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ユニオンビースト ~霊獣と共に生きる者達~  作者: 杏子
第一章 ユニオンビースト
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36話 ゆったりとした時間

シドネッタ城に入り、本当に久しぶりにゆっくりとした時間を過ごすカイルだった。

 36話 ゆったりとした時間




 案内された広間に入ると、ダンバートとエリモアが走って来た。


「カイル! 生きていたのだな。 良かった」


 カイルは二人と抱き合った。

 二人の後ろには5~6歳の男の子が恥ずかしそうに立っていた。 後ろに隠れている男の子を前に押し出して、ダンバートが紹介した。



「エリアスの弟の[レスター]、今五歳だ」

「初めまして。 カイルランスです」

「お兄さんが、いつも御姉様が話をされていたカイルさん?」

「嫌だわ。 御父様と御母様も一緒にでしょ」

「えっ? いつも御姉様が······あれ?······御姉様、顔が赤いですけど御熱でもあるのですか?」

「バカね!」


 エリアスは顔を押さえた。


「まあまあ、心配していたという事だ。 しかし、これでエリアスもお嫁に行けるな。ハハハハ」

「御父様まで!」


 エリアスは一層顔を赤らめた。

 カイルも少し顔を赤らめながら、後ろで嬉しそうに見ているアッシュとウォルターを紹介し、カイザー達を呼び入れた。



 カイザーはライオンの姿に転身した。


「カイザーじゃないか! ではグラントも?」

「いえ······父は亡くなりました」

「そうか······やはり亡くなっていたか······すまない······何も出来なくて」


「エグモントが襲撃された時も、何も出来ないと父も言っていましたから」

「アルタニアから逃げて来た者から話しは聞いている。 酷い状態のようだ」

「私も聞いています。 もうあまり長くないと思います。 そこで、お願いがあって参りました」


「もちろん出来る限りの事をさせてもらうつもりだ。 しかし話しは後でゆっくり聞こう。 先ずはゆっくり休め。 アッシュ殿とウォルター殿にも部屋を用意している。 これからはこの城に落ち着くがいい」



 部屋に案内される時、アネスは羊の姿に転身した。

 ユニオンビーストの姿の時には大きな角があったが、羊の姿の時には角はなく、モコモコで可愛いと、またウォルターを感激させていた。




 ウォルター、アネスにベタぼれすぎ。




 案内された部屋には何着かの服が用意されていて、湯浴み(ゆあみ)の準備までしてあった。

 カイルは久しぶりにゆっくりと体の汚れを落とし、さっぱりとした服に着替えた。




 気付けばクレモリス国を出てからもうすぐ一年になる。

 本当に沢山の人と、出逢い、多くの人に助けられた。



 アルタニア国から逃げてきて出会った、新しい家族のトムさんとサラさんにニック。


 師匠であり本当の祖父のようなトマスさん。


 そしてこの一年で出会った避難民の人達。




 みんな命懸けで大切な家や店、そして畑や牧場等を捨てて逃げてきた。


 家族を目の前で殺された人や、離ればなれになり行方が分からない人も大勢いた。


 そんな暗い時を過ごした人達とは思えないほど懸命に生きている。


 笑顔を見せている。

 



 凄いな·········




 そんな事を考えながらテラスでぼ~~っと外を見ていると、ノックがあった。

 エリアスがルーアンと一緒に部屋に来たのだ。


「カイル、夕食を一緒にって御父様が」

「分かった」

「ねえ、カイル。 この子達は何を食べてもらえばいいの? ルーアンは何も要らないっていうのだけど······」


 ユニオンビーストは基本何も食べない。

 出されれば食べるが、飲み食いしなくても問題なく生きていける。

 

 そう聞かされていたから、今まで食べたいものがあるのかを聞いたことがなかった。


「何か食べたい物はあるか?」


 アルナス、ハスラン、カイザーは要らないと言ったが、ナルナラがアップルパイが食べたいと言い出し、イザクとハリスも賛同した。



 そういえば以前、出されたアップルパイをナルナラ達にあげたところとても気に入り、料理長にアップルパイを何度かねだった事があった。


「アップルパイが食べたいって」

「分かったわ」


 エリアスは侍従に伝えてから、みんなを連れて食事が用意されている部屋に向かった。


 エリアスの横にはもちろんルーアンが並んで歩いているのだが、カイルの方は大変だ。

 ナルナラはルーアンの背中に乗っているが、カイルの肩にイザクとハリス。 隣を歩くアルナスの背中には白大鷲(おおわし)の姿のアスランと白鷺(しらさぎ)の姿のハスランが乗っていた。


 これが一番小さい姿なのだそうだ。 

 城の中を巨大なライオンや馬が歩くと驚かせてしまうので、この姿を選んだ。 



 それでも沢山の動物たちとの移動は、随分と不審な目で見られた。


 



 食事が用意されている部屋に入ると、そこには既にアッシュやウォルターを含む全員が座っていた。

(レスターは早々と寝ているそうだ)


「どうだ? 少しはゆっくりできたか?」

「はい。 御配慮ありがとうございます」


 食事をしながら、カイルは今までの事を順を追って話した。



「······それで、各地でカイザーとハスランがユニオンビーストにも協力を求め、今までは五百以上のユニオンが来てくれる事になっていますが、もう少し集めてもらう必要があると思っています」

「そうか、大変だったな······私達では、なし得ない事だ」


「しかし出来る事なら、正面から戦いたくはありません。 何かいい方法が無いか一緒に考えていただきたいのです」

「そうだな。 力で()じ伏せるにしては、あちらのはっきりした戦力も状況も分からないし、かなりの犠牲を強いる事になる。

 私としてもそれは避けたい。

 とにかく明日、皆を集めて話し合う事として、今日は食事を楽しもう」




 そこにアップルパイと他のデザートが運ばれてきて、ナルナラ達は大はしゃぎだった。



 カイザーやディアボロにまで無理矢理食べさせようとして、アルナスから、説教をうけていた








ユニオンビーストは霊獣です。

ご飯は要りません。

今まで触れませんでしたけど·········

(;^_^A

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