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ユニオンビースト ~霊獣と共に生きる者達~  作者: 杏子
第一章 ユニオンビースト
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4話 大好きなエリアス

明日はカイルの誕生日です!

それを祝いに隣国の王女エリアスがやってくる!


 4話 大好きなエリアス




 カイルは訓練場の端を通り抜ける途中に繋がれている軍馬の中に、[ハスラン]という馬を見つけた。

 ハスランは近衛隊長ブライトの馬である。 体は青毛で足に房があり、(たてがみ)と尾が銀色の美しい馬だ。



「ハスラン! こんにちは。 今日ブライトさんはお父様といるから、一緒じゃないんだね」

『私だけ兵士の訓練に付き合わされています』

「そうだ! ハスランってユニオンビーストなんだってね」


 ハスランは驚いてアルナスを見た。


『先ほどカイルに話した』


 アルナスは少し肩をすぼめた。


『そうでしたか······確かに私はユニオンビーストです』

「ブライトさんと契約しているの?」

『それも聞かれましたか······しています』

「やっぱりそうだよね」


 カイルは少し得意げだ。


『カイル様。 急がなくてもいいのですか?』


 イザクがカイルを急かすと「そうだった! ハスランまたね」と、再び走り出した。





 訓練場を抜け、城の裏にある入り口から中に飛び込む。

 そこは厨房だった。

 自室への近道なので、急ぐ時にはよく通り抜けている。


 カイルがドアを開けた途端、恰幅のいい料理長が大きな声で先手を打つ。


「カイル様! 走ってはダメですよ」

「ヤッベ」



 走り抜けようと思っていたカイルはペロリと舌を出して、大人しく歩きだした。

 ここはカイルのいつもの通り道になっているので、中で働くコック達とは顔見知りだ。



「「カイル様、こんにちは!」」

「カイル様、もうすぐいらっしゃる頃ですね」

「はい!」


 カイルは嬉しそうに答えた。


 厨房から出た途端、また走り出した。

 途中で人に会えば走るのをやめ(走ると怒られるのだ)すれ違ってしまうと、また走り出した。





 階段を上ってすぐにあるカイルの部屋の中に飛び込む。



「早く着替えさせて!」


 タントゥールが着替えを用意して待っていた。


「早く! 早く!」


 足をバタバタさせるので「じっとしてくださいまし!」と、タントゥールに怒られた。



「ハリス! どこまで来ているか見てきて!」

『はい!』



 ハリスは窓から外に飛んで行ったが、タントゥールがカイルに腰までのマントを付けている時に戻ってきた。



『もうすぐ到着します』

「わかった! タントゥール急いで!」


 そんなバタバタした中、アルナスは自分用の大きなクッションで我関(われかん)せずと、のんびり寝ている。


「はい、できました」


 タントゥールがポンと肩を叩いた。


「ありがとう」


 カイルがテラスに走っていった丁度その時、ラッパの音と共に城門から数十頭の騎馬に囲まれた3台の馬車が入って来るのが見えた。

 いつもの見覚えのある馬車だ。


「来た!!」


 カイルは弾けるように走りだし、部屋を飛び出した。

 ハリスとイザクは付いてきたが、アルナスはそのまま知らん顔で寝ている。


 カイルは廊下を駆け抜けて突き当たりにあるドアを開けると、そこには大きな真っ白いライオンのカイザーが座って控えていた。



「やぁ!  カイザー」


 カイルはカイザーの肩をポンと叩き、ハリスとイザクに「ちょっと待っててね」と言ってから、カーテンの中に入った。


 そこは大広間にある玉座の横で、グラント国王とラウレア王妃が既に座っており、後ろに近衛隊長のブライトが立っていた。


「カイル、やっと来たか」

「遅くなりました」



 カイルが呼吸を整え、椅子に腰かけると同時に衛兵の御触れがあった。



「オスウエスト国、ダンバート·オーガスタ国王陛下、エリモア王妃殿下。 ならびにエリアス王女様。 お着きでございます」




 アルタニアの前国王(カイルの祖父)とオスウエスト国の前王妃は兄妹で、エリアスとカイルは又従兄弟にあたる。


