第九夜 つぶ餡たっぷり粒々小豆シェイク②
ブックマーク、評価してくれた読者さまありがとうございました!
もっと自分に文才があればなぁ…!と思いつつ。
今回はあとがきの方にアクアのイラストを書いてみたので載せてみました。言葉では伝わりにくい所もあると思うのでちょくちょく主なメンバーは時間のある日に書いて投稿していきたいと思います。
何か作品に対するアドレスとかがありましたら是非よろしくお願いいたします。
それでは長々と失礼しました~!
脱いだ服をアクアは藁で編まれた籠の中へと入れていく。そして木と硝子で出来たドアを横に開くと、陶器でもなく不思議な材質で出来た白の入れ器にたっぷりと入った水が姿を表した。
サクラに教わった通りまず、青い色の容器を押すと中から水色のドロッとぬめり気のある液状が出てきた。
これを『スポンジ』という水分を大量に溜め込めるという便利なものに適量を付けて軽く揉むと―――。
なんと液体がみるみると姿を変え泡が立ち、花の薫りが広がった。
アクアの住む異世界にも固形石鹸はあったが、庶民は高価で製造技術も良くなく不純物が多く混じっており泡立ちもよくなかった。
アクアは言われた通り、包帯がまだ取れていない肩と右腕を避けながら体から尻尾の先の隅々まで泡のついたスポンジで洗っていった。
充分体の汚れ落としたら、次はこの『シャワー』という湯と水の二種出てくる機械を使う。青が水で赤が湯なので間違えないよう注意する。青の蛇口を捻ると細かに穴が開いた部分から澄んだ水が雨のように降ってきた。
(本当に不思議だな、異世界の物は)
そんなことを思いつつ、体中についた泡を丁寧に洗い流していくアクア。泡で肌に付いていた細かな汚れが落ちたせいか、普段より肌がしっとりしており体からは花の優しい薫りがほのかにした。
最後に残るは温かい水が入った風呂という物のみ。アクアの体は自律神経が弱いので極端な熱と寒さに弱かった。なので普段の生活では必ず両腕に体温調節をする特別な装置が付いているのだが、体を洗うのには流石に邪魔だったので今は外している。
恐る恐るアクアは浴槽に足を入れていく。
「ふぅー…………!」
熱すぎない程よい温度の風呂の湯がアクアの強ばった筋肉を少しずつ解していく。サイズは人間用の物なのでアクアの体には些か小さかったが、入ってみると意外とそれほど気にならなかった。尻尾も浴槽の隅でピチピチと気持ちよさそうに跳ねる。風呂というものがこんな気持ちのいいものだとは知らなかった。
今度からはちゃんと毎日お風呂に入ろうと心に決めたアクアだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「お風呂、ありがとうございました」
風呂で温かくした体を冷ますアクア。
「お風呂、気持ちよかった?」
「はい」
「うふふ、それならよかった~…。アク君、お洋服の方のサイズはどう?どこかキツい部分とかない?」
「いいえ、丁度いい感じです」
アクアはサクラが新しく用意してくれていた黒色のハイネックのノースリーブに動きやすそうなカジュアルズボンに着替えていた。サクラが尻尾も邪魔にならないように穴を開けて改造した特選ズボンである。
「あ、そろそろあがってくる頃かな?って思って、いいもの作ったんだよ」
そう言うとサクラはミキサーの中から何かを取り出しガラス皿へ盛った。
「なんですか?これは」
「じぁーん、月見草特製餡子で作った小豆シェイクだよ」
きらきらと光る白い雪のような氷に細かく粉砕された凍った黒い豆が混ざっている。
「「いただきます」」
パクリ
「!」
「ん~、おいしい!」
冷やした濃厚な味のする甘い動物の乳に、よく凍られせた甘く煮た黒い豆の味がほんのりとする。粒々した甘い黒い豆と動物の乳がここまで相性がいいとはアクアも知らなかった。
「作るのも簡単なんだよ。凍らせた牛乳と餡子に砂糖を加えてミキサーで混ぜるだけから、夏の季節が近くなるとよく作ちゃうんだよねぇ」
「これ、すごくおいしいです」
「それじぁ、また今度作るね」
あんなにミキサーの中に沢山あったシェイクはあっというは空になり、それからは時間のある暑い夏の日だけ決まって必ずこれが作られるようになった。