45話 進軍
とうとうアルタニア奪還のへの進軍が始まった。
アルタニア国内のユニオンビーストを術から開放する事が出来るのか?
45話 進軍
出撃準備が整った。
アルタニアに向かう者達が全員広場に集まった。
上級ユニオン八十頭、下級ユニオン百六十頭。騎馬兵一千名がカイルの言葉を待っている。
「今からアルタニアに向かって出撃する! 何度も言っているが、アルタニア奪還にはスピードと連携が大切だ。
エグモント兵に気付かれる前に全てのユニオンビーストを術から解放する必要がある。
ユニオンビースト達よ。 君達にかかっていると心得よ。
そして術から覚めた後、再び国境内に入っても術にかかることはないが、怒りに任せてコーヴの元に行けば、再び術にかけられる恐れがある。 術から覚めたユニオンの説得と、契約していないユニオンは、決して城に近づかないように」
カイルはゆっくりと目の前の兵士達と、ユニオンビースト達を見回した。
「ユニオンビーストを一掃した後は決められたルートでエグモント兵を捕えていくが、出来る限り手荒な真似はしないように。
エグモント兵はユニオンビーストが人を襲う恐ろしい種族だと思っているだろう。 故に、我々の後ろにユニオンビーストがいれば抵抗して来ないと思われる。
彼らはこれからエグモントを再興するのに必要な数少ない人材だということを忘れないように」
再びカイルはみんなを見回した。
「私は勝利を確信している! しかし決して油断はしないように! 人間とユニオンビーストで、世界の平和を取り戻そう!!」
「「「おぉぉぉっ!!!」」」
オスウエスト軍は出発した。 アルタニア国境までは騎馬で三日の距離である。
三日後の昼過ぎに目的の国境に到着した。
他国の軍からも到着したという知らせを持ったユニオンビーストが、次々にカイルの元に飛んできた。
五ヶ国がアルタニア周辺から日没と同時に作戦を決行する。
オスウエスト国のユニオンビーストの役割分担はこうだ。
上級ユニオンは翼を持つ十頭、陸上十頭の二十頭のチームが二組でセットで、それに下級ユニオン二十頭二組が補佐に就く。
下級ユニオンは探索係、連絡係、捕獲補助係に分かれている。
その六十頭一チームが四ヶ所から捕獲する。
そしてS級ユニオンがそれぞれの場所を移動しながら、国境内のユニオンビーストを誘き出す手はずとなっている。
日が沈み、作戦が開始された。
オスウエストにはカイル達が来たため、初めに頼んでいたS級ユニオンとカイザー、ハスラン、アルナスの四頭のS級がいるので、それぞれの場所の囮役になった。
始めにアルナスが国境内に入った。
近くにいたユニオンビーストが近付き、捕獲チームが待つ場所までおびき寄せた所で、国境の外に出た。
おびき出されたユニオンは、アルナスが国境を出ると同時にクルリと向きを変えたが、そのタイミングで捕獲チームが大きな鉄網を被せる。
捕まったユニオンは戻ろうと中でもがくが、思った通り網を持つ上級ユニオンに攻撃する事もなく、あっという間に国境の外へ出された。
思った以上に簡単に捕獲でき、網から出す前に説得が行われ、納得したユニオンは網から出された。
周りの兵士から歓声が沸き起こった。
こうして次々とユニオンビーストを引っ張り出すことに成功していった。
◇◇◇◇
日が昇るまでに一掃したい。
近くのユニオンビーストがいなくなりアルタニア内部まで誘き寄せに向かい、日の出が近付いた頃、他国からの知らせを合わせると二百四十三頭になった。
コーヴの側にいる三頭を除くと、あと四頭。
予定通り日の出と共に国境内に進軍するとの知らせを飛ばした。
今度は兵士が二百五十名づつの隊に分かれ、それぞれにユニオンのチームが先頭を進んだ。
途中、残りのユニオンビーストに出くわしたが、すでに探索係によって位置が知らされていたために問題なく捕獲し、国境の外まで運ばれていった。
郊外の町や村で我が物顔でいたエグモント兵は、予想通り抵抗することもなく次々と捕らえられていく。
残りのユニオンビーストも捕獲したと連絡があり、後はコーヴの側にいる三頭だけとなった。
そして、王都周辺で、各国全ての兵が終結した。
四方から王都内に進軍し、隠れているエグモント兵達を捕えていく。
街中を他国に任せ、カイルとオスウエスト軍はアルタニア城に入った。
もちろん城内のエグモント兵もカイル達の後ろにいるユニオンビーストを見て恐怖に震え、戦うことなく投降していった。
カイル達はコーヴがいる大広間に向かった。
とうとうコーヴとの直接対決の時が来ました。
( ・`ω・´)




