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第00話 プロローグ


 街からはだいぶ距離が離れた人気(ひとけ)のない山の奥地。

 その深閑とした場所に、突如何かが爆発したかのような轟音が鳴り響く────


 音の中心点では、二つの人影がぶつかり合っていた。


 一人は、まるで純銀を溶かし込んだかのような長く美しい銀髪で透き通るような銀の瞳。肌は雪のように白く、顔も精緻に整っていて実に容姿端麗な少女。


 しかし、その美貌は文字通り()()()()しており、その腰の辺りからは一対の白い翼。頭上には光輪が浮かんでいる。


 そんな少女の打撃を、身体の前で両手を交差して受け止めているのは、一瞬少女と見紛うような少年だ。


 肩口辺りまで伸ばされた黒髪は後ろで一つに束ねられ、黒の双眼はしっかりと目の前の少女を捉えている。

 肌も白く、線も細い。


 そんな少年のどこにこんな衝撃を受け止める力があるのかは預かり知らぬが、互いの力は拮抗している。


「やりますねっ……ですが、これならどうでしょうッ!?」


 少女はそう言って翼をはためかせ、少年から飛び下がり距離を取ると、右手を頭上に掲げる。

 そして─────


「《炎よ、我が手に集え》」


 一体何の言語か──少女がそう呟くと、掲げた右手の上にどこからともなく炎が具現し、深紅に、激しく、熱く燃え上がる。


 少女はそれを何の躊躇もなく少年に向けて投げ放つ。


「っ……!? これは、相殺させるしかないか……ッ!?」


 少年は額に汗を浮かべながら、迫り来る炎の塊に向けて両手を向ける。


「《力の奔流よ、道を成せ》ッ!!」


 少年もそう聞き覚えのない言語で叫ぶと、両手の前にみるみる光が集束し、膨張する。

 そして、方向性を与えられたその圧倒的エネルギーが、向かってくる炎の塊とぶつかり合う。


 一瞬の拮抗が生じた後、空中で両者崩壊。

 激しい爆音が轟き、大気と地面を唸らせる。


「ぬわぁ~……もうダメぇ…………」


 そんな光景を眺めながら、少年は身体に力が入らなくなり地面に膝をつく。

 そんな少年のもとへ、少女がゆるりと降り立つ。


「やはりこの規模の魔法を使うのは一回が限界のようですね」


「そうっぽい……頭がくらくらする……」


「でもまあ、これだけ出来れば魔法学院なるものにも合格できるでしょう」


 少女はそう言いながら、内心ではこれまでのことを思い返していた。


(それにしても……よくここまで成長したものですね。たかが生まれて数十年の人間にしたら、上出来でしょう)


 まあ、そんな風に育て上げたのは私なんですけどね! と、胸を張りながらドヤ顔を浮かべる少女。


 少年はそんな少女の意味不明な様子に、怪訝な顔をするしかなかった────



 これは、一度は人生のどん底に叩き落とされた少年と、物理的、権能的に叩き落とされた少女が織り成す、成り上がり奇譚である────

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