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ユニオンビースト ~霊獣と共に生きる者達~  作者: 杏子
第三章 エボリューションフラッシュ
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18話 地の珠

ドラグルに連れられ、巨大な扉の前に降り立った。

そこには[鍵]と呼ばれる台座があった。

 18話 地の珠




 5つ目、6つ目のドラグルが、ケビンとザギを見ようと更に近寄ってきた。

 これだけの数のドラグルに囲まれると、圧倒される。



 ほとんど壁。 

 

 一頭の青みがかった6つ目のドラグルが前に出てきた。 


『小さきドラグルと心を共にする者よ。 御待ちしておりました。 

 これから6つの試練を克服し、6つの珠を集めて下さい』

『試練って何だ? 私は元に戻れればそれでいいのだが、その6つの珠とやらを集めれば、戻れるのか?』


『先ずは[鍵]の発動をお願いします。 一番上の7つ目の珠を掴んで下さい』

『掴むってどうするんだ? 目を閉じているのに、どうやって掴むんだ?』



『·········』



······ 何か言えよ ······



 このドラグル、さっきからちゃんとした説明もないし、こちらの質問をまるで聞いていない。 


 ここにも聞く耳を持たない奴がいる。




 取り敢えずザギはパタパタと飛んで、鍵と言われる台座の上に降りた。 7つの目を持つドラグルの彫刻は、年代を感じさせるように(ほこり)を被り(こけ)が生えている。 目の位置も、辛うじて分かるほどだ。


『目を閉じているのにどうすればいい? こじ開けるのか? それとも壊して取り出してもいいのか?』

『·········』



······ だから何か言えよ ······



「ザギ、とにかくやってみれば?」

『そうだな』


 ザギは額の中心にある7つ目の目に近付き、手を伸ばした。

 爪の先が目蓋(まぶた)に触った途端、カッ!と目を開けた。 輝くような黄金の瞳がザギを見つめているように見える。


『わっ! 目が開いたぞ』

『·········』


 青いドラグルは黙っているが、満足そうだ。



『目玉を掴めばいいのだな』


 ザギは指を目の中に滑り込ませ、珠をグッと掴んだ。


 その途端、ピカッ!と台座から閃光が走ったかと思うと、今まで(ほこり)をかぶり薄汚れていたのが、何かで洗い流していくように、上から輝きを取り戻してゆく。

 黒曜石のような深みのある黒い台座に、鱗の一枚一枚の細部まで見事に刻み込まれたドラグルの姿が浮かび上がった。



『『『おぉ~!』』』と、ドラグル達。



『もう離しいただいても大丈夫です』


 ザギが放して目の中から手を抜くと、珠があるとは思えないように、金色の瞳がザギを見つめていた。



 不思議だ。



 ケビンは思わず台座を覗き込んでいる。


『見たか? ケビン······ん? ケビン、それは何だ?』


 振り返ったザギはケビンの胸の辺りを見ている。 胸元を見たが、何もない。



「何か付いてる?」

『違う。 お前の胸が光っているぞ』

「???」


 やっぱり何もない。


『ケビン、宝珠を出してみろ』


 ケビンが宝珠を服の中から出すと、ザギには目映い光に包まれているように見える。


『やっぱりそれだ! 光っている』

「? 光って見えるの?」



 光って見えるのは、ザギだけらしい。




 そこへ、ポン!と、目の前に琥珀色の小さなドラグルが現れた。 鮮やかな琥珀色の小さなドラグルで、ザギより少し小さい。


『わっ! 何だ? お前』

『僕の珠だ やっぱり持って来ていたんだ! やった!!』


 小さいのは、跳び跳ねて喜んでいる。


『「?』」

『僕は地竜の[コハク]。 ドラグルの地の精霊だよ。 それは僕が護る[地の珠]だ』

「『地の珠?」』


 ザギとケビンは声をそろえる。

 えっ? とコハクがケビンを見上げた。


『君は僕の言葉が分かるの?』


 コハクはケビンが自分の言葉を理解している事に気付き、驚いた。



「僕はユニオンの言葉が分かるんだ。 僕はケビン。 彼はザギ。 よろしく」

『へぇ~ 流石だね』



 何が流石なのか分からない。



『とにかく地の珠をはめ込んで!』

「はめ込む? もしかしてこの彫刻のドラグルの目に?」

『そうだよ』


 当たり前だろ? という顔で答えた。



「これ······外さないとだめだよね」


 エリエンヌから貰ったペンダントなので、珠を覆うように金具が取り付けてあるのを壊さないといけないのが、ちょっと嫌だ。


『当たり前だろ?』



 だよね。



 ケビンはナイフを取り出して金具を外し、宝珠のないペンダントを再び首にかけた。


「どこに入れるの?」

『差し出せば分かるさ』


 ちょっと面倒くさそうに答える。


 ケビンは台座の前まで行き、宝珠を差し出した。 すると、右下の目がカッ!と開き、空洞が出てきた。


 ケビンは驚いてビクッとしてしまったのが、ちょっと気恥ずかしい。

 コホンと咳払いをしてから、宝珠を右下の目の中にスコンと入れた。


 するとその目が一度閉じ、再びゆっくりと目を開けた。

 不思議な事に、コロンと入っただけの宝珠が再び開いた時には普通の目の様にしっかりと収まっている。


 その時、台座から大きな扉に稲妻が走る様にビビビと琥珀色の光が伝い、不思議な模様の一端を現した。

 

挿絵(By みてみん)


『『『おぉ~!』』』


 再びドラグル達。



『よし! 僕のは終わり!』

『地竜様、試練は?』


 青いドラグルが少し不満そうに聞いた。


『こ···これを持ってくるのが試練だよ』


 少し目が泳いでいるように見えたのは、気のせい?


『そうですか』

 


 納得したよ。 しかし試練ってなんだ?

 

 

『じゃあ、頑張って残りの5個を探してね。 地の珠を持ってきたから、あとの5個はこの地にある。 簡単だね』

『あの小さい珠を探し出せというのか? 無茶だろ』

『なぜ? 君には珠が光って見える。 あとはケビンに頑張ってもらえばいい。 そうそう! ドラグルは協力しないからね。 それに、ケビン以外の者が珠に触ってもアウトだ。 いいね』


 コハクは、木の上に止まっているハリスを見た。


『これは君達の試練だ。 君達の心の繋がりの強さと、ケビンの心の強さを試す』

「僕の?」


 コハクはコクンと頷いた。


『心を共にする者の心の強さがドラグルの強さだ。 ケビンが本当の勇者の心を持てたならば、ザギは資格を得る事が出来る』

「資格?」

『おっと、喋り過ぎた。 健闘を祈る』


 コハクは現れた時と同じようにポン! と消えた。



「資格って、何の資格ですか?」


 ケビンは青いドラグルに聞いてみた。



『·········』



 コハクが言わないのに、言うわけないか。







1つ目の鍵が開いた。

あと5つの珠を集めに行く。 

(・з・)


いつも読んでいただき、本当にありがとうございます。

後少しの間ですが、よろしくお願いします

m(_ _)m

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