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ユニオンビースト ~霊獣と共に生きる者達~  作者: 杏子
第一章 ユニオンビースト
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38話 作戦会議

オスウエストの重鎮を集め、アルタニアを取り戻す為の会議を行った。

 38話 作戦会議




 翌日、カイル達とユニオンビースト達を交え、ローゼンも呼ばれて会議が行われた。


 カイルの知るアルタニアの現状と、アルタニア周辺諸国とユニオンビーストの協力を得ることが出来たという事等を説明した。


 色々と話し合うが、力で捩じ伏せるか夜陰に紛れて奇襲攻撃する意外に案はなく、それはリスクが多すぎるという事で、話し合いは振り出しに戻った。



 この国の大隊長をしている[グール]が聞いてきた。


「我々はユニオンビーストの事を何も知りません。 教えていただけますか? 弱点などは無いのですか?」

「弱点ですか?」


 カイルはカイザーを見た。


『弱点などない。 例えあったとしても、それは教える事は出来ない』

「ないと言っています」

「そうですか······では、何でもいいので教えて頂けませんか?」

「分かりました。 ではその前に、彼等の本当の姿をお見せします。 みんな転身してくれ」


 周りで控えるユニオン達九頭が一斉に転身した。



「「おおっ~~~っ!!」」



 大きな会議室に入りきれないほどの大きな姿に、出席者達は驚きと感嘆で目を見開いて、ユニオン達を見回している。


 カイザーなどは、天井に(つか)えて窮屈そうだ。



「ご覧の通り、ユニオンは目の数でランクが変わります。

1~2個は下級ユニオン。

3~4個は上級ユニオン。

5~6個はS級ユニオンと呼ばれます。

 そして、目の数と同じ種類の動物を体に有し、その動物に転身する事が出来ます。 アルナス」


 アルナスは牛の姿になり、黒豹、虎、黒鷲そして黒い狼の姿へと、次々に転身して見せた。


「彼らは心が選んだ人と契約をします。 [契約]と言っても、別に魂を取られたりする訳ではなく(昔、アルナスとそんな話をした事を思い出して、カイルはちょっと笑いそうになった)契約相手と話しが出来るようになり、ユニオンはこちらの感情が常に感じ取る事が出来るようになるそうです。

 笑っているか泣いているか、危険な目に会っているかも分かり、呼べばどこにいてもこちらの位置がわかり、駆けつけてくれます。

 私はそうして何度も彼らに命を助けてもらいました」


 既に元の姿に戻っているカイザーとアルナスの肩に手を置いた。




「彼らの回復力は凄まじく、動けない程のケガを負うと土の中に潜り、完全復活する事ができます」

「不死身なのか」

「聞けば聞くほど不思議な種族ですな」

「知らぬ内にその辺で出会っているかも知れませんな」


 皆が、口々に話していた。

 グールは腕を組んで考え込んでいる。


 ダンバートが、「アルタニアから逃げてきた時の事と、ナイフを取りに行った時の事を話してはどうだ?」と言ってきた。


「そうですね、参考になるかどうかは分かりませんがお話ししましょう」




 カイルはその時の話しを出来るだけ詳しく話した。

 ディアボロとルーアンを連れて戻った所で話を終えた。



 ずっと腕を組んで俯き加減で聞いていたグールが顔を上げた。


「カイル様。 ハリスはアルタニアのユニオンには攻撃されないのですよね」

「はい。 下級ユニオンには目もくれないと言っています」

「それならハリスに手紙を持たせて、あちらと連絡を取る事は出来ませんか?」

「可能です!! どうして気が付かなかったんだろう。 早々手紙を持たせます」


 周りでも、「おお、それはいい」等と言い合っている。


「これで少しはあちらの状況が分かりますが、しかし······」

『そういえばカイル様······』


 ハスランが迷いながら話しに割り込んできた。


『ユニオンから攻撃を受けている時、彼らは何やらぶつぶつ言っていました。 何と言っているのかは、はっきりと聞き取れませんでしたが······』

『そうだ。 私も聞いた』


 アルナスも答えた。 すると、カイザーが答えた。


『確か[攻撃してくる者は殺せ][国を出ようとする者は連れ戻せ][新たな五つ目以上のユニオンは殺せ][コーヴ様のいる国の国境は越えるな]と、言っていた』


 カイルは皆に話した。

 一人の小柄で穏和そうな者が話した。 この国の宰相だ。



「それはもしかしたら、[制約]かもしれません」

「制約?」

「はい。 ある能力者から聞いた事があります。 特別な力を使う時は、何か制約をする事で、より大きな力を得られると。

 私が知る者は金属を柔らかくする力を持っていました。 と言っても、少し加工がしやすくなる程度なのですが。

 彼は鉄だけにその力が効くように制約しました。 すると、彼は鉄を手で曲げる事が出来るようになったそうです。

 コーヴもその四つの事だけを守らせる事で、数百のユニオンを操れるようになったのではないでしょうか?」


「彼の能力にも限界があるという事ですな」

「しかしこれ以上増えないとしても、既に充分な数のユニオンを操っている」

「ユニオンビーストを術から開放出来れば良いのだろうが······」





 その後も議論を交わしたが結論は出ず、先ずはハリスに手紙を持たせてアルタニアの状況を知る事が先決という事になった。


 手紙はハリスをよく知るタントゥールに宛てる事になった。

 もし誰かに見つかっても大丈夫な内容で書いた。


[伯父さん。元気ですか?

 私も元気にやっています。


 犬のアルも元気です。

 最近、フサフサ頭の友達もできました。


 今は従姉妹の所にいます。


 そちらはどうですか? 不自由はしていませんか?


 その内そちらに顔を出そうかと思っています。


 近況を教えて下さいね。


 大変な時期ですが、ご自愛下さい。


  ナルナラより]



 この手紙をハリスに持たせてアルタニアに向かわせた。


 会議は終了し、続きはハリスが戻ってからという事になった。



 そして、カイザーとハスランもまた、ユニオンビーストに話を付けてくると、飛び立って行った。





ユニオン達はかなりの大きさなんだけど、会議室が大きくて良かった。

f(^ー^;

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