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41 ご令嬢ミッション

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~水の王国・王都~


飯屋から移動したレイ達は、人通りが多いもそれを感じさせない程広い、水が流れる静かな広場に来ていた。


さっきの“一億発言”が衝撃的だったローラは、改めて王家の凄さを思い知らされた。

広場のベンチに腰掛けると、ローラは徐に話始める。


「さっきの続きだけど……。リエンナ。私達の力じゃアナタの気晴らしぐらいにしかならないと思うけど……」


ローラはそう前置きしながら本題に入っていく―。


「私達ね、元々水の王国の騎士団を追ってここまで来たの」


「え?騎士団の方々が何かされたんですか?」


「俺の村を襲って来たんだよ。召喚魔法で出したオーガでな」


ランベルの話を聞き驚くリエンナ。


「私達の旅の話を聞くのもいいけど、それよりもね……“一緒に”思い出作らない?」


何か嫌な予感がしたレイとランベル。

それとは反対に、ローラの言葉に一瞬胸が高鳴ったリエンナ。


「私達ね、どうにかその騎士団の男達の手掛かりを掴みたいんだけど、なんせ騎士団員達がいるのってお城の敷地内でしょ?私達の力じゃもうお手上げ状態で困ってたのよ」


「おいおい……ローラお前、関係ないリエンナ巻き込む気かよ……」


「人聞き悪いわね!言ったでしょ?一緒に思い出作るだけよ。その名も……“思い出ミッション”!」


よくそんな事思いついたなと恐ろしく思うレイとランベル。

しかしそんな二人とはやはり違う反応を見せたリエンナ。


「成程。私がその騎士団の方々の情報を集めればよいのですね?」


((――えぇぇぇ⁉ めちゃくちゃ乗り気⁉))


ローラの意図を汲み、瞬時に自分がやるべきことを判断したリエンナに、レイとランベルは開いた口が塞がらなかった。


「そう!話が早くて助かるわ。どう?それならただお城に変えるよりもちょっとは楽しめると思うけど!」


「面白そうですね。一度やってみたかったんですそういうの。是非協力させて下さいローラさん!」


((――えぇぇぇ⁉ 何かキャラ変わってね??))


思いがけない意気投合にレイとランベルはただただ驚かされるばかりであった。


という事で、即時作戦決行―。


トントン拍子で話が進んだ結果、ローラはゴブリン討伐の時にレイと遊びで使用した小型のイヤホンとマイクを思い出し、あの時より更に性能の良い通信機を魔法で出す。

リエンナはその通信機を付けていたイヤリングに貼り付けた。


「まさかコレが役立つとはな!ゴブリンの時に使っといて良かっただろローラ」


「たまたまね。……あー。あー。聞こえる?」


「バッチリ聞こえますわローラさん」


動作確認をし、同じ通信機をレイとランベルも装着した。

この通信機は付けている者の魔力を感知し、どんな小さい声でも拾えるとの事。勿論周辺の物音や会話もある程度聞き取れる。


なんとなくの王家のイメージで、静かにお喋りしたり、お上品にご飯を食べたりしていそうというローラなりの配慮だ。

静かな場所でも、この通信機があれば誰にも気づかれない声量で連絡が取り合える。


ローラはリエンナに、絶対に無理はしないでねと強く念を押した。

あくまでリエンナと少しでも楽しめればと思い立った作戦。成功や失敗はあくまでも二の次だと。


頷いたリエンナは「本当にありがとう」と、今度は偽りない素の笑顔でレイ達にお礼を言った。


動き出した一行は再び人目に付かない様に城の前まで行き最終確認を行うと、リエンナはお城の門から中へと入っていった―。

その様子を少し離れた所で見ているレイ達。


少し経って、レイが中に入ったリエンナにコンタクトを取った。


「―こちらレイ。リエンナ大丈夫か?」


「―こちらリエンナ。問題ありませんよ。大丈夫です」


フフフと笑うリエンナは楽しそうであった。

こんな事しか出来ないが、少しでもリエンナが楽しんでくれればいいなと思うレイ達であった。



お城の中へ戻りおよそ二、三時間が経過しただろうか―。


耳の通信機からは時折、食事会の準備に関する声や物音が聞こえていた。

抜け出したリエンナはお城へ戻ると直ぐに使用人達が慌てて出迎えると同時に、「もう勝手に出掛けてはなりません」と部屋に隔離された様だ。


部屋を出るには出られるが、入り口に常に二人の使用人が見張っており、お手洗いに行くだけでも護衛の者達が付いてくるという厳重体制になってしまっていた。


大袈裟だが、一度抜け出した事もあり当然の事だろう。


通信で皆に「ごめんね」と謝るリエンナだったが、何も謝る必要はないとレイ達が言い、取り敢えず部屋を出られる食事会まで待機する事にしたのだ。


その間、色々な事を話していたレイ達の姿は、はまるで昔から仲が良い友達みたいに見えた―。



夕刻に差し掛かり、時折聞こえていた会話や音が多くなっていく。

食事会の準備が着々と進んでいる様だ。


「――リエンナ様!」


そして遂に、リエンナのいた部屋に使用人が出迎え、食事会が開かれた―。

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