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プロローグ

初めての投稿になるので、読みにくいところなどあるかと思いますが、よろしくお願いします。


中々時間がとれないので、まったり更新になるかと思います。


※02/05/15 スマホの故障から、その後いろいろ忙しすぎて、更新がまったくできなくなってしまっていたので、初めから少しずつ訂正しながら、超まったりで更新再開できればいいなと思います(子どもが休校中で自分のことを出来る時間がない…泣)

 

 ――――いつか、私だけの世界が見つかるだろうか。

 誰も私を奇異の目で見ることのない、そんな縛られない世界が―――



『神崎絵梨衣(えりい)さんだよね?君、変わった髪の色だよねー。染めてるの?それに、目の色も薄くて日本人ぽくないよねー?もしかして、カラコン?ハーフとか?』


 大学に入って、とりあえず単位を取る為だけに、おじいちゃん講師がまったりとした話し方で、出席者の仮眠室かと思うような講義で、他の人からは少し距離をとり、地味に、そして存在をなるべく消してボーッとしていると、顔見知り程度の男子が突然隣に座り、小声で話しかけられた。


 私の胸元まであるロングでストレートの髪は、かなり薄い茶色だが、光の加減で薄紫に見えるような、不思議な色。瞳の色も、ほぼ髪の毛と同じ色。


 ちなみに、ハーフでもなんでもない。染めてもいなければ、カラコンなんて目が痛くて入れていられない。ついでに、視力もめちゃくちゃいい。

…いや、染めてもいないわけではない…。黒く染めたこともある。しかし、美容室で染めた翌日、朝起きて顔を洗いに洗面所に行った、その目の前に鏡には、ほぼ黒い色が抜けてしまって、なんかこげ茶?ぐらいの髪の色だった…。3日後には、元通りになっていた。

もちろん、何度も何度も期間を置いて染めてみたが、やはり同じように数日で色が戻った。諦めた…。


 父も父方の家系も、日本人の黒髪で黒い瞳なので、恐らく亡くなった母の遺伝なんだろうなーとな思う。写真でしか見たことのない母は、茶色の髪に茶色の瞳…。天涯孤独の人だったそうだが、海外の血縁者がいるような話は聞いたことがないと、父が言っていた。


 物心ついた時には、既に周りとは違うことを認識していた。

周りの精神年齢の成長と共に少しずつ…、そして、それからはずっと、普通とは違う外見のことを言われてきた。

『変わった色』『人間じゃないみたい』『ずるして染めてくるな』『目が化け物』

 心無い一部の人からの声ではあったが、言われないことは無かった。

保育園の頃でさえ、母が私を生んですぐ亡くなったこともあって、見た目と境遇から、常に腫れ物を触るような環境であった。


 もちろん、そんなことは関係なく、保育園や小学校低学年の頃は、仲良くしてくれる友達もいた。

 ただ、年齢が上がるにつれ、父の遺伝からなのか、身長も一般的な女の子よりはスラッと成長し始め、より目立つ、いじられる対象になることが多くなった私は、友達が巻き込まれないように、少しずつ自分から離れるようになった。

…まぁ、いわゆる一匹狼でも平気なタイプだったこともあり、多少の淋しさはあれど、ひとりで自由な時間を過ごせるのも悪くはなかった。


 何より救いだったことは、父が常に私の味方だったことだ。それはそれは重たいぐらいの過保護っぷりで、私を愛情かけて育ててくれた。辛いときは、そっと側にいて、なぜか一緒に泣いてくれた。


 そして、父方の祖母の存在。祖母は看護師現役だった頃、身体と精神を鍛える為だと、趣味で格闘技等を習っていて、「やられたら、…やるんだよ。」と、それ孫に教えても大丈夫ですかね?と言う台詞と共に、私に色々な護身術を教えてくれた。

