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ユニオンビースト ~霊獣と共に生きる者達~  作者: 杏子
第一章 ユニオンビースト
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46話 説得

コーヴのいる大広間に着いた。

そこには剣を突き付けられたラウレアがいた。

 46話 説得




 大広間の大きなドアを開けると王座にこれでもかと太ったコーヴが座り、その横には兵士に剣を向けられたラウレアがいた。



「近づくな!! こいつが死んでもいいのか!!」

「カイル! あなたはカイルね!」

「お母様!」

「カイル。 私の事は気にせず······」

「黙れ! 喋るな!」


 バシッ! 

 コーヴは立ち上がり、ラウレアを殴った。


 カイルは飛び出してコーヴに掴み掛りたい気持ちをグッと抑えて、手を握り締めた。

 そして、努めて穏やかな声で話しかけた。


「コーヴさん、もう終わりにしましょう。

 あなた方以外は全て捕え、ユニオンビースト達にかけられた術も解きました。 (あきら)めて母を放して、投降してください」


 カイルはゆっくり近づいた。



「動くな!!」


 コーヴは立ち上がり、剣を抜いてラウレアに向けた。

 それは見覚えのある剣だった。 


 そして、その手にはライオンの顔が彫られた指輪が光っていた。



 カイルは一瞬頭に血が上ったが、目を閉じて気持ちを落ち着けてから、また数歩前に進んだ。

 そして、ラウレアに剣を向ける兵士に向かって言った。


「お前以外の兵士は全て投降した。 あとはお前だけだ。 悪いようにはしない、約束する。 お前も投降しろ」


 兵士は目が泳いでる。


「黙れ! 黙れ!! お前がこいつに命令するな!!」



 しかし兵士はコーヴがカイルに気を取られている間に、ゆっくりとラウレアを掴む手を放し、隙を見て王座の裏から逃げ出した。


「あっ! こら! 待て!」


 コーヴは慌ててラウレアの後ろに回り、ラウレアの首元に剣を当てて前に出てきた。



「そこのでかいの! 俺の言うことをきけ! そいつらを殺せ!」


 カイルの後ろにいるユニオンビースト達に向かって言った。


「何をしている! 早く殺せ!」


 もちろん彼らには効かない。 すべて契約しているユニオンたちだったからだ。



「なぜだ! なぜ術にかからない! お前ら何をした!」


 コーヴはイライラしながら自分の横にいる四ツ目達に命令した、


「お前達! 奴を殺せ!」


 四ツ目二頭が弾ける様に飛び出した。


 その瞬間、カイルの後ろにいたユニオンビースト達が飛び出し、あっという間に鉄網で取り押さえ、暴れる二頭を連れて外に飛んで行った。


「あっ······」


 コーヴは唖然として見送った。

 残るはライアス一頭だけになってしまった。

 ライアスまで攻撃に向かわせると自分を守るユニオンビーストがいなくなる。


「もう勝ち目はありません。 コーヴさん、投降して下さい」

「グッ!」


「エグモントは今、ダントリー様が王座に着いておられます。 心を入れ替えダントリー様と力を合わせてエグモントの再興に努めるのが、あなたのやるべき事ではないのですか?」

「······あんな国······僕には関係ない······」


「あなたの国でしょう? エグモントの王子として生まれたからには王子としての責任を果たすべきではないのですか?」

「······今更······僕は沢山殺した······」

 


「そうです。 あなたは許されない事をしました。 そのせいで、今も多くの人が苦しんでいます。 その人達を今度は救うのです。」

「······許されはしないだろう······」

「私からもダントリー様にお願いしてみます。 コーヴさんが心を入れ替えてくれるなら」



「······お前なんかに憐れんでもらいたくはない」

「コーヴさんを憐れんでいるのではありません。 エグモントの民を憐れんでいるのです」

「こんな豊かな国で······両親から愛されて······幸せに育ったお前に何が分かる」



 すると、ラウレアが優しく話しかけた。


「コーヴさん。 王妃様が以前話しておられました。 お兄様と貴方と同じように愛しているのに、どうしてコーヴさんには分かってもらえないのかって。

 とても心配されていました。 王様もお兄様もです。

 あなたはみんなから愛されていたのですよ」

「そんなはずはない! 僕にあれをしろ! これはするな! あっちがいい! こっちはダメだ! 何をしても文句ばかり!

 あいつらは僕をバカにして楽しんでいるだけだ! 愛してなどいたものか!」


「コーヴさん。それはあなたを心配して言った事です」

「うるさい! 黙れ!」



 今度はカイルが話した。



「コーヴさん。 思い出して下さい。 必ず愛されていたと感じていた事があったはずです。

 あなたもお母様を、お父様を、お兄様を愛していたのではありませんか?」




――― コーヴは子供の頃、優しく母親に抱きしめられていた事を思い出した―――


―――兄と楽しく遊んで、横では父親が幸せそうに笑っていた事を思い出した―――




「僕が?······母上を?······そんな訳無いだろう。 お前は母親を愛しているみたいだな。

お前にとってはそんなに大切なのか?」

「もちろんです。 私を産んでくれて育ててくれました。 沢山の愛情を頂きました、

 コーヴさんも同じように愛されていたはずです。 思い出して下さい、人を愛することを。

 今度はその愛情をエグモントの民に与えてあげて下さい」


「うるさい! うるさい!!


 うるさいっ!!!


 僕に説教するなぁ!!


 あいつを殺せぇ!!」




 コーヴはライアスに命令した。






とうとうライアスをけしかけたコーヴ。

カイルは大丈夫なのでしょうか?

!!ヽ(゜д゜ヽ)(ノ゜д゜)ノ!!

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