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第11話 ミカエル君がやってきた(回想)

――― ここが日本の仏教寺院か!

風景がぜんぜん違うな。アジアって感じ!遠くに来たって感じがする!

あとミカエル像が結構イケメンで良かった。

ポーズも格好いいな。

いいぞ!いいぞ!


ミカエル君がご機嫌だったのは、ここまでだった。



「よく来たな!」

ミカエル君が機嫌良く振り返ると、不動明王ふどうみょうおうに見下ろされていた。

燃え盛る火炎を背負い、仏像らしく厳めしい表情の不動明王ふどうみょうおうは超怖かった。


「ふう。」

こてん。

ミカエル君は気絶した。


「ミ、ミカエルーー!!!誰か!誰かー!」

不動明王ふどうみょうおうが助けを求めて叫んだ。


「呼んだか?」

薬師如来が現れた。

「おお薬師如来!ミカエルが気絶しよったのだ、助けてくれ。」

「うむ。病気平癒や身体健康などを祈願されることの多いワシだからな。任せろ。」


「う、ううん。」

「お、気が付いたか。」

目が覚めたら、薬師如来のアルカイックスマイルのドアップに視界が埋め尽くされていた。


もう一度、こてん。

ミカエル君は気絶した。


「ミ、ミカエルーー!薬師如来!そなた任せろと言ったではないかー!」

「あわわ!ど、どうしたら…。」

「どれどれ。」

「おお賓頭盧尊者ビンズルソンジャ!」

「体の弱っている所と同じ所をさすると治るからの、ミカエルの手を取ってワシの心臓に当てて…。」


さすさす。


「う、ううん。」

「気が付いたか。」

目が覚めたら、賓頭盧尊者ビンズルソンジャに手を握られていた。顔と顔も近すぎるし超怖い。


もう一度、こてん。

ミカエル君は気絶した。


「ミ、ミカエルーー!」

「しっかりしろー!」

「何故だ―!」


ミカエルを静かな場所に横たえ、不動明王ふどうみょうおうたちは毛布を掛けて立ち去った。



「ワシ、重要文化財なのに!」

「そうですね。」

「民衆からも、お不動さん、お不動さんて親しみを込めて呼ばれているのに。」

「そうですねえ。」


その夜、大聖院だいしょういんの愚痴聞き地蔵は上司である不動明王ふどうみょうおうの愚痴を朝まで聞かされた。

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