そのおかげで、あからさまな暴力的ないじめに合いそうな場合も、最低限の防御で身を守ってきた。


 いつも優しい誰かに守られて、私は狭い世界を、静かに、目立たないように、それでも、前を向いて生きてきた………。


 でも、どこか広い世界で、誰かの目を、何も気にせず生きていける世界を見つけたい………。



 ********************




『ヨーロッパにね、妖精が見つかりそうな新しい場所が何ヵ所かあるって、向こうの研究仲間から連絡があったんだよ!だから、ちょっとヨーロッパ行ってくるよ!』


  入学したばかりの大学から帰宅して、夕飯を作り終えたタイミングで帰ってきた父が、それはもう興奮した様子で、どうしたの?どこかで頭打っちゃったの?精神年齢子どもに戻っちゃったの?と思うようなテンションで、ひとり娘の私に言ったのが3日前。



「じゃあ、エリィちゃん、行ってくるよー!長いと何年か帰ってこないかもしれないけど、生活費と学費は心配しないで大丈夫だからねー!妖精さーーーん♪待っててねーっ♪♪♪」


  現在、朝の5時。どでかいトランクとリュックを背負い、もう50歳過ぎてるとは思えないようなテンションで、私の父はヨーロッパを巡る妖精探しの旅へ行ってしまった。



「…本当に…行っちゃったわ…ハハ…ハハハハ…」

 私は、渇いた笑いを浮かべながら、玄関の扉の鍵をしめて、キッチンへと向かう。玄関で呆然としていても仕方がない。何かあったかいものでも飲もうとキッチンへ向かう。



  しっかし…年頃の…しかも大学入学したばっかりだっていうのに、普通そんな娘を一人にするかな………。

 おかしいぞ……………おとーちゃーん…………Zzzzz

 コーヒーを淹れる準備をしながら、心の中で思いながら、大きなあくびをひとつ。だって、眠いし。まだ全然目は覚めてないし。



 私の母は、私を生む際に酷い難産だったそうで、母子ともに命の危険があったらしい。産後、私が元気いっぱいに育つ一方、母は体力が戻らぬまま、帰らぬ人となったそうだ。


 なので、今の家には、父とふたりで住んでいる。

 父の職業は、お医者さん。現在はフリーの医者で、本業は『妖精研究家(自称)』。

 そこのあなた、今、なんちゅー怪しい父親なんだと思ったでしょ。わかります、実の娘でもそう思ってますから。



「外科のお医者さんなんだよー、本当だよ、えりぃちゃん!手術すっごく上手なんだよー!何でそんな冷たい目でパパを見るのー!信じてぇぇぇ!えりぃちゃーん!」


 小学校に入るまでは、ほとんど家にいてくれた父のことを、怪しい仕事でもしてるんじゃないかと思い始めた思春期の私に、父はよく必死の形相で、私に説明してたっけ…。



  保育園にも通っていたけれど、お迎えはほとんど父だったので、子どもながら、うちのパパはいつも暇そうで大丈夫なのかなと心配したりもしていた。(周りのお母さん方が、お迎えの際にこそこそ話していたのを小耳に挟んでいたともいう。)


 時々、父のお母さんとは思えないぐらい、クールでかっこいい女の魅力駄々漏れの祖母が、何かよくわからないけど、すごいスポーツカーでお迎えに来てくれたりはしていた…。

 そういえばおばあちゃん、この間入学式に来てくれた時は、このあと北海道1周ツーリングに行って、ヒグマに挑戦してくるとか不安しかないこと言ってたから、何かあっても、おばあちゃんはすぐには来れないのか…。逆に、おばあちゃんがヒグマに何するのか、心配すぎる…。


 コーヒー豆の蒸らしを終えて、ゆっくりお湯を注ぎながら、頼れる近場の大人がいないんだなぁ…なんて遠くを見つめたり。



 淹れ終わったコーヒーにたっぷりのミルクと、つまめそうな小袋のクッキーを持って、リビングのソファに座って、大きなあくびと、ため息をひとつ。



「とりあえず、これからのことを整理しよ…。」



  私の親族は、父と祖母しかいない。母の両親は、母が成人してすぐに亡くなって、天涯孤独だったらしい。父と出会ったのが、その頃だったそうで、お互いに一目惚れからの、大恋愛だったと、もう小説書けちゃうよ私…ってぐらい聞かされた。他に母方の親戚がいるかどうかは、父もわからないと言っていた。


