第15話 [十一面観音]最新のイケメンにアップデート
「僕もオタク神主にアドバイスしてもらったんだ。僕は10種類の現世での利益(十種勝利)と4種類の来世での果報(四種功徳)をもたらすと言われているからスパダリ系のキャラクター・メイキングを勧められたよ。」
「すぱだり?」
「うん、僕もそこから分からなかったよ。もともとBL漫画が発祥なんだって。」
「びいえる?」
「衆道のことを現代ではBLって言うらしいよ。」
「ほほお。」
「高身長で高学歴で高収入でイケメンで家事も万能なスーパーダーリンの略だって。」
「……。」
「……。」
「うん、僕もそんな人間見たことないよ。だから妄想というか空想の世界で楽しんでいるんだろうね。」
「人間も大変なのだな。」
「それでね、僕はクールなイケメンがベースだよ。」
「ほほう。」
「目つきとか顔立ちはシュッとした方向の現代風に調整した。」
「おお!」
「スパダリっぽいな!」
「ぽいな!」
「髪型は憧れのストレートなロングだ。」
「憧れておったのか。」
「うむ。似合うな。」
「身長は178cm。」
「うむ。」
「いいんじゃないか?」
「僕はムキムキとヒョロヒョロ、どっちも好きじゃないから、隠れマッチョだよ。」
「うむ。イメージ通りじゃな。」
「乙女ゲームの世界なら学園の理事長の孫で役職は生徒会長、学業優秀でモテモテという設定だね。」
「その説明はいるか?」
「イメージは大切だからね。」
「好きな食べ物は生ハムメロンで、得意な科目は音楽。」
「学業優秀だから数学とかじゃないのか?」
「幼少の頃から習っていたバイオリンが得意という設定だよ。」
「バイオリン…。」
「…お主の得意な楽器は妙鉢ではないか?」
※ 読経の途中でガシャーン!と鳴らされるシンバルのような楽器。
「細かい事は気にしないで。学園のクリスマス・パーティで披露するバイオリンは他校からもファンが聴きに来るんだ。モテモテだよね。」
「ワシらがクリスマスはマズくないか?」
「ただの裏設定だよ、気にしないで。部活はフェンシング部で、生徒会に11人の配下がいる。」
「頭部の11の顔が生徒会のメンバーか。」
「うん、とても優秀なんだ。」
十一面観音は腐女子の妄想が捗る系のイケメンに寄せてきた。




