第7話 正義の定理
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それは翔斗の何気ないただ一つの疑問だったが、匠と朱里はすぐに答えを出せないでいた。すると、翔斗はその上に言葉を重ねる。まるで問い詰めるように...。
「俺は正直に言えば、正義の定理なんて存在しないものだと思うぜ?だって、価値観なんてそれぞれ違うんだからよ...。だから俺はあいつらが信用できねぇんだよ」
「なぜかわかるか?あの金髪の女は、自分達のことを正義の味方と言った。堂々と誇らしげにな...。俺はそれがどうにもきな臭いんだよ...。我ながら天邪鬼かもしれんが、俺は価値観の押しつけみたいな感じが気にくわねぇ。それに、どうにも茶髪の男サイドと金髪の女サイド、双方訳ありな組織じゃねぇかなと俺は思ってるんだ」
そう言うと翔斗は息を吐き出し、苦い笑みを浮かべた。自分でも屁理屈みたいなものだという自覚はあるらしい。そして翔斗は一つの提案をした。
「だから、あの金髪サイドの指定した場所に行くのは俺と匠だけにしてくれ。つまり朱里は留守番だ」
それに憤慨したのは朱里である。だが一方で、珍しい事に匠は黙り込み何も言わない。
「翔斗は私だけ安全な場所にいろってこと?それはひどいよ!匠はなんで何も言わないの!」
すると匠が申し訳なさそうに口を開いた。
「確かに僕も少し浮かれてたみたいだ...。朱里には申し訳無いけど、翔斗の提案に乗った方がいいと思う...」
「なんで!」
すると翔斗が吐き捨てるようにこう言った。
「当たり前だろ...!もしこれで俺と匠に何かあっても、自己責任だから仕方ない...。だが、情けねぇが俺と匠は朱里の身に何かあったら助けられるかもわからねぇ...。何より朱里を危険な目にあわせられねぇよ!」
「僕も同じだ...。朱里に何かあったら、僕達は朱里の親御さんに顔向けできない...」
「それに、あいつらは奇妙な力を使ってた...。十中八九、ニュースで見た『統治者』だ。そんな奴らの所に朱里をのこのこついて来させられない」
すると朱里は目に涙を溜め言い放った。
「もういいよ...。なら2人で好きに行ったらいいじゃない!私は知らないから!」
朱里はベンチから立ち上がり、歩いてどこかに行ってしまった。
「...これで良かったのか?翔斗...」
「...ああ、下手に巻き込まれるより、俺達が嫌われる方が安全だろ?」
「お前も損な性格してるな...」
「...うるせぇよ」
続
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