第43話 モン・サン=ミッシェル探検
「こんにちはー!」
「遊びに来ましたー!」
今日も「鳥居のようなもの」を通って鳥居ちゃんとミカエル君がモン・サン=ミッシェルにやってきた。
「いらっしゃーい。」
いつもの3人組が2人を出迎える。
「そうなんだ、2人とも向こうでは島内を自由に行動できるんだね。」
「普段は一般の方に僕らの姿は見えないんだ。」
「でも鹿や猫には見えているみたい。撫でることもできるのよ。ここでも水鳥を抱っこ出来たし。」
「ねえ、僕たち、モン・サン=ミッシェルのどこまでお出かけ出来るのかな?」
はてな?と首をかしげる3人組と2人。
―― 分からないので、実際に出かけてみることにした。
キツネに化けた鳥居ちゃんを抱いたミカエル君が参道を見渡す。観光客向けのお土産物屋さんやレストラン、ホテルが並んでいる。
「この辺りは鳥居ちゃんも問題ないみたいだね。」
「うん!外国って感じだね、いつまででも見ていられそう!」
「宮島とは全然違った雰囲気だよね。」
「あ!でも道幅が狭いのは似てるね!」
「そうだね。」
そよそよと尻尾を振りながらキョロキョロする鳥居ちゃんキツネが可愛くて笑顔になる。
「この落とし格子の付いた建物は国王の門。
この上は役所として使われているんだって。」
」
「わあ!おとぎ話に出てくるお城みたいね!」
「ここは郵便局、ここはレストラン、ここはお土産もの屋さん。」
「看板が可愛いね!」
「うん、僕も看板を眺めるのが好きなんだ。あ、ここは教会だね。隣は博物館。」
「街全体の建物に統一感があって素敵だね!あ!ねえミカエル君、振り返ってみて!」
「何かあるの?」
振り返ってみたが何も見つけられないミカエル君。
「ミカエル君の修道院が見えるよ!とっても立派で綺麗だね。」
「ありがとう、鳥居ちゃんに素敵だなって思ってもらえて嬉しいよ。」
遠い国で出来たお友達の素直な感想が嬉しい。
「ただいま!」
「戻りましたー!」
キツネに化けた鳥居ちゃんとミカエル君が戻ってきた。
「おかえりー」
3人組が2人を迎える。
「そうなんだ、けっこう遠くまで行けたんだ。」
「うん、限界は確かめなかったけど。」
「これからは、お出かけも楽しむといいよ。」
「うん!」
―― 何だと!せっかく訪ねてきても外に遊びに行ってしまうだと!?あいつら余計なことを勧めおって〜!
ドアの陰で残念そうなスーツ男が悶えていた。