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61 小さな双子

「おいおい……今の一瞬で何処まで行ったんだよローラの奴」


「そこそこ広いから逸れると手間だな。ランベル、リエンナ。俺がローラ連れてくるからここで待っててくれ!」


「分かりました。お願いしますね!」


ローラを見失ったレイ達。

レイが連れてくると言ったので、ランベルとリエンナは入り口正面の大きな階段で待つ事にした。


すると、屋敷の何処か奥の方から再びローラの叫び声が聞こえた。


「元気だなぁアイツ」


「ランベルさんが余計な事するからですよ」


二人は階段に座りレイとローラを待った。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□



「――おーい!ローラ!何処だ~!」


ローラを探すレイ。


すると、レイがいる所から少し先の方でローラの叫び声が聞こえてきた。


「あっちか……」


声がする方へ急いで向かう。


「どこにいるんだー!」


「こ、ここッ……!ここよレイ!」


ある部屋の机の蔭へと隠れていたローラ。


「こんな所にいたのか……早く行くぞ。ランベルとリエンナも待ってる」


「ちょ、ちょっと待って……!また“いた”のよ今!」


「また言ってんのか?しつこいぞ流石に」


「だから見間違いとかじゃなくてホントにッ―――ギャァァァァァァァァァァァァッッッ!!!!!!!!!!!!!」



屋敷中……いや、それ以上に響き渡る断末魔の様な叫び声―。

遡っていた話がここで元に戻る―。




「――うるさいな!いちいち何なんだよお前!」


「だって今何かそこにいたわよ⁉⁉」


「だから気のせいだって」


「違うっ!!絶対なんかいたってば!」


一階の広いリビングでローラを見つけたレイ。騒ぐローラを無理矢理連れて行く。

これでやっと調査が出来ると、レイ達はランベルとリエンナが待つ階段まで戻って来たのだが、そこにランベル達の姿が見られなかった。

トイレでも行ったのかと、辺りをきょろきょろ見回すレイ。


「そんなに怖いならここで待ってろよ」


「嫌に決まってるでしょ!一人の方が怖いわッ!」


「面倒くさい奴だな~……。それにしても、ランベルとリエンナは“何処行ったんだ”?」


試しに五分、十分と待ったが来る気配がない。


「なんだよ。順番に迷子になりたいのか皆」


「ねぇレイ……。ひょっとして何かに連れて行かれちゃったんじゃない……?」


「お前自分でどんどん怖い方に行ってないか?しかも連れて行かれるってお化けに?そんなのいる訳ないだろ!仮にモンスターとかが出たとしても、ランベルもリエンナも強いんだから大丈夫だ」


「じゃあ何で二人共いないのよ⁉」


「知らないよそんなの。元はと言えばお前がっ――「ギャァァァァァァァァァァァァッッッ!!!!!!!!!!!!!」


もう何度目か分からないローラの悲鳴。

鼓膜が破れそうな発狂にレイも我慢の限界がきた。


「……っとにマジでいい加減にしろ!!こんなんじゃ何も進まねッ……⁉」


腰を抜かしその場に座り込むローラに、怒りの喝を入れようとしたレイだが、そのローラが顔面蒼白で口を開けたままレイを……いや。レイの“後ろ”を何か指差していた―。


その気配にレイも気付いたのか、途中で言葉を止め後ろを振り返った。


するとそこには何とも恐ろしい人ならざる者の姿が―。








……………………あった訳ではなく、レイとローラの視線の先には二人の子供がいた―。


「子供?」


「あ、あ、アンタも見えてるのよね……?あの子達……」


取り敢えず自分だけでなく、レイに二人の子供が見えていた事に少し安心したローラ。

しかし問題はそこではない。


「君達こんな所で何してるんだ?」


この屋敷にはレイ達以外誰もいないはず。

レイがその二人の子供に話しかけた。


「僕達が“視えるの”?お兄ちゃん達」



「出たァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!」


まさかの子供の言葉に、一瞬で背筋が凝ったローラは思いっ切り叫んだ。


「見えるに決まってるだろ……あ!ひょっとしてお化けごっこしてるのか」


「そうじゃないでしょ!!こんな所にいるなんて明らか可笑しいわよこの子達!!」


呑気なレイに、ローラが怒りのツッコミを入れる。


確かに、こんな所に人がいるのは可笑しかった。

それもレイ達よりも歳が下の子供が二人。一人は男の子でもう一人は女の子。


想定外の状況に頭を悩ますレイだったが、更に想定外の言葉が女の子から発せられた。



「お兄ちゃん、お姉ちゃん。一緒に“皆”を探して?」



レイとローラは黙ったまま顔を見合わせるのだった―。


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