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ユニオンビースト ~霊獣と共に生きる者達~  作者: 杏子
第二章 レジェンド・オブ・レジェンド
48/103

1話 影

ユニオンビーストの続編で

❮レジェンド·オブ·レジェンド❯

というお話しです。


そのまま続けて書き込む事にしました。

新しい冒険を楽しんで下さい。


❮あらすじ❯


カイルはエリアスと結婚した。

毎年トムの農場で休暇を楽しんでいるのだが、結婚してからはエリアスも一緒だ。


ある時、農場にいる時にエリアスが何者かに誘拐される。


カイル達はエリアスを取り戻す為の冒険へと旅立つのだった。

第二章 レジェンド·オブ·レジェンド



 1話 影




 美しく晴れ渡った空に幾つもの花火が打ち上げられ、アルタニア国内は祝賀ムードで盛り上がっていた。



 今、アルタニア国王カイルランス・ロングフォード(二十三歳)と、オスウエスト国王女エリアス・オーガスタ(二十二歳)の結婚の儀が行われている。


 大聖堂には多くの人が訪れ、各国国王も参列していた。 そしてその中には、多くのユニオンビーストの姿もあった。





 大聖堂のドアが開かれ、カイルとエリアスが入ってきた。


 真っ白い衣装に長いマント姿のカイルは、美しいウエディングドレスに身を包み、長いベールで顔を隠したエリアスと腕を組み、真っ赤なカーペットの上をゆっくりと歩いてくる。


 その後ろからは、彼らが契約しているユニオンビースト達が着飾られてついてきた。



 壇上で大司祭の言葉を聞く。


「では、誓いのキスを」という言葉で、二人は向かい合った。

 カイルは、エリアスの顔にかかるベールをゆっくりと上げた。


 暫く見つめ合った二人はニッコリと笑い合い、唇を重ねた。



   ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

  


 翌日、カイル達は空の上にいた。


 カイルは毎年誕生祭の後、昔世話になったトムの農場に十日間の休暇を貰って行っている。

 今年は誕生祭の翌日に結婚式を挙げたので、一日遅れになったが······



 国王に休日は無い。


 しかし、育ち盛りで多感な時期を過ごしたその場所を忘れられず、近衛隊長のアッシュを連れて行く事で何とか承諾を得た。



 今年からはエリアスも一緒だ。


 カイルは転身したハスランに、アッシュはディアボロに、そしてエリアスはルーアンに乗っていた。


「エリアス、大丈夫か? ルーアンに乗るのは初めてだろう?」

「大丈夫よ。 風がとっても気持ちいいわ」


「エリアス様、気持ち良すぎて居眠りをしないでくださいね。 昔、カイル様が居眠りされて、ハスランから落ちて大変だったんですから」


「アッシュ! エリアスには黙っているようにお願いしたのに······」

「あっ!そうでした。 すみません」


 振り返ったディアボロに『バカ! 口の軽い奴め』と言われ、アッシュは面目ないと頭を掻いた。



「フフフ 私はカイルのそんな所も好きよ。 でもみんな慌てたんじゃない?」


「カイザーが慌てて下に潜り込んで私を受け止めてくれたから助かったのだが、後でみんなから思いっきり説教を受けたよ。

 アルナスなんて、今度やったら口にくわえて運んでやると凄い剣幕だった」


「あら、それもいいんじゃない?」

「嫌だよ。 目的地に着く頃にはアルナスのヨダレだらけになっているぞ」

「それは······嫌ね」


 エリアスは想像して顔をしかめた。



「だろう? それにカイザーなんて『次は口で受け止める』って真顔で言うから、二度としないって心に決めたよ」

「フフフ 私も気を付けないと。 ヨダレだらけも口の中も嫌ですものね」

「もっともだ ハハハハハ」



   ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「見つけた······やっと見つけた。 白いユニオンビーストに乗る女だ。 この女の顔をよく覚えておけ」


 巨大な何かが幾つも男が操る水盆を覗き込んだ。


「この女を何としても探し出し、無傷でここに連れてくるのじゃ。 あと少ししか時間がない。急げ!」


 五つの何かが。ドーム状の高い天井にある窓から飛んで行き、ひと際大きな物が少し遅れて飛んで行った。


 それを見送った黒いフードを被った男が手を伸ばすと、もう一ついた巨大な影が男の元に頭を下げてきた。

 男はそれを優しく撫でた。




「もう直ぐじゃ·········もう直ぐ永遠の命と、強大な魔力が手に入る」






フードの男は何者でしょう?

そして、七つの巨大な影とは·······


お楽しみに···

(*^^*)

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