第8話 なぜバレたし!
「もうすぐ来られなくなるから…、その前にお友達が出来るのを見届けたかったの。」
「人間には友達が必要だから…友達を得て、より豊かな人生を生きて欲しいから…。」
ぽろぽろと涙をこぼす鳥居ちゃんとミカエル君。
3人組の責めるような視線が痛い。
それ以上に、ミカエル君と鳥居ちゃんの涙を見るのが辛かった。
あれ以来、スーツ男が木材で何かを作っていた。鳥居があれば出現できるのならば…と、執務室に籠って手のひらサイズの「鳥居に似た何か」を量産していた。
しかしスーツ男は絶望的に不器用だった。
どれも「鳥居に似た何か」の域を出ないため、3人組にもミカエル君にも鳥居ちゃんにも見せることが出来なかった。
しかも「鳥居に似た何か」を、こっそり作っているので執務室に籠って誰にも会おうとしない。だから「お友達が出来るのを見届けたい。」という鳥居ちゃんの願いも叶えることができない。
――― このままではだめだ!しかし…いったいどうしたら…。
ごんごんごん!
――― 誰だ!ノックは静かにしろ!
「いい加減でてきてくださいよ!」
「へたくそな鳥居作りよりも思い出作りしましょう!」
――― なぜバレたし!
「執務室から出るゴミが木くずばっかりだって聞きましたよ。」
…………ガチャ。