 両国は縁戚関係で、隣国であるという事もあり親交が深く、カイルとエリアスは幼馴染みでとても仲が良い。



 カイルはエリアスが大好きだ。



 今日はカイルの誕生日だが、明後日がアルタニア国王[グラント]の誕生日であるため、丁度間の日に[誕生祭]が行われる。





 ダンバート国王一行がゆっくりと入ってきた。


 この大広間は無駄に広いとカイルはいつも思っていた。

 普通の舞踏会場の2倍以上の広さと高さがある。

 部屋の片側一面は広いテラスとなっており、外から心地よい風が吹き込んでいた。



 澄ました顔をして入ってきたエリアスだが、スカートの横で小さく手を振っている。

 カイルも膝の上で小さく手を振った。




「グラント国王並びにカイルランス王子様。 お誕生日おめでとうございます。 また誕生祭へのお招きありがとうございます」

「遠い所をよく参られた。 楽しんでいって下さい」



 形式だけの挨拶が終わり、ダンバート国王一行は部屋を出ていった。 その後もなん組かからの挨拶を受けた後やっと一段落し、カイルが「ふぅ~」とため息をつくのを見てラウレア王妃がフフフと笑った。


「カイル。 昼食の後エリアスと一緒にお父様へのプレゼントを買いに町に行ってもいいわよ」


 カイルは飛び上った。


「本当ですか?!」


 満面の笑みで両親の顔を交互に見ると、二人とも頷いている。


「やったぁ!!」


 カイルは今までプライベートで町に出たことがない。

 特に明日は祭だが、今日も前夜祭ということで町は賑わっている。いつも城の中から行ってみたいと思いながらテラスから見ているだけだったのだ。




 この日は毎年、エリアス一家と昼食を取る。

 料理の得意なラウレアの手料理が振る舞われる。



 プライベート用の食堂の前にアルナスが待っていて、エリアス一家は既に来ていた。



「エリアス!」


 カイルが駆け寄ると、エリアスも立ち上がった。


「カイル! 元気だった? アルナス、イザク、ハリスも久しぶり」

「後でナルナラを紹介してあげるね」

「新しいお友達?」

「うん! 可愛いウサギだよ」

「きゃぁ! 楽しみ!」

「そうだエリアス。 聞いた?」 

「聞いたわ! お祭り楽しみね!」



 二人が、キャッキャと楽しんでいる間に、食事の準備が整った。



 早くお祭りに行こうと、黙々と食べていたカイルだが「あ、そうだ」と、スプーンを置き、改まって父グラントの方に向いた。



「お父様·········また、お友達ができたのですが、お城に入れてもいいですか?

ナルナラっていうウサギです」

「またか?······」

「はい·········契約もしました」

「?!······契約?」

 

 グラントはどういう事だと、アルナスを見た。


「話したのか?」

『先ほど全て話した』

「そうか。どうせ今日にも話すつもりだった。

しかしナルナラとやらで4頭目だが、そんな事出来るものなのか?」


 グラントもユニオンの言葉がわかる。

 今度はカイザーに聞いた。


『カイル殿は特別なようです』

「そうか·········」


 グラントは考え込んでいた。 なかなか返事がもらえないのでカイルはどうしたものかと戸惑っている。


「あのぉ·········ナルナラは······」

「あ······あぁ。 構わんよ」

「ありがとうございます!」





 その後、大人達は話しながらゆっくりと食事を楽しんでいたが、カイルとエリアスは黙々と食事をし、早々に食べ終わった。


「お先に失礼してもいいですか?」

「ああ。 気をつけて行ってきなさい」

「はい! 行ってきます!」



 カイルはエリアスと手を繋いで、嬉しそうに弾みながら小走りで出ていった。






 ドアが閉まるのを確認してからダンバートが口を開いた。



「カイルは良い子に育ったな。 ところで秘宝は見たか?」

「ああ。 やはり光は失われていた。」






国王一家も普通の家族なのですね。


国王とかが絡んだ言い回しがよく分かりません。

変だったら、ごめんなさい

m(_ _)m

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