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ユニオンビースト ~霊獣と共に生きる者達~  作者: 杏子
第二章 レジェンド・オブ・レジェンド
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25話 再会

グルタニア軍の将軍ホーネットと話し合いの場を設けることができた。

 25話 再会




『カイル~~~!! やっと会えた!』


 ナルナラがカイルに飛び付いてきた。


「ナルナラ!」


 カイルは、ふわふわのナルナラを抱きしめた。


『エリアスは?』

「まだあの中に」


 カイルは固唾をのんでこちらを見ているグルタニア軍を見た。


 ウォルターがアネスから降りて、カイルの前に(ひざまず)いた。


「騎馬兵五百、 只今到着いたしました。 状況は?」


 アッシュが簡単に経緯を説明した。


「ゴーダントの独断なら、話しさえできれば戦わずに済みそうですね」

「みんなが来てくれた今なら、話し合いに応じてくれるでしょう。 ザギ、どなたか話の分かる方はいないか?」

『···ホーネット将軍なら······多分······』

「ホーネット将軍だな」

『そうだ······カイル······ゴトーと話がしたい』

「ゴトー?」

『あそこの赤いドラグルだ』

「分かった。 ウォルター!」

「はっ!」


「話し合いの交渉に行ってきてくれ。 ホーネット将軍と、あちらのドラグルのゴトーと話がしたい」


 ウォルターは馬に転身したアネスに(またが)り、白い布を振りながら中間地点であちらの反応を待った。

 すると、ユニコーンに乗った騎馬兵が来た。



 少しの間話していたが、直ぐに走って戻ってきた。


「交渉に応じてくれるそうです······あのう···後ろの方で老人が、何かわめいていましたが······」

「彼がゴーダントだ」

「奴がそうですか······」



 カイルはハスランに乗り、ウォルターとザギと共に前に進んだ。

 あちらからもユニコーンに乗る騎馬兵二人とゴトーが進み出てきた。




 ホーネット将軍は立派な体格で、威厳のある面持ちをしている。 そして彼等が(また)がるユニコーンは近くで見ると、とても美しい。

 

 普通の馬より一回り大きく、細く見えるが筋肉質な体は白く輝いて見え、とても長い(たてがみ)と引きずっている長い尾はシルクの様な艶があり、風にたなびきキラキラと光っている様にも見えた。


 そしてユニコーンの特徴でもある長く捻れながら真っ直ぐに伸びる一本の尖った角は、とても誇り高くユニコーンの美しさの象徴でもあった。





 両軍の中間地点で話し合いが始まった。


「私はアルタニア国王、カイルランス・ロングフォードです。 話し合いに応じていただき、感謝いたします」


 カイルの身分を話すと、二人は顔を見合わせ「アルタニアの国王?」と驚きを隠せなかった。



「私はアルフレッド・ホーネット。 グルタニアの将軍をしております。 アルタニアの国王がなぜ······」

「私の妻、アルタニア王妃がそちらの宰相ゴーダントに拉致されたので、返していただきに参りました」 

「拉致ですと! それは誠ですか?」


 ホーネットはユニコーンから身を乗り出し驚いている。 やはり知らなかったようだ。



「今、ゴーダントと共にいる女性が私の妻です。 彼は自分の欲の為に妻を犠牲にしようと企んでいます······ご存じでは?」

「もちろん知りませんでした。 しかし······何の為に?」

「それは私にもわかりませんが、生贄として妻を殺害するつもりだったようです」

「い!!······生贄ですと?!」


「それを阻止するためにグルタニアに来ました。 城に潜入したのは私達です。 多くの兵士を傷つけてしまい申し訳ありませんでした。 それに、グドゥーも······」


「いや······」と言うホーネットは少し嬉しそうに見えた。



「我々はあなた方と戦う気はありません。 妻を返して頂きたいだけです」

 

