表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユニオンビースト ~霊獣と共に生きる者達~  作者: 杏子
第二章 レジェンド・オブ・レジェンド
70/103

23話 決戦

とうとうグトゥーとの戦いが始まった。

巨大なグトゥーと、どう戦う!

 23話 決戦




 グドゥーは一直線にカイルに向かってきた。


 カイルは向かってくるグドゥーを槍で突こうとしたが、分かっていたかのようにかわされた。 先程の戦いをゴトーから聞いていたのだろう。

 

 グドゥーは巨大な体に似合わず空中での動きは機敏で、近づく事もままならない。

 100mは()き出ていそうな炎から逃れながら、隙を(うかが)う。


 カイザーが後ろを取り、グドゥーの(たてがみ)に食らい付き四本の肢でしがみついた。 カイザーと言えどもせいぜいグドゥーの頭部の倍程度の大きさでで、巨大さは恐ろしいほどだ。



 カイザーが食らいつき動きが鈍ったところへカイルが近付こうとした時、グドゥーはクルリと向きを変えざま、長く太い尾をハスランに叩きつけた。


 吹っ飛ばされて錐揉みしているハスランから振り落とされないように、カイルは(たてがみ)にしっかりとしがみついている。


 地面が近付いてきたと思った時、ようやくハスランは体制を整えて再び飛び上がった。 しかしふと気づくと眠りの槍がポッキリと真ん中から折れて先がなくなっていた。


「しまった! 槍がやられた!」


 カイルは仕方なく眠りの槍の残骸を投げ捨て、剣を抜いた。





 眠らせることが出来ないならば、グドゥーを倒すしかない。 しかし、ダメージを与えられるのは護りの剣とザギだけだった。



 カイザーとアルナスが(おとり)になり動きを止める(すき)に、ザギが噛み付きカイルが剣で切りつける。

 しかし巨大なグドゥーには大したダメージになっていない。 こちらは炎を浴び、爪で掻かれ、太い尾を叩きつけられ、満身創痍(まんしんそうい)だった。



 既に周りは夜の様に真っ暗になっている。 半分以上太陽が欠けているのだ。



 カイザーがカイルに近寄ってきた。


『カイル、ユニオンの弱点は眉間にある。 ザギが言うにはドラグルも同じだそうだ。 私達が何とか動きを止める。 眉間の七つ目の目を狙え!』


 このまま闘っていても勝機はないとカイザーは考えた。 そしてザギと相談してユニオンの弱点を教える事に決めたのだった。



 アルナスがグドゥーの翼に噛み付いて振り回されているのを見て、カイザーは慌ててグドゥーに向かって行った。



 今度はザギが近づいて来た。


『チャンスは一度だ。 必ず仕留めろ!」


 それだけ言うと、ザギもグドゥーに再び向かって行った。


 ◇


 一方、祭壇のすぐ上空辺りでグーリ、ディアボロ、ルーアンがゴトーと戦い、苦戦していた。


 契約者のシャーザが護衛しているゴーダントとエリアスに近付けないようにグーリ達を誘導しながら戦っているのがわかる。 というのもゴトーはほとんどその場所を動いていないのだ。 しかし炎を()き、長い尾を振り回してくるので隙が出来ず、例え近付けたとしても爪も牙も鱗を貫けない。



 アッシュとローゼンも二十人ほどいた兵士を半分以下に減らしてはいたが、エリアスの所になかなか近づけずにいた。


 ◇


 太陽が完全に黒くなり、太陽の周りに漏れ出た光でリング状の輪が出来ている。


 ゴーダントはグドゥー達の戦いを夢中で見ていたが、太陽が完全に隠れた事にやっと気付いた。


「あっ! 今じゃ! 今じゃ! 奴らが殺されるのを待つ必要などない。 さっさと儀式を始めなければ!」


 ゴーダントが祭壇に向かおうとした時、ズドドドドッ! と、グドゥーに吹き飛ばされたアルナスが直ぐ近くに落ちてきた。 その拍子に祭壇が崩れ、エリアスが転げ落ちた。

 アルナスはそれに気づかず、頭を一振りすると再び飛び上がって行った。



 祭壇が壊れた事にゴーダントは慌てた。


「シャーザ! 祭壇を直せ!」


 聞こえているはずなのにシャーザは動かず、崩れた祭壇の近くで上を見上げて立っている。


「シャーザ!! 何をしている! 早くしろ!!」


 それでもシャーザはゴーダントの言葉に動こうとせず、ゴトーの戦いを見つめていた。




 しびれを切らせたゴーダントは、アッシュに飛ばされ足元に転がってきた兵士を捕まえ「祭壇を直せ!」と怒鳴った。


「ゴーダント様、それどころではありません! 奴ら、恐ろしく強くて!」


 そう言って兵士はまたアッシュに向かって行った。




 ゴーダントは崩れた祭壇の前で右に左に動き回り、オロオロしている。


「早くしなくては······夜が終わってしまう······そうだ! 祭壇などなくても!」


 ゴーダントは胸からナイフを取り出した。

 そして、地面に横たわるエリアスに向かって振り上げた。


「ゴーダント様! お待ちください!」


 シャーザが思わずゴーダントの振り上げた腕を掴んだ。

 もめている二人に気付いたアッシュが落ちている剣を拾い上げ、ゴーダントに向かって投げつけた。


「グワッ!」


 剣は肩に突き刺さり、ゴーダントがもんどりうって倒れる。




 ゴーダントがやられた事に気づいたグドゥーの動きが一瞬止まった。

 すかさずカイザーが首の後ろにしがみつき、アルナスが翼に喰い付き、ザギがグドゥーの喉元に噛み付いた。


『ザギィ~~!! きぃさぁまぁ~~~~っ!!』


 ゴーダントが()える。


 カイルはその機を逃さずグドゥーの頭に飛び乗り、護りの剣を振り上げると、額の真ん中にある七つ目の瞳にズドッ!!っと突き刺した。




『グォォォォォォォ!!!』

 



 グドゥーは最後の力を振り絞ってユニオン達を振り払うと、みんなが四方に飛ばされる。 飛ばされたカイザーがハスランにぶつかり、ハスランまで飛ばされた。

 もちろんカイルも護りの剣から手が離れ、グドゥーの頭から振り落とされて宙に放り投げられてしまった。


 グドゥーの喉に食らいついていたザギは、地面に向かって落ちていくカイルに気が付いた。

 そして慌てて下に潜り込んでカイルを受け止めることが出来たのだった。




『グォォォォ!』

 


 グドゥーは咆哮と共にもがきながら下に落ちて行き、ズドドン! と、地面に叩きつけられた。 そして額に護りの剣を突き立てたまま暫く(くう)を掻いていたが、そのうち動かなくなった。





 それを見ていたゴーダントはグドゥーの死に悲しむどころか、地団太を踏む。



「あと少しだったのに! 使えない奴らめ! こうなったらあと何年でも待ってやる! 女だけは渡すものか! シャーザ! ゴトーを呼べ!」



 ユニオンたちを振り払い、ゴトーが降りてきた。


 シャーザにエリアスを抱かせ、ゴーダント自身も肩から血を流しながら急いでゴトーに乗った。



 そしてアッシュ達とまだ戦っている兵士達を残して、飛び立って行った。








ゴーダントに利用されていたグトゥーは倒された。

しかしゴーダントは······

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユニオンビースト https://ncode.syosetu.com/n4174fl/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