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10 一歩進んで二歩下がる

「―――成程ね!よく分かったわ!」


「納得して頂けて何よりです……」


ローラの絶え間なく続く質問攻めがやっと終わり、納得したローラに安堵したレイはどっと疲れが押し寄せてきた。

レイが家を出てからドーランと出会い、そこから今に至るまでを全て話したレイは逆にローラの事が気になり軽い気持ちで聞いたのだが、これが思いもよらぬ発見となった―。


「ローラって俺と同い年ぐらい?」


「レイ十六でしょ?私もそう!私の家系は“魔法使い(ウィッチ)”だから十六になると皆家を出て自立するのよ」


「へぇ~ローラお前ウィッチなのか!俺初めて会ったよ!」


ウィッチと呼ばれる魔法使いは人間の中でも珍しい家系である。

ウィッチという名の通り人間の中でも魔力の高さは折り紙付き。

その魔力の高さからハンターとしてダンジョンを攻略するには是非ともパーティにいてほしい存在。


「私も王家の子なんて初めて会ったわよ……。それよりも本当に体の中に古代黒龍(ドラゴン)がいるとは…ちょっと体調べさせてくれない?」


「嫌に決まってるだろ。顔がマジで怖いぞ」


<変わった女の子がいるものだ>


「昔から気になるととことん調べたくなるの。体にドラゴンなんて前代未聞よ!後で絶対調べさせてね!それに話変わるけど、横にいるアナタは本物のフェアリー・イヴなの?」


人間の魔法学校でも当たり前の様に習う世界の歴史。その中に必ず出てくる妖精王と呼ばれるフェアリー・イヴ。


現実味がまるでないファンタジーの様な存在であるイヴが今目の前にいる事に実感が持てないローラだった。


「アンタの知っているイヴとは違うだろうが、私は正真正銘本物だよ」


「やっぱり本物なんだ!妖精の王と言われるフェアリー・イヴ……。一回調べさッ―「お断りだよ」


ローラの言葉を最後まで聞かず遮断したイヴ。

でもこれが正解であろうと思うレイだった。


「なんだぁ~こんなチャンス滅多にないのに……残念。私は魔法が大好きだから、これから世界を飛び回って魔法の全てを調べるのが夢のなの!……だからお願い!一回でいいかッ―「嫌だよ!変態だねぇアンタ!」


諦めたかと思いきやまさかのお願いに思わずツッコんでしまったイヴ。


ローラも諦めきれないのか暫くイブを見ていたがその視線を無視し続けた。

溜息を付きながら「しょうがない。」とようやく根負けしたローラは最後に、気持ちが変わったら…と念を押してイヴに言っておいたがこの様子では変わらないだろう。


「そういえば私“古魔法”なら少し知ってるわよ」


「<――⁉⁉>」


これまた予想外の言葉に驚くレイとドーラン。何より先にその情報を教えてくれよと思ったレイだったが、遂に貴重な手掛かりを見つけたと前のめりにローラに聞いた。


「それを先に教えてくれよ!話全部聞いただろ!」


「そうだけど…それ以上に気になる事が多くって!」


ローラはまだレイとイヴを調べたそうな目で見ていた。その不気味な視線に偉大な黒龍も妖精王も背筋がゾクッとしたらしい―。


<ロ、ローラよ……その古魔法について教えてくれぬか?>


「私も家にある古い書物でしか読んだことないから確かかどうかは分からないけど……。その古魔法っていうのは、当時のロックロス家と“魔女の呪術”によって生み出された呪いの魔法らしわ。その書物には古魔法で飛ばされた者は二度と戻ってこられない。別の空間に閉じ込められる……って記してあったわ」


「二度と戻ってこられない……」


ローラの言葉に僅かに抱いていたレイの一筋の希望が消えた―。


……が、ローラの言葉で再び淡い希望の光が生まれる―。


「確かにその書物はそれしか記していなかったけど、別の書物には“封印の解き方”が記してあったわ」


「――⁉⁉」


「私も読んだ時は“何の封印か”分からなかったけど、レイの話を聞いてピンときたわ!その封印の解き方がレイ達の探している異空間よ確実に!」


そう自信満々に言い放ったローラ。思いがけないところからとんでもな情報を得たレイは嬉しさの余りローラに抱き着いてお礼を言った。


「マジかよ!やっぱ方法はあったんだ!サンキューローラ!今のお前は魔法使いどころか神様に見えるぜ!!」


「ちょっと離れなさいよ。……水を差して悪いけど、もしその封印の解き方が書物通りだとしたら、“不可能”よ」


「………………………え……???」


レイは暫くフリーズした。

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