第56話 モン・サン=ミッシェルの羊
「こんにちはー!」
「遊びに来ましたー!」
今日も「鳥居のようなもの」を通って鳥居ちゃんとミカエル君がモン・サン=ミッシェルにやってきた。
「いらっしゃーい。」
いつもの3人組が2人を出迎える。
「この間、水族館に行ったよ!」
「ペンギンを撫でたの、とっても可愛かった。」
「2人は海の生き物が好きなの?」
「好きなのは海の生き物だけじゃないよ。僕の住んでいる大聖院には最近、子犬が来たんだ。」
「ミカエル君と一緒に毎日お散歩してるの。」
「メイちゃんていうんだ、とっても可愛いよ。」
「ここでは干潟のウォーキング・ツアーがあるよ。参加してみたらそこら辺をウロウロしている羊と干潟で触れ合えるんじゃないかな?」
「でも流砂と呼ばれる底なし沼があるから、専門ガイドの引率がいないと干潟を歩くことが許されていないんだよ。」
「あの方、ガイドもやってたから連れて行ってくれるんじゃない?」
―― あの方の執務室に来た。
「揃ってどうした?」
「干潟のウォーキング・ツアーの話になったんだ。」
「2人とも動物好きだから。」
「連れてってあげて欲しいなって。」
2人が『連れてってー』と、お膝に押し寄せてスーツ男は幸せパニックだ。
「支度は良いようだな。」
「はーい!」
「はーい!」
スーツ男のガイドは素晴らしい手際と分かりやすい説明で鳥居ちゃんもミカエル君も大満足だった。
「羊って大きいね!」
「堂々としているから、余計に大きく感じるね。干潟も道路も羊がウロウロしてよく車が動けなくなってるよね。」
「そうだな、ここでは羊が優先だ。さあ、そろそろ戻るぞ。」
ツアーから戻るとスーツ男が名物の羊肉を料理をしてくれた。
「モン・サン=ミッシェル名物の羊肉はプレサレと呼ばれていてね。」
「塩を含んだ草を食べているのでほどよい塩加減で美味しいんだよ。」
「美味しい!」
「私も好き!」
さっきまで可愛いと愛でていた羊肉をみんなで美味しく食べた。