 ホーネットともう一人の男性が小声で話している。 カイルは少し間を置いた。



「それともう一つ······グルタニア国内の問題に口を挟むのはどうかと思いましたが、お話ししておかなければならない事があります。

 グルタニア国王はどうしていらっしゃるかご存じですか?」

「病気療養中の為、国外におられます」

「やはりご存じないのですね。 国王はグルタニア城の地下牢に監禁されておいでです」

「!!······そんなバカな!! そんなはずは!」


 二人は顔を見合わせた。


「ゴーダントの画策だと聞いています」

「聞いた? 誰からですか?」


 カイルは横を見て「ザギからです」と答えた。


「ザギ? もしかして、ザギと契約しているのですか?」

「いいえ。 ですが私はユニオンビーストの言葉が分かる能力を持っています」


「そんな能力があるのですか······そうですか······ザギが言うのなら、間違いないのかもしれないですね」


 ホーネットは横にいた兵士にゴーダントを拘束し、エリアスをここに連れてくるように言い、地下牢に国王を探しに行くように指示した。



 ◇



 カイルとホーネットが話している間、ザギはゴトーと話していた。


『ゴトー、グドゥーは死んだ。 もう戦う理由は無い。 グドゥー亡き今、ボスは私だ』

『しかし、あなたは仲間を全て殺した」

『いや、グドゥー以外誰も殺していない。 眠っているだけだ』

『本当に?······そうですか······いや、どちらにしてもあなたがボスであることに変わりはない』


『戦いは終わった。 これからはシャーザと共に生きろ。 しかし、シャーザもゴーダントの為に間違った事をした。 罰を受けるかもしれないが、それも受け止めろ』

『······分かりました』


 ゴトーは後ろを振り返り、シャーザの気配を探した。

 今、ゴーダントの横にいるであろうシャーザは既に自分がしたことを悔いている事をゴトーは知っている。



 先程ホーネットから命令を受けた兵士が軍勢の元に戻り、数人に城の捜索を指示し、自分も兵士を連れて真ん中辺りで騒いでいるゴーダントの所に向かった。 



「何をしている! 早く奴らを殺さんか! 城に押し入った奴らじゃぞ! 化け物が何じゃ! 数ではこちらが有利じゃ! 摂政であるわしを殺そうとする輩じゃ! グドゥーも奴らに殺された! 話し合う必要などないわ!!」


 ずっと(わめ)き続けるゴーダントを兵士が取り囲んだ。


「な···何だお前達は?······そうか、わしの護衛に···なっ······何をする?!」


 兵士に両側から腕をガシッと掴まれた。


「ゴーダント様。 身柄を拘束させていただきます」

「なっ!···なんじゃと?! なぜわしが拘束されねばならん! 奴らが何を言ったかは知らんが、あんな奴らの言葉など信用するな!

 私は王様から摂政を授かっているのだぞ!!」


「今、その王様を探しに地下牢へ兵士を向かわせました。 どちらの話が正しいか直ぐに分るでしょう」

「なっ!!!······」


 ゴーダントは急に黙り込んだかと思うと、ガクッと膝から崩れ落ちた。


 そして、抱えられるようにして連行されていった。



 ◇



 シャーザに連れられ、エリアスが軍勢の中から出てきた。 それを見たカイルはハスランから飛び降り、駆け寄る。


「エリアス!!」


 カイルはエリアスに抱きついたが反応がない。

 犬の姿に転身したルーアンも走ってきた。


《エリアス!! 私よ!! エリアス!!》


 ルーアンはエリアスの前でワンワン吠えているが、それでも反応はなかった。




「エリアス?」


 カイルはエリアスの少し痩せた顔を覗き込んだ。 そこには生気のない目が宙を見ていた。


「今は薬のせいで意思が消されています。 しかし、もうそろそろ薬の効果が切れる頃なので、じきに元に戻るでしょう」


 横にいたシャーザが申し訳なさそうに説明した。 そして突然カイルの前にひれ伏した。


「ゴーダントとの命令とはいえ、私もゴトーも申し訳ない事を致しました! 私は甘んじて罰を受ける所存です!」

「あなたはもしかして、ゴトーの・・・・」

「はい。 ゴトーと契約しています。 ゴトーは気が荒いですが、私の言う事はよく聞いてくれますし、私をとても思いやってくれます。

 ゴトーは私の命令を聞いて動いただけです。 彼だけでも許してやって下さい!

 もし、私もゴトーも命を取られずに済むようなら、この国のために誠心誠意尽くしていきたいと思っております」


 その時、再びルーアンが吠えだした。


《エリアス!! 私を見て!》『カイル! エリアスの心が掴めそう!!』

「エリアス!!」

 

 カイルはエリアスの体を揺すり名前を呼んだ。 すると、エリアスの目が動き、ゆっくりとカイルと目が合った。


「·····カイ·····ル?······」

「そうだ! エリアス! 私が分かるか?!!」

「あぁ······カイル······」

「エリアス!」




 二人は固く抱き合った。







やっとエリアスと再会する事が出来ました。

良かったね。

しかし、アルタニア軍の出る幕は······

嵐の中を必死で来たのに····

┐('~`;)┌

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