  医者だった父方の祖父も、数年前に亡くなった。人当たりの優しい、聞き上手の祖父に会いに、よく父と遊びに行ったりしていた。(家が超近所なので。)



「パパもおばあちゃんも、連絡自体はいつでもつくから大丈夫かな。何かあれば連絡すればいいとして、あとは家のことか…。」



  家事については、いつもは激甘ゆるゆるな父から『男も女も関係なく、家事全般は生きる為に出来た方が得だよ!えりぃちゃん♪』と、保育園に入る前から少しずつ、鬼かと思う笑顔のスパルタで仕込まれたので、特に問題はない…。

 っていうか、元々毎日普通に一通りのことやってたから、家事は父がいなくても問題ないんだよねー。



 あとは金銭面と、ご近所付き合いかな…。お金は、父がいつも必要なお金を私の口座に準備してくれているので、出ていく時に父が行っていた通り、生活費等も心配はないと思われる。


  いったい、どこにそんなお金があるの…?ほぼ、妖精追っかけてるよね…?と、常々疑問に思ってはいるけど。一応、医者としても働いているらしい。


  ご近所さんとは、トラブルもなく平和にお付き合いしているので、問題ないはず。

 元々、親密にご近所付き合いをする地域でもないので、たまにくるごみ当番ぐらいだけれど、それもいつものことなので何ら問題ないなぁ。



「別にパパがいなくても、普通に生活はできるんだよねー。………ただ、ちょっと淋しいかなって…ぐらいかな?」


 父が、『えりぃちゃんが好きだから、ストックしてるよ♪』といっていつも買ってきてくれる小袋のクッキーを口に入れながら、これまでのことを思い出す。


  これまで、父が2日以上不在になったことは、実は1度もなかったりする。とにかく、もろもろの私を取り巻く環境の為か、過保護な父は、何かあったら大変だからと、出張等で家を離れる際には、必ず祖母に家に来てもらうようにお願いしていた。


  なぜ祖父母の家が近所なのに泊まりに行かないかというと、ただ単に、私だけが祖父母の家にお泊まりに行くなんてズルい!家にいてほしい!という、なんともわがままなヤキモチである。

 ………あんたはええんかいと、毎回つっこみをいれていた。


 大変だったのは、小中校、それぞれの修学旅行。行って欲しくないと泣かれ、高校は海外だったので、空港にこっそり見送りに来ていたらしい。全然気づかなかったけど…。


そう思うと、これまでの過保護&ちょっと束縛ストーカー気味の愛情深い父が、私をひとり残して長期で家を離れる、しかも海外だなんて、考えられないことなんだよね。


 これまでにも、何度も『妖精がいそうな場所があったんだ!』と早朝から遠くまで足を運び、深夜に帰宅することはあったけれど、ヨーロッパ、しかも何年かかるかわからないなんて、ドッキリでも仕掛けているか、家の中を定点観測でもされてるんじゃないかと思ってしまう。



「ま、生活には一応困らなさそうだし、いっか…。とりあえず、シャワーでも浴びよ…。」


 私は低血圧で、朝がとにかく弱い。今日はまだ真っ暗な午前3時に、私の部屋の扉を泣きながらノックする父に起こされ、ベッドから這いずり出し、部屋の扉を少し開けて「………いってらっしゃ…………」と手だけを出したけれど、号泣する父に引きずり出されて玄関まで引っ張り出された。


 もやもや眠い頭で考えていても仕方ない。残りのクッキーを口に入れ、ミルクたっぷりのコーヒーで流し込む。


 軽く水でカップをすすぎ、シンクに置いて、キッチンから出て、お風呂へと向かう。

 脱衣所の棚から、バスタオルを1枚取り出しかけておき、脱ぐ前にお風呂場の扉を開けると…。



 なぜかシャワーのレバーを足で踏み、ずぶ濡れの、どえらい金髪碧眼のイケメンが立っていた。

えりぃちゃんのお父さんは、変質者では無いのでご安心ください(笑)

おばあちゃんは、ありとあらゆる格闘技を趣味で極めようとしている、元看護師さんです。

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