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ユニオンビースト ~霊獣と共に生きる者達~  作者: 杏子
第二章 レジェンド・オブ・レジェンド
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24話 援軍

グトゥーを倒す事ができたが、ゴーダントはエリアスを連れ、グルタニア軍の中に逃げ込んでしまった。

 24話 援軍




『エリアス!!』


 戦いを中断したゴトーがエリアスを乗せて飛んでいこうとするのを見て、ルーアンが何とか近づこうとする。 しかしゴォォ!っと、ゴトーが炎を()いてきて近付けない。



 三人を乗せたゴトーはどこかに飛んで行こうとする。

 ディアボロ達も何とかエリアスを助けようと追うが、しきりと後ろに向かって()いてくるゴトーの炎に阻まれて近付けない。


 すると、ヒュン!と、ルーアンの目の前を矢が飛んできた。

 気付けば軍隊がいる所まで降りて来てしまっていた。 弓兵隊にしてみれば、ゴトーを追ってくる大きな怪物達を仕留めようと矢を放ってくる。


『うっ!』


 ルーアンに矢が刺さってしまったので、とりあえず射程距離の外まで飛び上がった。




 ゴトーが軍隊の真ん中に舞い降りるのが見えた。


『一旦引くぞ!』


 嫌がるルーアンをディアボロが引っ張るようにして、山の中腹辺りにいるカイル達の元まで戻った。


『カイル!! エリアスが!!』

「分かっている」



 ディアボロとグーリはアッシュ達を連れに一旦山頂に戻った。



 グドゥーが倒され、ゴーダントは兵士達を置き去りにして自分だけゴトーに乗って飛んで行ったのを見て彼等は戦意を失っていた。


 そんな兵士たちをそのままに、アッシュとローゼンはディアボロとグーリに飛び乗り、護りの剣をグトゥーから抜き取ってからカイルの元へ向かった。


 ◇


 アッシュはカイルに護りの剣を渡した。


「カイル様、これを······」

「ありがとう。 二人ともケガは?」

「大丈夫です」


 大丈夫どころか人もユニオンも体中にケガを負っている。

 とりあえずケガの応急処置をする事にした。


 その頃には既に太陽が顔を出し、元のように明るくなっていた。




『カイル、どうする······逃げ込まれてしまった』


 アルナスが木々間から見える軍勢を忌々(いまいま)しげに見つめた。


『あれ位の人間なら我々だけで倒せないこともないが、私は人間を攻撃したくない』

『俺も嫌だぞ』


 ディアボロも吐き捨てるように言い、他のユニオン達も頷いている。


「もちろん分かっている。 私もエリアスさえ返してもらえばそれでいいのだが······ちゃんと話せばどちらに非があるか分かってもらえるはずだ······それとも人を生贄にする事は兵士達も同意しているのか? ザギ」


『儀式の事を知っているのはゴーダントの側近の者達だけだ」

「それなら話し合いで解決できるかもしれない。 もちろんグルタニア王も知らないのだろう?」

「カイル様、国王様は病気で他国に療養中と聞いています」

「そうだったな······では、ゴーダントの独断か······」


『違う』とザギ。


「違う? 何が?」

『王は······いる』

「国王は帰ってきているのか? では王の指示だったのか?」

『違う······ゴーダントが偽の王と王妃を国外に送り、本物は城の地下牢に閉じ込めている』

「何だと!!」


 ディアボロとグーリに通訳してもらっていたアッシュ達が驚く。


「!!······ゴーダントはそんな事までしていたのですか!」

「他国の内情だが、聞いたからには放ってはおけない。 何とかして知らせないと······ザギ、話し合いに行きたい。 乗せてくれるか?」

『乗れ』



 カイルはザギに乗って飛び立った。 

 しかし、ザギを見るなり投石器から大きな石が飛んでくる。


「話を聞いてください! 攻撃をやめて下さい!」



 カイルが叫ぶが、遠すぎて聞こえない。


 カイルは諦めて戻った。



 ◇



「どうします?」

「とりあえずこちらに戦う意思がないことを分かってもらう為に、姿を現そう」


 カイル達はユニオンに乗り、矢が届かない距離を保ちながら迂回して、軍隊の反対側まで飛んで行った。


 グルタニア軍は山の麓の森の手前にあるかなり開けた草原に集結している。 カイルは自分たちの姿がよく見えるように、何もない場所に降り立った。


 カイル達が降り立った場所の後ろ側には海が見え、遠くの方には港があり、船のマストが何本か確認できる。




 海から冷たい風が吹いてくる。 再び顔を出した太陽からは温かい日差しが降り注ぐが、それでもカイルは、体の芯から来る震えが止まらない。


 寒さのせいなのか、それとも······カイルには判断できなかった。



 ザギ以外のユニオン達は動物の姿に転身し、数歩下がった。




 グルタニア軍の兵士の間からユニコーンに乗った騎馬兵が二頭、先頭に出てきた。


「やっぱりユニコーンだ。 そういえばカイザーの角はユニコーンの角だから、実在するんだよな」


 ちょっと呑気な事を考えていた。



 すると、先頭のユニコーンに乗った兵士の一人が手を高く上げた。


「休戦か?」と思ったのもつかの間、その腕がこちらに向かって振り下ろされ、無数の矢が飛んできて、全軍がこちらに向かって突撃してきた。


「カイル様! 来ます!!」

「だめか、仕方がない、一旦逃げよう」


 カイル達は再び転身したユニオンに乗り、高く飛び上がった。



 ◇



「話し合いをする気もないようだな。 まあ、こちらも城に潜り込んだ手前、文句は言えないが······どうすればいい······」


 万策尽きて空の上から下のグルタニア軍を見下ろしていると、ハスランが港の方を見た。 それでカイルもつられてそちらを見た途端、何かが胸にドンとぶつかってきた。


「ハリス!!」

『カイル様! 御無事で良かった!』


 ハリスの後ろから、多くのユニオンがアルタニア兵を乗せて飛んできた。


「「カイル様~~~!」」


 手を振りながら飛んでくる兵士達の声に交じって「カイル~~~!!」と、聞き慣れた低い声が混じっていた。


「グラードさん! ランドルさん!」


 兵士の後ろに乗って身を乗り出すようにして手を振っていた。




「カイル。 お前の騎馬兵五百とユニオン六十三頭、無事に送り届けたぞ。 褒めてくれ」


 ランドルは港の方を指差した。

 港の方から砂煙を上げながら、ユニオンビースト達と騎馬兵がこちらに向かってくる。


「ランドルさん、ありがとうございます! 行きましょう」





 砂塵(さじん)が上がる方に降りていくと、先頭を走るトゥガルドの頭の上にナルナラが乗っていて、飛び跳ねながら手を振っている。

 その横にはアネッタに乗るウォルターがいた。



 そしてユニオンビースト達の後ろから騎馬兵五百騎が続き、カイルの前に整列した。







援軍がきました。良かったね。 

\(^-^)/

これで好転するのでしょうか?

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