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66 プレッシャー

「―よし。ローラ!ランベル!リエンナの援護するぞ!」


「任せろ!」


「無意味でも取り敢えず攻撃するしかないわね」


再びレイ達も魔力を練り上げた。


「$ヴ%バ&'ァァ"……!!」


それに反発するかの如く、グリムリーパーもレイ達に対して敵意を剝き出しにしていた。


――ボゴォォンッ!!


「やっぱ効かね~なぁ」


いつの間にかレイがエグドーラを放っていたが、無残にもその弾はローラの時と同様、奴をすり抜け壁に直撃したのだった。


そして遂にグリムリーパーも攻撃を仕掛けてきた。


「$ヴ%バ&'ァァ"!!」


呻き声と共に持っていた大鎌を振り上げ、レイ達向かって勢いよく振り下ろした―。


――ガキィィン……!……パァァンッ!!


その大鎌が当たる直前、レイ達とグリムリーパーの間にリエンナの結界陣が現れた。

淡く光る結界陣は、直径二メートル程の円の形をしており六芒星のマークが描かれている。

出された結界陣はグリムリーパーの大鎌によって、攻撃を受け止めたと同時に粉々に砕け散ってしまった。


「ダメですね……」


リエンナはイメージしていたのとは全く違う結果に悔しそうな表情を見せた。


「いや。確かに今“当たった”ぞ!」


「ああ。砕かれたって事は、リエンナの結界陣がそもそも奴に触れたって事だよな。俺達の空を切る攻撃とは違うんだやっぱ」


「リエンナ!何度でも援護するからあなたは結界に集中して!」


グリムリーパーに対して見出された僅かな希望の光―。

だがその僅かな光は、レイ達の士気を上げるには十分すぎる程の光だった。


「皆さん……分かりました!絶対に成功させますので、援護お願い致します!」


力強いリエンナの言葉に、レイ達は更に気合いが入った。


「今当たったって事は、あの大鎌なら俺達の攻撃も当たるのかな?」


「……試してみよう」


そう言うと、レイがグリムリーパーの大鎌目掛けてドラピンを繰り出したが、やはりすり抜けていってしまった。


「大鎌もダメだな」


「こっちの攻撃が食らわないって事は、アイツの攻撃もひょっとして俺達に当たらずすり抜けるなんて事はねぇかな?」


「そんな馬鹿な事ある?……だったらランベル、試しにそこで動かず立ってなさいよ」


「おい俺を実験に使うなよ!」


「今自分で言ったじゃない。でももしアンタの読みが当たってたらかなりの儲けものよ」


ローラに上手く促されたランベルは「ちょっと試してみよう」と、グリムリーパーに近寄って行った。


「大丈夫か?」


<ちょっと面白そうな実験だな。我も気になるぞ>


ランベルの何気ない発言が皆の興味を引いた。ドーランも珍しく興味を示している。


「$ヴ%バ&'ァァ"!!」


そんな状況でも関係なく、グリムリーパーは近づいてきたランベル目掛け再び大鎌を振るった―。


――グワァァンッ…………ゾクッ……!!


(……やばッ……⁉⁉)


ブォォン!と鈍い音を響かせながら、グリムリーパーの大鎌が空を切った。


「……あっぶねぇ……」


大鎌が当たる直前、ランベルは直感で思った。


“避けないと死ぬ”――。


ランベルのこの直感は正しく、ランベルが避けた事によりグリムリーパーの大鎌は空を切りそのまま床を抉っていたのだ。


「その仮説は間違ってたか」


<当たるに決まっているがな普通>


「おーい!分かってるなら止めてくれよドーラン!」


<あまりに馬鹿な事を言い出したからつい気になってな>


「酷いドラゴンだな全く」


「――また来るわよ!」


ローラの言葉で気を引き締めるレイ達。

そのタイミングでリエンナが再び結界陣を出した。


――ガキィィン……!……パァァンッ!!


しかし、まるでデジャヴの様にまたも結界陣が壊された。


「また失敗……(やっぱり私にそんな凄い事出来る訳ない……)」


二度の失敗で自然と顔を俯かせてしまうリエンナ。

それでも時間は止まることなく、グリムリーパーは次々に攻撃を繰り出す。

その攻撃は回数を増すごとに次第に速く鋭くなっていく―。


「――ッ⁉ なぁ、何か段々アイツの攻撃……」


「ええ。速さも威力も上がってきてるわ」


「ちょっとヤバいな。一瞬でも油断したら真っ二つだぜ」


レイ、ローラ、ランベルの三人が何とかグリムリーパーを引きつけているが、少し雲行きが怪しくなってきた。

一定の距離を取り、避けながら攻撃を繰り出していた三人であったが、いつの間にか反撃する余裕がなくなり避けるだけで精一杯になっていた。


「――あっぶねッ!!」


「大丈夫かランベル!」


「あ、ああ何とか……今のはヤバかった」


「マズいわね……。このままじゃもう持たないわ……」


三人のそんな姿を見て更に自分の肩に重圧が押し寄せてしまったリエンナ。

早く皆を助けたいという気持ちと、今の自分の実力では出来ないという悔しさがどんどんリエンナに焦りを生んでいく。


「どうしよう……このままじゃ……」


不安になっているリエンナを見て、ドーランが声を掛けた。


<我がプレッシャーを与えてしまったか?……リエンナよ、主はもっと自分に自信を持っていい。魔法は使おうとせずに適当に出すぐらいが丁度いいと、“フェアリー・イヴ”が言っていた>


「フェアリー……イヴ……。それってあの妖精王の……⁉」


<奴の言った事だから当てにならぬが、少し肩の力を抜いてみるのも悪くない。大丈夫、失敗しても我がいくらでもカバー出来る。適当にやってみなさい>


「ドーランさん……」


今の会話で何処か肩の荷が下りた様に見えるリエンナ。

不安と戸惑いがありつつも、その瞳からはしっかりとした覚悟と決意が生まれていた。




「皆さんは……絶対に私が守ってみせます!」

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