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ユニオンビースト ~霊獣と共に生きる者達~  作者: 杏子
第一章 ユニオンビースト
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最終話 奪還

コーヴの抵抗は激しく、ラウレアに向かって剣を振り上げた。

 最終話 奪還




 ライアスが大きな口を開け、食らいつこうとカイルに向かってきた。


 カイルの両脇からカイザーとハスランが飛び出した。

 カイザーの体当たりを受け、ズドドドッ!!とライアスは壁に叩きつけられる。


 直ぐに飛び起き、再びカイルに向かおうとするライアスの両翼をハスランと、カイザーがくわえ、動きを止めた。

 外に引きずり出そうとするが、何とか振り払おうと抵抗し、暴れる。

 ディアボロも参戦し、ハスランと共に翼をくわえて動けないように抑え込む。


 広い大広間の壁が、天井が、爪や角で削り取られバラバラと崩れ落ちる。

 口だけはカイルに食らいつこうとガチガチと歯を鳴らしているが、もちろん届かない。


 カイルの前にはアルナスとトゥガルドが立ちふさがり、守っている。



「何をしている!! 振りほどけ!! 殺せ! 殺せ! そのユニオン達も殺せぇ!!」


 しかしライアスはカイザー達に翼の先ををがっちり抑えられて、どちらにも口が届かない。


「クッソォ~~~ッ!! なら、殺してやる!!」


 コーヴはラウレアを床に突き飛ばし、剣を振り上げた。


「やめろぉ~~~!!」


 カイルが駆け寄ろうとしたが間に合わない。



 その時、外からコーヴに向かって何かが飛んできた。


「えっ?」


 ドスッ! ズドドッ!


 気づいた時には、三つ目のユニオンビーストの口がコーヴの顔に食らいつき、そのまま壁に激突した。

 壁から離れた三つ目の口から出てきたのは、すでに肉塊(にくこん)と化したコーヴの顔だった。


 術から覚めたユニオンビーストが怒りに任せてコーヴを殺しに来たのだった。





「お母様!」


 カイルは慌てて駆け寄り、抱き起した。


「お母様、大丈夫ですか?」

「あぁぁ······カイル、無事だったのね」

「お母様も御無事で本当によかったです」


 二人は固く抱き合った。




 ライアスは術が解け、茫然としている。

 そこへ、トゥガルドが近付いてきた。


『ライアス。 私が分かるか?』

『トゥガルド······カイザー様······』

『術が解けたか』

『······私は······私は······」

『もう良い、終わったのだ。 すまなかった。 辛い思いをさせた』




 アッシュがコーヴの手から指輪を抜き取り、綺麗に血を拭き取ってからカイルに渡した。


 カイルは大事そうに受け取り、胸に抱えて祈ってから自分の指にはめた。



  ◇◇◇◇◇◇◇



 アルタニア奪還の知らせは、瞬く間に各国に知れ渡った。

 アルタニアに集結していた各国の兵は自国に戻り、エグモント兵もエグモントの再興を誓わせて国に帰らせた。


 幸いな事にアルタニアはエグモントほど酷い状態ではなく、他国に逃げていたアルタニア国民も続々と戻ってきた。


 そして王であるカイルが居ることで、直ぐに活気を取り戻した。



 その日から、カイルにはアルタニア復興の為に多忙な日々が待っていた。

 厳しくなった財政を立て直す為に法の改正を行い、人員整理も行った。



 よく知る所では、アッシュを近衛隊隊長に任命し、ウォルターを騎馬隊大隊長に格上げした。

 そして、トマスに頼み込んでカイルの相談役として城に来てもらった。




 その後、各国にお礼と挨拶に廻り、エリアスやトム達とゆっくり話をする時間もなかったが、充実した日々を過ごし、あっという間に一年が過ぎた。



挿絵(By みてみん)



 今日はカイルの即位式である。



 カイルはもちろんだが、カイザーやアルナス達まで着飾られ、アルナスなどは終始ブツブツ言っていたがナルナラは大喜びで、ルーアンやアネスに自慢していた。



 広い大聖堂の中には各国の重鎮たちはもちろん、国王達もこぞって参列してくれた。

 もちろん契約している、いないにかかわらず、多くのユニオンビーストもその中にいた。


 その中に、セリーヌを連れたトムとサラとニックがいる。

 カイルがプレゼントした礼服やドレスを着ているのだが、周りが凄い人たちばかりなので、居心地が悪そうに(かしこ)まっていた。




 長いマントに身を包んだカイルが、カイザー達を引き連れてゆっくりと歩いてきた。


 まだ19歳になったばかりの若き国王だが、これほど信頼され、他国からも支持された国王はいないだろう。 まだまだすべきことは山積みだが、明るい未来が待っている。





 祭壇で大司祭の前に(ひざまず)いたカイルは、宝石を散りばめられた黄金の王冠を頭に載せられ、正式にアルタニア国の王となったのだった。






 式が終わり、カイルがエリアスとユニオンビースト達と共にテラスから顔を出すと、集まった国民から大歓声が起こった。



 そして美しい夕焼けの空には多くのユニオンビースト達が飛び交っていた。





                END


ユニオンビーストを読んで下さった方々。 本当にありがとうございました。


下手くそですが挿絵も随分増やしました。 もっと絵の勉強をして、いつかもっと上手な絵と差し替えていきたいと思います。


続編と、続々編もありますので、良ければ続けてお読みください。


ちなみに続編の「レジェンドオブレジェンド」は、カイルが結婚した後のお話しです。(#^.^#)


感想や評価を頂けると、励みになります。 よろしくお願いいたします。


  杏子あんずでした。


。・゜・(ノ∀`)・゜・。

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ユニオンビースト https://ncode.syosetu.com/n4174fl/
― 新着の感想 ―
[良い点] 表現が豊かだと思います。ユニオンビースト、一匹一匹がとてもいろいろな表情を持ち感情豊かに描かれていると思いました。思うに、飼われているペットの杏子がモチーフになっているのでしょうか。作者の…
2020/09/19 21:03 退会済み
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