第10話 喫茶店
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15分後...
「いや〜、お2人ともありがとうございます。おかげで私だけでは2つしか買えなかったはずの特大まんじゅうが6個も買えましたよ。これはまんじゅうの代金です」
ニコニコしながらまんじゅうの袋を抱えて財布を取り出し、2人にまんじゅうの代金を手渡す伸二。足取りが軽く、とても嬉しそうだ。しかしそんな伸二を見て、匠と翔斗は奇妙なものを目撃したような目を向ける。
「...どうも」
「...俺らは使いっ走りじゃねぇんだぞ」
しかし、次に伸二が話した内容は2人にとって意表を突くようなものだった。
「実は私の権限はデメリットがありましてね。糖分を定期的に摂取しないと低血糖で倒れてしまうんですよ」
「...!権限だと!」
そう、匠達にはニュースでしか聞いたことがないあの異能の力の話である。しかし権限と言われて動揺する2人を見て、伸二は肩をすくめただけだった。
「まぁそれもカフェについたらまとめてお話しします。ほら、カフェが見えてきましたよ」
なんだかんだ歩いているうちにお菓子売り場の隅にある喫茶店に着いたようだ。すると喫茶店のガラス越しにあの時の黒縁眼鏡と金髪の女がまるで小学生のように手を振っている。
「「...」」
「何を緊張しているんですか?別にとって食いはしませんよ」
しかし2人は緊張しながら店の前で立ち止まるが、見かねた伸二が強引に2人の背を押し入店させる。
喫茶店...
「やはり来てくれたな!俺はすごく嬉しいぞ!しかし、女の子がいないな。まぁ仕方ないな!」
「よく来てくれたわね!私達ここでほったらかしになると思ったわ。しかし伸二!なんでメール無視するのよ!」
前にあった2人はやはり前のような騒がしさで話しかける。この喫茶店の客層は上品なおじさまおばさまが多く、周りから浮くことこのうえない。
「まぁまぁ座れ座れ少年達!今から少し話したい事が山ほどあるんだ!」
「それ少しなのかたくさんなのかわからないわね...。まぁけどお話ししたいのは事実よ!」
そうして6人がけのテーブルでやかましい青年達の対面の席に着く2人。すると急に黙り込んだ青年達、今まで騒がしかったのが嘘みたいに鎮まりかえると、注目していた他の客達も興味を失った。
すると金髪の女がタブレットを取り出した。どうやら声を出さずにこのタブレットのメモに文字を打ち込むことで、それを見た匠達に自らの思いを伝えるらしい。その意図を察した匠達は内心思った。
((なんでこんなめんどくせぇんだよ!))
そんな2人の思いも知らず、金髪の女がタブレットを操作し文字を打ち込んでいく。するとそこに書かれていた文章は...。
『あらためてこんにちは!私の名前は雨元ケイト!そして、このエセ爽やか黒縁眼鏡は角山直也!最後に、このスーツは紙屋伸二!私達は対テロリスト組織、審判者の日本支部のメンバーよ!』
ニコニコしながらタブレットを見せる雨元。スマートフォンを取り出した匠も同じようにメモを使い文章を打ち込み3人に見せる。
『あなた方は正義の味方なんですよね?』
するとそれを見た雨元は追加でメモに文章を書き込んだ。
『そうよ!多分ね!』
ありがとナス!




