第17話 [虚空蔵菩薩]最新のイケメンにアップデート
「ワシ、虚空蔵菩薩の方向性は決まってる気がする。」
「ワシも。」
「ワシはちょっと頭の良いマッチョなイケメンに調整した。」
「やっぱり…!」
戦国武将からの信仰を集めた虚空蔵菩薩らしい選択だ。
「年齢設定は10代じゃ!」
「なんと…。」
実年齢を大幅に無視したやんちゃな設定だった。
「乙女ゲームで例えると学園でモテモテのヒーロータイプじゃ。」
「もしかしてツンツンした髪型じゃないのか?」
「鋭いな、その通りじゃ!ケンカっ早いところがたまに傷で、学校の友達とバンドを組んでおる。」
「担当楽器はギターじゃな?」
「その通りじゃ。」
「まさかとは思うが…バイクにも乗っておるか?」
「鋭いな!乗っているぞ。」
「設定を盛りすぎじゃぞ!」
「お主に言われたくないわ!」
盛りすぎなのはお互い様だった。
「具体的なキャラクター・メイキングはバンドマン達との甘く激しい恋物語を描く乙女ゲームを参考にした。
簡単に表現するとワシはちょっと生意気な年下ギタリストじゃ。学校の軽音部では、気分屋なヴォーカル、天才肌のキーボード、クールなモテベーシスト、マイペースなドラマーとバンドを組んでおる。」
「お、おう。」
「戦国武将たちからの信仰を失いそうじゃが…。」
「時代は変わったのじゃ!ちなみにバンドのメンバーは、不動明王の眷属の三十六童子から募集した。」
「それはかまわんぞ。」
「学園での1番の見せ場は学園祭じゃ。」
「うむ。打倒じゃな。」
「普段は街のライブハウスで活動しておる。バンギャもおるぞ。」
「待て待て待て!ちょっと頭の良いマッチョなイケメンという設定はどうした?」
「うむ、このままではただのチャラい高校生じゃ。」
「バンドを組んでいるだけではない。実は両親共に医師でな、将来は小児科医を目指す若者じゃ。運動能力にも優れており、ワシは体育祭でもヒーローじゃ。」
「盛りすぎじゃぞ!」
「あくまでも裏設定じゃ、熱くなるな。それでな、バンドのメンバーはプロを目指しておる。しかしワシの場合はバンドは趣味じゃ。」
「揉めるのう。」
「うむ。医学部受験に向けてバンドを脱退することになり一悶着ある。」
「青春じゃな!」
「ワシの抜けた後、情熱家のギターが加入し、プロデビューを果たすのじゃ。」
「少年コミックでも乙女ゲームでもいけるのう。」