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第3話 見えてませんから!

「ねえミカエル君、今日は姿を消さなくて大丈夫?」

「うん、以前は人間に見られちゃいけないって思ってたけど、鳥居ちゃんが宮島で人間のみんなと普通に接しているのを見て、姿を消していたことを後悔しているんだ。」

「早くみんなと仲良くなれるといいね!」

「うん。」

ぎゅ!

鳥居ちゃんが励ますようにミカエル君の手を強く握る。


「おい化け物!ミカエル様の手を放せ!」


ふり返るとスーツ姿の大人の男性が鳥居ちゃんを睨んでいた。

「あなたは誰?」

鳥居ちゃんを後ろに庇いながらミカエル君がスーツ男を睨む。


「ああもう!言い方!」

「可哀そうに…お耳が倒れてしまったぞ。」

「尻尾も細くなって…。」

スーツ男から距離を取って様子をうかがう3人組は鳥居ちゃんに同情的だ。


「私はこの僧院を管理する組織の者だ。」

スーツ男がミカエル君の質問に答える。


「組織って…。」

「悪の組織みたいだな…。」

「管理事務所って言えばいいのに…。」

3人組が残念そうにつぶやく。


「僕はミカエル。降臨してから数百年…ずっと姿を消していたけれど、僕はこのモン・サン=ミシェルを見守ってきた。

この子は友達の鳥居ちゃん。観光友好都市である日本の廿日市市はつかいちしにある宮島の鳥居の化身だよ。僕の友達を化け物呼ばわりするなんて許せない。鳥居ちゃんに謝れ!」

「ミカエル君!」

きっぱりと言い切るミカエル君に寄り添う鳥居ちゃん。


「あ?姿を消して?…ミカエル様なら、何百年も前からずっと目撃されていたぞ?小さいミカエル様が見えるって有名な話だからな。観光客も知ってるぞ。」


衝撃でミカエル君の顔が真っ赤に染まった。恥ずかしくて。

見えていないと思っていたのに!


「ひでえ…。」

「ああ、酷いな。ミカエル様が姿を消していたっていうなら誰にも見えていなかったんだ。」

「ミカエル様のお言葉を否定するなんて…。」


「ミカエル君!」

真っ赤になって俯き、ブルブルと震えるミカエル君に鳥居ちゃんが抱き着く。

「ひどい!ミカエル君に意地悪ばかり言って!」

怒りで尻尾を膨らませた鳥居ちゃんが目に涙を溜めて訴える。


「お、俺…もう黙ってみていられねえ!」

「俺も!」

「俺もだ!」

3人組がスーツ男の前に飛び出した。

「この人は嘘つきだ!」

「そうだ!だから、この人には友達がいないんだ!」

「だから……友達のいない可哀そうな人だから…許してあげてくれないか?」


顔を見合わせるミカエル君と鳥居ちゃん。

「…友達がいないなら仕方ないね。」

「そうね、仕方ないわね。」

ミカエル君と鳥居ちゃんが、可愛そうな子を見るような目でスーツ男を見た。

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