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13 旅立ち

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


~ツインヴァルト~


「――――ッイ………レイッ!!」


ローラの呼びかけで飛び起きたレイ。


「いつまで寝てるのよ。もう“出発”するよ!」


封印を解くにはリバースダンジョンを攻略しなければならないと分かったレイは、レイのハンター登録や仲間集めの為に旅立とうと決めた。


特に急ぐ必要もなく、一日バタバタだったレイ達はあの後ツインヴァルトで一夜を明かした。イヴの帰りに喜んだエルフ達は夜遅くまで騒いでいた者もいたが、レイもローラも疲れていたのかいつの間にか眠ってしまった。


日が昇り迎える朝―。


レイは今でもたまに“あの日の事”を夢に見る。今日がそれだった。


図らずもローラの声で起きることが出来たレイは慣れたように気持ちを切り替える。


「おう、おはよう!(またあの夢か……)昨日のドタバタが嘘みたいに静かな朝だな~」


グーっと伸びをしながらツインヴァルトの自然豊かな空気と平穏さに朝から癒されるレイ。

横ではずっと前から起きていたであろうローラが今日も元気一杯な様子で支度をしていた。


「ツインヴァルトには珍しい魔草や実があちこちにあって時間が全然足らないわ!ここ特有のモンスターや動物達もいたしずっとここに住みたいぐらい!」


どうやら朝から色々調べていたらしい。


「じゃあ別にここにいればいいじゃん。本当に“一緒に行く”のか?」


「当り前よ!私が情報提供してあげたのに仲間外れにするつもり?」


「いやそういう訳じゃないけどさ……絶対危ないぞこれから。」


「大丈夫よ!ドーランがいれば無敵だわ」


「他人任せかい」


<ローラは我の強さが良く分かっておる。いい子だな>


「こんな面白い事が起こっているのに参加しない手はないわ!ツインヴァルトは全てが終わってからまたゆっくり来ればいいからね。それに、私がいた方がアンタも助かるでしょ?異空間について知ってるんだから。」


「まぁ確かにそうだけど……。」


「じゃあ決まりね!知恵は私が出すからレイはドラゴンの力で守ってちょうだい!リバースダンジョンは危険だけどパーティなら少しは安心だわ。早く仲間探しましょ!」


心配するレイを他所に、好奇心の強いローラは誰よりも行く気満々であった。


イヴはこの森に残ると言うのでここで一旦お別れだ。


ローラは魔法使いに良く見るホウキを魔法で取り出す。

すると取り出したホウキに座りフワフワと浮き始めた。


「準備OK!」


早くしてよと言わんばかりにレイに目で訴えるローラ。レイもドーランの魔力で翼を出した。


「それじゃあなイヴ!リバースダンジョンの場所教えてくれてありがと!」


「せいぜい気を付けな。思っている以上にリバースダンジョンは危険だからねぇ。……レイ!ロックロス家を潰すと言った事……余生の楽しみにさせてもらうからねぇ。期待しているよ!フッハッハッハッ!」


<さっさと集めて我の体を開放するぞ>


「そんなに焦るなって!今更急いでも変わらないんだからゆっくり行こうぜドーラン。

思っている以上にロックロス家の闇は深そうだ……異空間の封印を解くだけじゃなくもっと根本から解決しないとまた同じような事が起こるだろ?

ドーラン……俺はお前と出会えて一気に世界が広がった!だから俺は自分の目でこの世界に何が起きているのか確かめてみたいんだ。それが結局はロックロスに繋がってる……そんな気がするんだ」


誰よりも魔力は弱いのに誰よりも揺るがない意志を持つレイの真っ直ぐな眼差しに、ドーランは不思議と引き込まれていく。


出会った瞬間からドーランもまた、こんな人間の少年にも関わらず何故かレイならこの世界を変えてくれるのでは―。と思っていた。


<――言う事だけは一丁前だなレイ。まともに魔力も扱えんくせに>


「ゔッ……!ま、まぁ……それはこれから使えるようになればいいだろ……!!運動神経は昔からいいんだ!直ぐにSランクハンターになってやるさ!」


「先行きが心配だねぇ」


<全くだ>


「Sランク目指すのはいいけど、その前に冒険者ギルドで登録するところから始めなさいよ」


イブとドーランには心配されローラからも冷たくあしらわれたレイは、皆が言う事が全て的を得ている為何も言い返せずに落ち込んだが、ポジティブなレイは直ぐに気持ちを切り替える。


「よっしゃ!まずは冒険者ギルドで登録だ!行こうドーラン!ローラ!」


レイとローラの二人はそれぞれ翼とホウキで空高く飛び上がった。

「またな!」とイヴや妖精達に手を振って勢いよく飛んでいくのだった―。


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