさい!何処かに潜んでいる仲間も早く投降するんだ!さもなくばこの少年の命はない!」


マリシャスは拡声器を使いあらゆる方向に呼びかけていた。


だが当然仲間など誰もいない…紛れもなくレイ一人の単独犯。

いくら呼びかけようが何時間待とうが出てくるはずがないのだ。


緊迫しながらもどこか可笑しいこの状況に、レイも何と答えようか迷っていた。


数秒流れる沈黙―。


動きを見せない存在しない敵に再び呼びかけるマリシャス。


「投稿する気がないようだな!ならば言った通りこの少年は射殺する!……構えッッ!!」


マリシャスの号令でガチャガチャっと全ての警備員達がレイに銃口を向けた。


「おーーいッ⁉⁉ 何でこうなる⁉⁉ 早く何とかしろドーラン!」


銃を向けられたレイは反射的に両手を挙げ、間違っても撃たれないように無抵抗をアピールしている。

慌てふためくレイとは対照的にドーランもイヴもまるで他人事かの様な態度だった。


「まぁ私は撃たれてもこの檻で守られているから関係ないねぇ」


<レイよ。こんな低魔力の弾丸じゃ何億発撃とうが我に傷一つ付けられん。まだ我の魔力を信じられぬのか……ビビりだな>


「こんな銃向けられたらビビるわッ!」


<イヴ……我は“異空間”を探している。何か知らぬか?>


「異空間だって?ひょっとしてロックロス家の“古魔法”かい……?」


「おいおいおい!絶対その話するタイミング今じゃないだろ!!」


四方八方から銃を向けられているが呑気に話を続け出したドーランとイヴ。

エルフがボソボソと何か喋っているのを見たマリシャスが遂に射撃の合図を出した―。


「何をコソコソとしている……!!――撃てッ!!!」


「――いッ⁉⁉⁉」


バンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッ!!!!!!!


マリシャスの合図で一斉に放たれた弾丸は数百発―。


全てレイ目掛けて飛んでくるその弾丸は、僅か十六歳の少年一人の体をハチの巣にした…………





という残酷な結果ではなく、何故か放たれた数百発の弾丸は全て停止していた――。


<……力は健在の様だな>


「バカ言うんじゃないよ。こんなの魔力を使ったうちにも入らんわ」


皆が驚きを隠せない中、ドーランだけはこれがイヴの力だと分かっていた。


全弾止まっている事にも驚いたマリシャスだが、それ以前に“何故魔力が使える”のかに驚いていた。


アルカトラズは国で指定された超特殊構造になっている。


ここはこの世界で一番厳重に収監、隔離されており、捕まった犯罪者達は例えフロア「1」だとしても“絶対に魔力を使えない”様になっているのだ。


その筈のアルカトラズで…しかも最も厳重なフロア「10」で魔力が使える等あってはならない。


魔力を持つ者全てが今発動されている魔力の“発生源”に目をやる─。

再度いうが…捕まっている者達が魔力が使える等あってはならない。


受け入れ難い状況にも関わらず、レイを含めた全員が“イヴ”を見ていた。

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