第41話 遠足気分です!
鳥居ちゃんとミカエル君の水族館に同行する気満々の不動明王と阿弥陀如来と天狗。
ウキウキ過ぎて嫌な予感がする。
僧侶と神主たちは鳥居ちゃんとミカエル君だけでなく、この浮かれた仏像たちも引率するのか……と、少しげんなり顔だ。
「準備はいいぞ!」
「さあ、行こうではないか!」
「待ってください、そのままじゃ駄目ですよ。」
「む、何故じゃ?」
「鳥居ちゃんの耳と尻尾を誤魔化さないと。」
「鳥居ちゃんとミカエル君、このお帽子をかぶってね。」
「わあ!お揃い。」
「僕の帽子は耳付きだね!」
「そう、これで鳥居ちゃんのお耳も本物じゃないって思われるからね。」
鳥居ちゃんのお帽子は耳を出す穴だけ空いている。
「鳥居ちゃんの尻尾はどうするの?」
ミカエル君が指摘する通り、耳よりも尻尾の方が問題ありそうだ。
「尻尾はお気に入りのおもちゃという事で押し通すよ。」
「メタボ先輩が中国へ研修旅行に行った時に露店で買ったものでメーカー名は不明、詳しいことは分からない。単三電池で動くという設定ね。」
「うん!」
設定を理解した鳥居ちゃんの尻尾が揺れる。
性能が良過ぎる。
「今からだと、13時のアシカライブに間に合うね。」
「わあ!アシカ!」
「楽しみね!」
「アシカか!」
「それはいいな!」
ミカエル君と鳥居ちゃんに混じって浮かれる仏像たち。
今日、護衛という名目でついてきたのは……
黒髪のショートヘア&細マッチョ、眉毛濃い目の俺様キャラっぽい見た目の不動明王。
ボリウッドのムキムキなイケメン・アクション俳優に激似なセクシー過ぎる阿弥陀如来。
チャラいけど本命には一途なピュアボーイ風のイケメンな山の神、天狗。
この国際色豊かなイケメン3人を引率するのは、普通のおじさんであるメタボ先輩と、ひょろい若手のオタク神主の2人だ。不安しかない。
「2人とも、少し顔色が悪いわ。」
「大丈夫?無理しないで。今日のお出かけはやめておく?」
ウキウキな仏像たちを前に青ざめた2人を心配する鳥居ちゃんとミカエル君。
あんなに楽しみにしていた水族館を諦めようとさえしている。
「どうした!?」
「ペンギンを見れば治るぞ!」
「早く参るぞ!」
それに比べて、この仏像たちは…。
怒りのパワーで元気になる2人だった。




