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ユニオンビースト ~霊獣と共に生きる者達~  作者: 杏子
第一章 ユニオンビースト
35/103

35話 再会

カイル達はオスウエスト国に入った。

そして待ち望んだ人と、再会する。

35話 再会




 オスウエスト国には大好きなエリアスがいる。 彼女に貰った御守りのペンダントは今も肌身離さずつけている。


 早る気持ちを抑えて先ずは宿屋に落ち着き、謁見を申し出る書状を出して返事を待った。



 暫くして、宿の者が来客があるとカイルを呼びに来た。


 降りてみると、数人の兵士と一人の女性が立っていた。

 エリアスの侍女のローシーだった。



「ローシーさん! お久しぶりです!」


 カイルは駆け寄ったが、ローシーは戸惑っている。


「カイル様······ですか?」

「そうです! エリアスは元気ですか? ダンバート様と、エリモア様は?」



 ローシーはカイルの顔をじっと見ていたが、横からヌッと顔を出したアルナスを見て、もう一度背の高い精悍(せいかん)で美しい顔立ちの青年を見上げた。


「あぁ······間違いございません! カイル様でございます。 ご立派になられて······よく······ご無事で······」


 ローシーは目に涙をいっぱい溜めていた。


「皆様がどれだけ心配なされていたか······さぁ! 皆様がお待ちです。 荷物を(まと)めて城に御越し下さい」



 ◇◇◇◇



 城への道すがら、ローシーが話してくれた。


「エリアス様はカイル様が生きておいでだと、ずっと信じておいででした。 ですから、カイル様からの書状をご覧になった時は大喜びされ、直ぐに飛び出して行こうとなさるので御止めするのに一苦労致しました。

 それというのも、以前にアルタニアの貴族だという偽物が現れた事がございましたので、念の為に私が参りました。 お疑いして申し訳ございません」


「とんでもない! 皆さんお元気ですか?」

「はい。 しかしアルタニアが襲撃された当初は、皆様が御病気になられるのではないかと思うほど落ち込んでいらっしゃいましたが、今は御元気でございます。

 エリアス様も御綺麗になられましたよ」


 カイルは少し顔を赤らめた。


「皆さんに御会いするのが楽しみです」



 ◇◇◇◇



 全員で城に行くと既に門が開けられていて、中に数人の人影があった。


 近付くにつれ、その中の一人の美しい女性に目が釘付けになった。


「カイル!」

「エリアス!」


 二人は走り出して抱き合った。


「カイル! やっぱり生きていたのね。 絶対に生きていると信じていたわ!」

「心配かけたね。 来るのが遅くなってごめん」

「カイル、顔を見せて······フフ······背は高くなったけど昔のままね」

「みんなには変わったと言われるんだけどな······エリアスは綺麗になった」


「まぁ、フフフ、そんな事が言えるようになったのね。 アルナスも元気だった?」


 エリアスはしゃがんでアルナスの首に抱きついた。


「ナルナラとイザクと、ハリスも。 みんな、カイルを守ってくれてありがとう」

『エリアスも綺麗になったわね』

「ナルナラが綺麗になったって言ってる」

「ありがとう! そうだ、見て」

 

 エリアスは髪に着けている紫色のウサギの形をした髪飾りをナルナラに見せた。


『まだ持ってたのね。 嬉しいわ』

「ナルナラが嬉しいって。 あっ、そうだエリアス。 アッシュさんを覚えてる?」

「もちろんです。 ご無事で何よりです」

「お久しぶりです」


 アッシュは膝をつき、礼をした。


「それと、アッシュさんの横にいる目付きが悪いのが、アッシュさんと契約したディアボロ」

「まぁ! 精悍(せいかん)なお顔。 強そうで素敵ね! エリアスよ、よろしく」



 エリアスは怖がりもせずディアボロの頭を撫でた。 ディアボロもまんざらでもなさそうだ。




()()()()()?······言い様(いいよう)もあるものだ』


 アルナスはフン!と、鼻で笑った。




「そして騎馬隊副隊長のウォルター·スコットさんと、契約相手のアネス」


 ウォルターも膝をついた。


「もしかしていつもアッシュさんと一緒にいた方?」


 ウォルターは以前のように髪を切り、(ひげ)を剃っている。


「アネスも綺麗なお馬さんね、よろしく」

「で、この馬がハスラン。 彼とも契約した」


 敢えてブライトの事には触れなかった。



「また? これで五頭目よね」

「実は、もう一人·····この鷲はカイザーなんだ」


 今は大鷲の姿でハスランの背中に乗っている。


「カイザー? 叔父様(グラント)と契約していたのじゃなかった?」

「うん······今は私と契約している」

「それって·········」


 エリアスはそれが何を意味するのか分かり、愕然とした。

 なぜかルーアンが心配そうにエリアスを見上げている。



 カイルは()えて明るく、紹介を続ける。


「それからこの子はディアボロの森のルーアン。 ディアボロに付いてきた」

「まぁ! なんて綺麗な子」


 エリアスは膝をついてピンク色の綺麗な瞳をした真っ白で大きい犬のルーアンの顔を撫でた。

 するとルーアンがエリアスの口をペロリと舐めた。


「あっ!」


 カイルが思わず声をあげた。


《分かったの。 どうしてカイルさんと一緒に行きたかったのか》

「?·····今のは誰? 頭の中で声が聞こえた気がしたけど······」

「エリアス、ルーアンだよ。 ルーアンが君と契約したんだ」

「ルーアン? あなたなの?」

《そうよ!私よ》

「きゃ~~~っ!! 素敵!」


 エリアスはルーアンの首に抱きついた。


「これで全部だ。 気付いたら大所帯になっていたよ。 こんなにゾロゾロ連れて城に入っても大丈夫かな?」



「もちろん歓迎よ。 行きましょ!」






エリアスもルーアンと契約しましたね。

こんなに簡単に契約者と、出逢えない筈なのですが······

これもきっと、カイルの力でしょう。

( ^∀^)

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