第3話 不思議な青年達
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切り裂かなかった。
誰もが翔斗が死んだと思ったその時、その者たちは現れた。
「そのままこの子達を殺させるかよ!なぁ貪食の10よ!」
「優しい坊やを殺させはしないわ!口は悪そうだけどね!」
そこに現れたのは、両手に機械的なフォルムが特徴的な銃剣を持つ、黒髪に黒縁眼鏡の青年と、柄が奇妙なほど長くて、先端が少し大きめなハンマーを持った金髪の女だった。
茶髪の男の凶刃と黒髪眼鏡の男の銃剣が交差し、火花をあげる。刃は翔斗を切れなかった。
「チィッ!?審判者の偽善者共が!俺の邪魔をするんじゃねぇ!」
「悪いが勧善懲悪がお仕事なもんでね!ここでお前は捕縛する!ケイトはすまないがその子達を守ってくれ!」
「任されたわナオヤ!そこの坊や達はケイトの後ろに来て!」
言われるがままに金髪の女の後方に走る3人。女の後方にたどり着いた瞬間、緊張で崩れ落ちるように座り込んだ。
「助かった...のか?俺達は...?」
「すいません巻き込んでしまって...。大丈夫なんですか?あの茶髪の男見るからにやばいですよね?」
「死んじゃうかと思ったよ...。まだわからないけど!」
金髪の女は微笑みながら話し始めた。
「大丈夫よ!ケイト達は反逆者退治のプロよ?そう簡単にナオヤもケイトも負けはしないわ!それに、もう1人援軍が来るからね!」
「「「援軍...?」」」
すると、どこからとも無くバイクの音が聞こえる。かなりバイクが近い事は音の大きさからして明らかだった。音が聞こえる方向に顔を向ければ、いきなり瓦礫の向こう側から目の前に大型バイクが滑り込んできた。バイクには男が乗っている。そしてバイクにまたがっていた男はヘルメットを脱ぎこう言った。
「やっと着きましたねぇ。バイクのヘルメットは蒸れるから嫌いなのですが...。おや?ケイトさん後ろの方々はどちら様でしょうか?どうにもケイトさんのお知り合いに見えないのですが?」
バイクにまたがっていた男は細身で目が鷹のように鋭かった。だが、けして冷酷な目ではなく、どこか暖かみのある目でもある。
「ようやく来たわねシンジ!待ってたわよ!」
「お待たせしましたねぇ。さて、仕事を始めましょうか?ちなみにお相手はどちら様ですかな?」
「今回も下っ端だと思ってたけど、10の反転のメンバーである『貪り喰らう者』みたいね。先程権限を使う瞬間を見たわ!情報通りだったわね!」
反逆者?10の反転?匠達は何がなんだかわからないまま現実を受け入れようとしているが、ここにきてようやく、自分達は反逆者によるテロ行為に巻き込まれていると理解した。
「さてさて、『貪り喰らう者』なのであれば、たしか金属を操る権限ですよね?ならばそうですねぇ...、熱に対する耐性があるのかわからない以上、下手に周辺に火を放つわけにもいけませんし...。ケイトさん...、貴方の権限はたしか硬度は自由ですよね?なら一度、直也さんを呼び戻しましょう」
「わかったわシンジ!おーいナオヤー!戻ってきなさい!」
「ん?なんだろうかな!呼ばれてるなら戻ろうか!」
戦いの途中に、急に背を向け仲間の元へ戻るナオヤと呼ばれた男。しかし、なぜか茶髪の男は追撃しない。
「てめえ!俺との殺し合い中だろうが!何逃げてんだクソがァ!」
「悪いな!うちのお姫様にお呼ばれしたのでな。むさいおっさんとはここで一旦休戦だ!」
「舐めてんじゃねぇ!お前ら全員皆殺しにしてやるよ!」
茶髪の男が追いかける。しかし、それがバイクの男の罠だった。
「今ですねぇ...。ケイトさんお手数ですが、私が指示した建物の柱を限界まで柔らかくしてください」
「わかったわ!けどこれってこの建物崩れない?まぁ任せるわ!」
金髪の女が建物の柱に触れる。すると、その瞬間柱が崩壊した。金髪の女も統治者だったのだ。
「うぉぉあぁァ!?てめぇらなにをしたんだ!?心中でもする気かァ!?」
「悪いけど、あなたみたいな粗暴なテロリストと心中するほど安い女じゃないわよ?私達には瓦礫は降ってこないもの!」
そう、なぜか建物が崩壊しているのに金髪の女とバイクの男、ナオヤと呼ばれた男と匠達がいる範囲だけ瓦礫が降って落ちてこない。いや、厳密にいうと落ちてきているが当たらないのだ。
「まぁ悪いが、俺にこういう遠距離武器みたいなものは一切効かないからな!瓦礫だろうと銃弾だろうと、飛んでくるものは全部無駄だハッハッハ!!!」
「相変わらず便利ですねぇこの権限。実に優秀な肉盾ですよ」
そう、ナオヤと呼ばれた男の半径3メートルほどの円形の空間だけ、瓦礫が降ってきても見えない壁のようなものに反射して別の場所に落ちている。ナオヤと呼ばれた男も統治者だという事は間違いないだろう。
「チッ!これは撤退しかねぇようだなァ?次は殺すぜ?てめぇら全員なァ!」
「それはこちらのセリフですねぇ。次会った時は貴方が捕縛される時ですよ?」
捨て台詞を吐いた茶髪の男は走り去った。後に残されたのは金髪の女と黒髪眼鏡の男、バイクの男と匠達である。
「あなた方は何者なんですか?正義の味方なんですか!?」
興奮を隠し切れない匠は聞いた。匠には、目の前の者達が正義のヒーローにしか見えなかった。翔斗と朱里に緊張が走る中、金髪の女はこう答える。
「私達は審判者、俗に言う正義の味方よ!」
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