25 Eランクダンジョン②
「―へぇ~、見よう見まねにしては上手く出したわね!まだまだ数が少ないけど」
「まだまだこっからだ!俺は数よりも質に拘ったんでね!」
(……負け惜しみを。まだ四つ出すのが限界であろう)
レイの強がりをドーランだけが分かっていた。
「数は少ないけどその分“形”に拘るぜ」
その言葉通りレイが出した火の弾はそこから徐々に変化していく―。
グニャンと変わっていく火の弾は次の瞬間“ドラゴンの形”へと変わった。
「じゃじゃーん!“ミニドーラン”の完成だ!」
<――なッ……⁉⁉>
「えぇ~!可愛いー!」
そう。
火の弾は形を変え、火を纏うドーランの姿になった。
ユラユラと揺らめきながら四体のミニドーランがレイの頭上をフワフワと飛んでいる。
<なッ、何だこの馬鹿な発想は……!実に下らぬッ!しかも……かッ、可愛いなど……ドラゴンに対する侮辱だッ!!>
ドーランは自分がモデルにされとても恥ずかしい様だ。
ミニドーランを見たローラにも可愛いと言われ、恥ずかしさで口が悪くなってしまっているが満更でもなそう。
そんなドーランを無視して、レイは自らが出したミニドーランをスライム目掛けて放った―。
「いっけぇぇ!ミニドーランッ!……“小龍の火弾”!!」
――シューンッ……バンッバンッバンッバンッ!!
一体のスライムにそれぞれ二体のミニドーラン火の弾が飛んでいきスライムを爆撃した。
「うっし。スライム倒したぜ!魔力の感覚も良い感じだし新技も出来た!でもまだ消費魔力が大きいせいか体が疲れるなぁ。もう少し抑えないと……」
「ビッグ・Gの時よりいいんじゃない?魔力も安定してたしミニドーラン可愛かったし!まぁスライム相手にしてはまだ魔力が強すぎるわね」
<ロ、ローラよッ……!その、かわッ……可愛い……というのを止めんか!わ、我は黒龍ぞ!>
まだ照れているドーランが面白いのかレイとローラは笑っていた。
まだまだダンジョンは始まったばかり。スライムを倒したレイ達は直ぐに奥へと向かって行く―。
ダンジョン一階……。
その後レイ達の前にはスライム一体とゴブリン二体が現れたが、レイはそれを難なく倒し二人は一番奥にあった階段を上りダンジョンの二階へと辿り着いた―。
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~Eランクダンジョン・二階~
「――さっきの大分いい感じだったんじゃない?」
「ああ!アレなら全然消費が激しくなかった」
<確かにどんどん魔力コントロールが安定してきておる……だが何だ?“あの”魔法攻撃のアイデアは……よくも下らん事を次々に思いつく……>
あれからテンポよく連戦となったレイは早くも少しではあるがドーランの魔力をコントロールし始めていた。
どうしてもドーランの魔力が強すぎる為、ただでさえ魔力の耐性がないレイにとっては魔法一つ繰り出すのに普通の人よりも数倍労力を消費されているのだ。
少しでもこの症状を抑えたかったレイは如何に最小限の魔力を出せるかが重要になってくると気付き、スライム→スライム→ゴブリンの連戦で遂にその感覚を掴んだ。
「下らんって何だよ!俺は真剣にやってるんだこれでも」
最初のスライムとの戦闘で新技【ドラサルト】(ミニドーランの形をした火の弾を飛ばす魔法)を生み出したレイはその後連続で新技を生み出していた。
新技【エグドーラ(龍の卵)】
相手に掌を向け、そこから卵サイズの魔力の弾を生み出し相手に放つ。
属性(火や水、風など)を加えていない通常の魔力のみにより魔力の消費コスト削減。
無駄に数を出さず(どのみち出せず)弾も小さめにする事により魔力の消費コスト削減。
新技【ドラピン(龍の指弾き)】
魔力を最小限に抑えた攻撃。
ドーランの魔力を手だけに纏い、そこからデコピンの要領で豆粒程の魔力を飛ばす。
一つの指で弾くと豆粒の弾。四本の指で弾くとかまいたちの様な鋭い風圧。
手のみに魔力を留めることで魔力の消費コスト削減。
デコピンという誰でも気軽に出来るモーションで魔力の消費コスト削減。
「―まぁ技のアイデアとネーミングは置いといて、魔力のコントロール自体は大分良くなってきたわね」
<技のアイデアとネーミングは置いといて、確かに魔力コントロール自体は安定し始めているな>
“技のアイデアとネーミングは置いといて”という言葉が非常に引っかかったレイだが取り敢えずそこは置いといて、ダンジョンの二階に上がった事だしどんどん先へ進もうとローラ達を促した。
ダンジョン二階で出てきたモンスターは一階と同じスライムとゴブリン。
それに加え“スカルウルフ”という骨だけの狼のモンスターが出てきた。
このスカルウルフはゴブリン程の攻撃力はないがその分素早さと魔力が高い。
とは言ってもたかがEランクダンジョンに出る下級クラスのモンスターなので大差はない。
二階ではスライム三体、ゴブリン四体、ウルフ二体と戦闘を行ったレイは一番魔力消費の少ない新技、【ドラピン】で見事このダンジョン二階を突破した―。
技の威力はやはり凄いのだが、終始レイは指先をピンピンさせているだけの何とも地味な戦闘スタイルであり、それを見ていたローラは戦い方までダサいなと強く思った。
「……いい感じ!いい感じ!これなら全然体力消耗しない!このまま一気にダンジョン攻略だ!」
一行は三階へと続く階段を上っていった―。




