37 ローラ&ランベルside①
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~水の王国・ローラ&ランベルside~
瞬く間に視界から消えたレイを探しつつ、水の王国の騎士団の男達の情報を集めるべくローラとランベルは取り敢えず王国内を歩き始めた。
「――ったく。どこ行ったんだアイツは?」
「これだけ広いと探すのも一苦労ね」
何の手掛かりもない二人はただただ動くしかない。
一旦レイは放っておき水の王国の騎士団について調べようとローラが言い出し、ランベルもそれに同意した。
闇雲に騎士団の事を探っていれば、いくらそれが子供だったとしても怪しまれかねないと二人は用心し、ランベルが騎士団に入りたいと言う体で調べる事にした。
手っ取り早いのは、どこの王国でも王都の城の近くにある案内板に、“騎士団員募集”や“騎士団入団テストの案内”みたいな貼り紙を掲載しているのでそこで何か情報を探すことだ。
騎士団の一番の役割は王国の平和と安全を守る事。騎士団も基本的に国王がいる城の近くにいる為、ローラとランベルは城のある王都へと向かう事にした。
少し先に見える高い城。
広い水の王国ではここから歩いていくと三十分以上はゆうに掛かるだろう。
だが水の王国には代名詞とも言える、街とほぼ一体化している用水路がある。人々の生活や観光客様にそこかしこにボートのレンタルや船頭さんが乗った船があった。
ローラが飛べば一瞬であったが、目立たない様に二人はボート乗り場から“王都行き”のボートへ乗った。
大型のボートには船頭さん以外にも十人以上は乗っていた。それでもまだ席に空きある。
ローラとランベルは適当に開いている席に座った。
すると、後ろからカチャカチャと金属が当たる音と共に数人の男達が乗って来た。
何気なく見たその男達は何ともラッキーな事に、水の王国の紋章が付いた甲冑を着た騎士団員達だった。
それを見たローラとランベルは互いに目を合わせると、さも自然な動きを装って席を立ち、騎士団員達が座った席の前の席に腰をかけた。
「――今日の任務は疲れたぜ」
「移動の距離が思いのほかあったな」
「流石にあのガタガタ道をずっと馬車じゃな!」
騎士団員の男達は任務の帰りなのだろうか、各々疲れた様子で席に座り他愛もない会話をしていた。
ローラとランベルは何か情報が聞けるかもと聞き耳を立てている。
しかしこれといった有益な情報を聞けぬままボートは目的地である王都へと着いた。
ここが終点なのかボートに乗っていた人皆がここで降りていく。
ローラとランベルもボートをおり数メートル歩くと、そこにはもの凄い高さのお城が聳え立っていた。
「でっけぇ~……!」
火の王国にも当然同じようにお城があるが、なかなかこんなに間近で見ることは少ない為、二人は思わず顔を上げてお城を見ていた。
王国の中心部ともあって入り口よりも更に街が活気づいている。
お城や街を見渡していると、視界に甲冑を着た騎士団員達がお城の方へ歩いて行くのを見つけた。
二人はそれに付いて行きお城へと向かって行った。
お城の敷地の入り口は巨大な門と複数の門番がおりとても厳重だ。
騎士団員達は入り口でチェックを済ませると門の中へと入っていった。
「――ここからどうする?これといった情報は聞けなかったな」
「そうね……。どうにかポロン村の森にいた二人組を見つけ出せればいいんだけど」
ローラとランベルは流石に中へは入れないので、少し離れた建物の陰からお城の厳重な門を見ていた。
騎士団員や許可のある者しか通れない門を前に二人は頭を悩ませている。
悩みに悩んだ結果、レイと同じで考えるのが得意ではないランベルが「まずは腹ごしらえをしよう」と言い、その緊張感の無さに呆れるローラであったが、これといった策も思い浮かばないので渋々ランベルの提案を承諾した。




